ものづくり補助金平成26年度卸売業、小売業高知県

高知初のブライダルリング自社生産体制を構築するための設備投資事業

株式会社 宝石堂

この事例のポイント

  • 社内の設備は簡易的なもので、製造できる製品と加工の種類に限りがあった。
  • ブランド「ひな」のリングを自社で生産するため、2016年2月に工房スペースを拡大し、18機種の機器を導入した。
  • 設備導入により、指輪製造の21工程のうち13工程、約7割の作業を自社で行えるようになり、外注に頼っていた時間とコストを大幅に削減した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 宝石堂
所在地高知県 高知市
業種その他の小売業
技術分野デザイン,精密加工,接合・実装,測定計測
従業員数11人
資本金1,000万円
設立1982年

事業の背景

結婚時にマリッジリングを購入する人の割合は挙式の有無にかかわらず約95%で、今後も急に落ち込む要因はないと考えられる。一方、ブライダルリング業界では10年ほど前から「自分たちらしい形」を求めるカップルが増え、購入単価も上昇している。当社は2007年にブランド「ひな」を立ち上げ、2009年の国際宝飾店IJTへの出展を機に卸業を始めた。2017年8月時点で取扱店舗は全国27店舗となっている。高知県内には貴金属加工の地場産業がほとんどない。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力社内の設備は簡易的なもので、製造できる製品と加工の種類に限りがあった。
  • 納期・工程製造の多くを東京や山梨の大規模工場に外注しており、時間がかかった。
  • コスト・採算外注には費用がかかり、商品に不具合があっても外注先に返送して修整する時間が取れず、クレームに対応できない事例があった。
  • 新製品・新技術新製品の試作に時間とコストがかかり、商品開発をスピーディーに進められなかった。
  • 販路・情報発信高知県は人口減少により婚姻組数の減少が見込まれるため、全国展開している自社製品の卸販売を強化する必要があった。

やったこと

ブランド「ひな」のリングを自社で生産するため、2016年2月に工房スペースを拡大し、18機種の機器を導入した。導入した機器は、宝石の鑑定用のGIAプロフェッショナル顕微鏡、マルチテスターIII、ダイヤモンドセレクターIV、ジェムライト、貴金属を板状に加工するローラー、線状に加工する線引き盤、貴金属を接合する高温バーナー、作業台、集塵バフモーター、マイクログラインダー、平面研磨機、実体顕微鏡、サンドブラスター、コンパクト集塵機、日本語や手書きの文字も刻印できるレーザーマーカー、貴金属テスター、完成品の寸法を計測するコンピューターゲージ、洗浄機である。これにより指輪製造の21工程のうち13工程を内製化し、約7割の作業を自社で行えるようになった。

検査測定GIAプロフェッショナル顕微鏡
検査測定マルチテスターIII
検査測定ダイヤモンドセレクターIV
その他ジェムライト
加工機ローラー
加工機線引き盤
加工機高温バーナー
その他作業台
加工機集塵バフモーター
加工機マイクログラインダー
加工機平面研磨機
検査測定実体顕微鏡
加工機サンドブラスター
その他コンパクト集塵機
加工機レーザーマーカー
検査測定貴金属テスター
検査測定コンピューターゲージ
その他洗浄機

新しい製品・サービス:ブランド「ひな」のオリジナルブライダルリング(職人の手づくり感を残したマリッジリング、ペアブレスレット、お客様の依頼によるオリジナルリング)

事業の効果

設備導入により、指輪製造の21工程のうち13工程、約7割の作業を自社で行えるようになり、外注に頼っていた時間とコストを大幅に削減した。販売員が聞き取った顧客の意向を技術者に直接伝えられるため、デザインの質が向上し、製造途中の変更にも柔軟に対応できるようになった。自社で試作品を作れるため新製品の開発が短期間で行えるようになり、宝石や貴金属の分析機器により品質管理を自社で責任を持って行えるようになった。レーザーマーカーにより刻印の外注も不要になり、コストも削減できた。また、熟練職人の技術を製造に生かし若手へ伝承できる環境が整い、職人の育成に目処が立った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    2007年からオリジナル指輪の製造・販売に着手し、卸業や全国の取扱店拡大と一貫性があるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ブライダルリングでのオリジナル志向やマリッジリング購入率約95%に触れ、外注依存の弱みを踏まえた内製化で競争優位を狙う内容が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    外注の時間・コスト・クレーム対応の課題を認識し、21工程中13工程を内製化して製作期間短縮とコスト削減を図る計画が具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    製造の70%を自社内で行う目標や職人育成の目処は書かれるが、付加価値額や賃上げの数値目標は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    職人の技術向上が最優先とされる一方、販売員・技術者の人数が不足していると書かれており、体制確保は不十分にうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    約70種のデザインから好みにアレンジできる点や、マリッジリングにストーリーが生まれる点など、顧客ターゲットと選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    2~3年以内に国内最大のジュエリーフェアへ出展する計画や海外展開の方針はあるが、具体的な遂行方法や工程は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    「ひな」は日本の四季をテーマにした和のブライダルリングで、土佐和紙のカタログにより差別化を図っていると書かれている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    高知県は貴金属加工の地場産業がほとんどなく、県外外注が必要だったと書かれ、地域経済への波及効果は間接的にうかがえる程度。

  • 費用対効果3

    大幅なコストカットや外注コスト削減が書かれるが、補助金額に対する付加価値額の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    レーザーマーカーによる手書き文字の刻印などの取組は書かれるが、デジタル技術によるサプライチェーンへの貢献は明確でない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    高知県の婚姻組数減少に触れ、高知から発信するブランドで雇用を伸ばす方針が書かれるが、地域の特性を活かした波及効果は具体性が薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

導入した設備を生かし、職人の技術向上を最優先に、製造の70%の作業を自社内で行い精度を高めていく。販売員と技術者が不足しているため人員を早期に拡充する。2~3年以内に国内最大のジュエリーフェアへの出展を計画し、小売店からものづくり会社へ進む予定である。土佐和紙を使ったカタログで差別化した「ひな」は海外からも注目され、アジア諸国からの引き合いもあるため、ジャパンメイドの強みを生かして海外販売も視野に入れている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。