ものづくり補助金平成26年度製造業大阪府

高精度加工の技を極める。新分野を開拓、自社製品開発も

村上精機 株式会社

この事例のポイント

  • 航空・宇宙分野で用いられる超耐熱合金などの難削材は既設の旋盤では加工が難しかった。
  • 難削材加工用に高性能旋盤を導入した。
  • 旋盤の導入により高速加工が可能になり、段取り時間も短縮され、加工精度も向上した。

事業者のプロフィール

事業者名村上精機 株式会社
所在地大阪府 堺市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工,製造環境,測定計測
従業員数41人
資本金2,200万円
設立1959年

事業の背景

昭和34年の設立以来、切削・研削・電気加工による金属加工を行ってきた。当初は2社の下請けだったが、バブル崩壊後の受注減少を機に新規取引先を開拓し、トヨタ自動車の エンジン金型を受注した。リーマンショック、東日本大震災、円高で売上高は10分の1にまで落ち込んだ。取引先拡大によりトヨタ向け比率は約40%から10%に下がり、現在の受注内訳は半導体製造装置向けが40〜50%、工作機械向けが約25%、自動車向けが約10%となっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力航空・宇宙分野で用いられる超耐熱合金などの難削材は既設の旋盤では加工が難しかった。
  • 生産能力放電加工用のグラファイト電極は外注に出すか古い装置で加工しており、電極加工を外注していた業者も廃業したため、放電加工機をフル活用できなかった。

やったこと

難削材加工用に高性能旋盤を導入した。主軸は最大5,000rpmに対応し、ミーリング機能も追加された。高効率モーターと高剛性により騒音や振動が減り、荒加工の寸法精度も2㎛程度まで狙えるようになった。平成27年度には難削材の放電加工に用いるグラファイト電極を内製化するため、最新型マシニングセンターを導入した。以前の電極内製用機は旧型で効率が上がらなかったが、新型機で高速・高精度の電極を内製し、放電工程へスピーディに渡せるようになった。

加工機高性能旋盤
加工機最新型マシニングセンター

新しい製品・サービス:蒸気ロータリー発電エンジン(定格発電量10kW)

事業の効果

旋盤の導入により高速加工が可能になり、段取り時間も短縮され、加工精度も向上した。騒音や振動が減って職場環境も改善し、旋盤工程の生産量が増えたことで納期遅れのリスクが低減し、受注量も増加した。電極の内製化により放電加工機の活用場面が大きく増え、新規開拓や受注増の効果も生まれている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    1934年設立以来の切削・研削・電気加工の実績と、グラファイト電極加工の内製化など過去の取組の延長線上の投資と読める。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    半導体製造装置向けが40〜50%を占め、超耐熱合金の航空・宇宙分野への拡大を見据えた強み活用が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    トヨタ向け比率を約40%から10%に下げた課題認識と、旋盤工程の生産量増強で納期遅れリスクを減らした効果が記載されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    加工時間短縮や段取り時間短縮、受注量増加の記述はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制4

    ISO9001取得、従業員41名、社長の技能継承の仕組みが書かれ、体制の一部が読み取れる。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    高精度加工や難削材加工の強みと主な取引先は示されるが、顧客ターゲットの裏付けは具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋3

    伝承マニュアルの外販や自社製品開発への挑戦が今後の戦略として示されるが、スケジュールや解決方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    超耐熱合金の難削材加工や、5,000rpmの高速加工で同分野の高水準の加工を図る取組と読める。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    航空・宇宙分野の拡大や新規取引先開拓による受注増が書かれ、地域波及は読み取りにくい。

  • 費用対効果3

    新規開拓・受注増の効果は書かれるが、補助金額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    バイオマス熱電併給システムの産学連携開発がうかがえるが、デジタル技術やサプライチェーン貢献の記述は乏しい。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    航空・宇宙分野への進出や自社製品開発への挑戦は読み取れるが、日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及2

    堺市の地域企業であることはわかるが、地域の特性を活かした雇用創出や成長牽引の記述は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

高精度加工の技術を生かして自社製品の開発に挑戦している。蒸気ロータリー発電エンジンは農業残渣などの未利用資源を活用する小規模バイオマス熱電併給システムとして大阪府立大学らと産学連携で開発・実証を進めている。また、社内の技能・技術の伝承マニュアルを動画教材などの形態でインターネット等で外販していく。

事業者の声

単に注文を受ける立場ではなく、作ってほしいとお願いされるようになりたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。