ものづくり補助金平成26年度卸売業、小売業大阪府

包装容器のデジタル設計を推進、新分野展開も加速

アイロップ 株式会社

この事例のポイント

  • CADをインストールしたパソコンを設計者間で共有していたため、業務が集中すると一部の設計者がパソコンが空くまで待つことが増えていた。
  • 設計担当者1名に対して3次元CAD「SolidWorks」のライセンスIDを付与し、CADが使えずに手待ちになる無駄をなくした。
  • 設計者がCADを手待ちせずに使えるようになり、大幅な設計の効率化を達成した。

事業者のプロフィール

事業者名アイロップ 株式会社
所在地大阪府 大阪市
業種その他の卸売業
技術分野デザイン
従業員数50人
資本金6.4億円
設立1951年

事業の背景

同社は昭和26年に設立された包装設計の草分けで、製品ではなく包装仕様の設計受託と資材販売、物流業務の受託を手がけている。使う素材は段ボール、樹脂、金属など多岐にわたる。近年は自動車や住宅業界をはじめ、あらゆる産業で3次元CADによるデジタル設計が当たり前になっている。また、海外で販売する製品を現地で作り現地で部品を調達する消費地生産・調達が進み、世界の貿易量の伸び率の鈍化が指摘されている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力CADをインストールしたパソコンを設計者間で共有していたため、業務が集中すると一部の設計者がパソコンが空くまで待つことが増えていた。
  • 生産能力衝撃試験の計測器は方向ごとにセンサーを付け替える必要があり、試験作業に手間がかかっていた。

やったこと

設計担当者1名に対して3次元CAD「SolidWorks」のライセンスIDを付与し、CADが使えずに手待ちになる無駄をなくした。併せてカッティング機を刷新し、段ボールのカットを高速化した。さらに衝撃記録計測器を導入し、X軸、Y軸、Z軸の3方向の衝撃を、センサーを付け替えることなく計測できるようにした。これにより、包装の試作と衝撃試験の作業を効率化した。

ソフト3次元CAD「SolidWorks」
加工機カッティング機
検査測定衝撃記録計測器

新しい製品・サービス:ダンパー付き折り畳みトラックデッキ(平成29年はじめから販売)、段ボール製のねこハウス

事業の効果

設計者がCADを手待ちせずに使えるようになり、大幅な設計の効率化を達成した。カッティング機と衝撃記録計測器の刷新により、試作と試験の作業も効率化された。こうした業務効率化を新規事業の創出につなげ、輸送トラック向けの荷台ラック製品や複雑な形状のねこハウスを生み出した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    昭和26年設立の包装設計の草分けで、設計業務の効率化を新規事業創出につなげる方針が示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    中国・タイに拠点を持ち、スロートレードという外部環境の変化を踏まえ、現地企業へ取引先を広げる方針が示されている。

  • 課題の認識と解決4

    設計者がパソコンが空くまで待つ手待ちが課題と認識され、CADライセンス付与や機器刷新で解決に向けた取組が示されている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの数値目標は見当たらず、設計効率化の成果が定性的に述べられているにとどまる。

  • 事業を進める体制3

    補助事業は設計担当者1名へのCADライセンス付与で行われ、包装技術部の担当者が関わる体制が書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    顧客の製品を包装材で衝撃試験する計測器や、ダンパー付き折り畳みトラックデッキなど製品・サービスの内容が示されている。

  • 事業化までの道筋2

    海外拠点での取引先拡大を掲げるが、具体的なスケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    包装仕様の設計と提案という業態の草分けで、ねこハウスは既存製品にない複雑な形状で差別化を図っている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    働き方改革や生産性向上の取組が一般論として触れられるが、雇用創出や波及効果の具体的な記載は少ない。

  • 費用対効果2

    業務効率化の効果は述べられているが、補助金額に対する付加価値増加などの数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    3次元CADや3次元プリンターを使った包装設計を行い、デジタル設計を推進していることが示されている。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    消費地生産・調達の流れを踏まえ、海外展開と生産性向上で新規事業を広げる方向性が示されている。

  • 地域経済への波及2

    大阪市淀川区に本社がある程度で、地域の特性を活かした雇用や地域経済への波及は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

中国とタイの拠点で、取引先を日系企業だけでなく現地企業にも広げ、同社が培った包装設計を周知していく方針である。日本では生産性向上の取り組みを新規事業や付加価値の創出につなげることを方針としている。

事業者の声

現地企業からは興味を持ってもらっている

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。