ものづくり補助金平成26年度卸売業、小売業福岡県

養豚舎で発生する悪臭を低減する微生物資材の量産化体制の構築

株式会社九州メディカル

この事例のポイント

  • 養豚舎の悪臭の原因となる低級脂肪酸類を抑える、費用対効果の高い資材がほとんどなかった。
  • 福岡県農林業総合試験場および福岡県工業技術センターと共同研究を行い、低級脂肪酸類を低減する微生物株のうちB1144株とD45株を有効株として特定し、特許を取得した。
  • B1144株で豚舎の低級脂肪酸類を80%、D45株で51.2%抑制できることを実証した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社九州メディカル
所在地福岡県 北九州市
業種その他の小売業
技術分野バイオ
従業員数73人
資本金5,000万円
設立1987年

事業の背景

昭和62年創業の同社は北九州市で調剤薬局チェーンを展開し、平成4年にバイオ分野へ進出した。畜産では、住宅地と農場の混住化が進んだことで畜舎からの悪臭に関する苦情が年々増加している。養豚による悪臭が最も多く、低級脂肪酸類は豚ぷんに含まれて滞留しやすい。環境対策はコストが生産に直結しないため、十分に行われてこなかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術養豚舎の悪臭の原因となる低級脂肪酸類を抑える、費用対効果の高い資材がほとんどなかった。
  • 生産能力培養した微生物資材を製品として大量に供給する体制が整っていなかった。
  • 品質・精度大量供給に向けて、資材の安全性と製品としての安定性を確保できるかが未確認だった。

やったこと

福岡県農林業総合試験場および福岡県工業技術センターと共同研究を行い、低級脂肪酸類を低減する微生物株のうちB1144株とD45株を有効株として特定し、特許を取得した。量産化のため、自動計量・充填機、傾斜スクリューコンベア、コンプレッサー、集塵機、高圧蒸気滅菌機、実体顕微鏡を導入した。傾斜スクリューコンベアの搬送能力は期待通りで、自動計量・充填機は充填精度と時間ともに問題なく1時間に約1トンの製造が可能になった。微生物は均一に分散してパック詰めでき、餌に混ぜる際の熱や輸送時の振動・衝撃にも耐えられることを確認した。安全性は第三者機関で検証し、試作品の検証を経て安定性・安全性を確保した量産体制を構築した。

加工機自動計量・充填機
加工機傾斜スクリューコンベア
その他コンプレッサー
その他集塵機
その他高圧蒸気滅菌機
検査測定実体顕微鏡

新しい製品・サービス:飼料混合型微生物資材

事業の効果

B1144株で豚舎の低級脂肪酸類を80%、D45株で51.2%抑制できることを実証した。両株を混合すると総低級脂肪酸量をさらに10%以上低減できた。量産体制により1時間に約1トンの製造が可能になり、安定性と安全性を確保して大量生産できるようになった。餌に混ぜて使うため散布などの労力が要らず、養豚経営の負担にもならない価格である。現在は福岡を中心に販売し、大手販売店や大手飼料会社との商品化を通じて販路を広げた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    薬局事業を基盤にバイオ分野へ進出し、微生物資材の事業化に約10年取り組んだ経緯が書かれており、一貫性はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    養豚舎の悪臭対策で費用対効果の高い資材がほとんどないと記され、外部ニーズと自社の微生物技術の関係は読み取れるが具体性は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    低級脂肪酸をB1144株で80%、D45株で51.2%抑制と数字で課題解決効果が示され、量産体制の構築も書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    1時間に約1トンの製造が可能と能力が数値で示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    共同研究チームや第三者機関との検証は書かれるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の詳細は記載がない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    混ぜるだけで散布の労力が不要、価格も安価で養豚経営に負担とならないなど、選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    製品化後は福岡中心に販売し順次全国展開する計画と書かれているが、スケジュールや期間の明示は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    低級脂肪酸対策で費用対効果の高い資材はほとんどないとされ、混合で単株より10%以上の低減を示す高性能な新分野の取組である。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    悪臭苦情の増加や食料問題、海外需要への言及があり、社会的意義はうかがえるが経済波及の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    価格的に安価で養豚経営に負担とならないとあるが、補助金投入額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    微生物技術を飼料に混ぜて使う方式で散布作業を省き、畜産の化学薬品使用抑制に寄与する方向性が書かれている。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    畜産の化学薬品抑制や食料確保の重要性に触れ、バイオ分野への進出と結びつけて書かれているが、構造転換の記述は薄い。

  • 地域経済への波及2

    北九州市の本社と久留米市の拠点は示されるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域成長への言及は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

順次販売地域を拡大して全国で販売する計画である。世界的な食料不足を背景に畜産業の重要性が高まり、化学薬品の使用を抑える流れもあるため、同社の微生物資材は海外の需要も期待できるとしている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。