ものづくり補助金平成26年度製造業兵庫県

付加価値向上のための生産現場再現による織布準備工程用糊剤の開発

蛭田理研株式会社

この事例のポイント

  • 国内の織布・準備工程を担う事業者は、海外競合製品との差別化が大きな課題となっている。
  • 実際の生産設備と同じ機構で数十本の糸を同時に糊付けし、ロッドで分割して分割性能を数値化する小型糊付試験機を新たに開発した。
  • 超細番手・超高密度・高難度の糸でも製織性を実現できる糊剤を試作開発できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名蛭田理研株式会社
所在地兵庫県 西脇市
業種化学工業
技術分野材料製造プロセス
従業員数10人
資本金1,000万円

事業の背景

市場の縮小や国内メーカーの生産拠点の海外シフトなど、近年の繊維業界を取り巻く環境は急速に変化している。国内の織布・準備工程事業者にとって海外競合製品との差別化が大きな課題となっていた。繊細で高密度な生地や新素材に対応する糊剤・油剤の開発が求められたが、科学的データの蓄積がなかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他国内の織布・準備工程を担う事業者は、海外競合製品との差別化が大きな課題となっている。
  • 新製品・新技術繊細で高密度な生地や炭素繊維・アラミド系繊維などの新素材に適した糊剤・油剤の開発が求められていたが、開発に必要な科学的データが蓄積されていなかった。
  • コスト・採算実機での試験に時間とコストがかかるため、短時間・低コストで高性能薬剤を開発する方法が必要だった。
  • 品質・精度従来の抱合力試験機は細番手の糸を測定する際、ホルダーの質量やペンの摩擦が測定誤差を生じさせていた。

やったこと

実際の生産設備と同じ機構で数十本の糸を同時に糊付けし、ロッドで分割して分割性能を数値化する小型糊付試験機を新たに開発した。この試験機は実際の生産時と相似したデータを迅速に得られ、試験にかかる時間とコストを大幅に削減できる。非接触の電気的信号で糸の変化を記録する抱合力試験機を開発し、100〜300番の細番手でも誤差のない測定を可能にした。両試験機は綿・ポリエステル・レーヨンなど全ての糸に対応し、準備工程と製織工程のシミュレーターとして糊剤の試作開発に用いる。いずれの試験機も特許を取得し、他社の参入障壁を築く計画である。

新しい製品・サービス:製織性を向上させる織布準備工程用糊剤

事業の効果

超細番手・超高密度・高難度の糸でも製織性を実現できる糊剤を試作開発できるようになった。実機に近いデータを短時間・低コストで得られるため、糊剤処方や機械条件の選定が効率化される。製織性を飛躍的に向上させ、取引先との長期的な信頼関係の構築につながる。大手メーカーや先進ベンチャー企業との共同研究や工場診断のコンサルティング事業も進める計画である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の取組として科学的データ蓄積の不足が課題とされ、薬剤開発に向けた試験機開発を進めた経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    海外競合との差別化や新素材対応が課題とされ、特許取得による参入障壁構築や超細番手対応で競争優位を狙う内容が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    製織性の課題を試験機で数値化し、試験時間とコストを劇的に削減して最適処方を選定する計画が示されている。ただし高付加価値化の数値目標は見当たらない。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値の創出や賃上げを示す目標値は書かれておらず、製織性向上の定性的な目標のみがうかがえる。

  • 事業を進める体制3

    科学的検証能力や長年の経験、優秀な技術スタッフに言及があるが、従業員10人規模の体制や人員配置の具体は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    主要取引先の要請に基づき超細番手・超高密度の製織性を実現する開発であり、顧客ニーズと選ばれる理由が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    試験機の開発、特許取得、大手との共同研究など方向性はあるが、スケジュールや課題解決の段取りは具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    繊維業界で独自の地位を確立する方針と、超細番手・超高難度の製織性を実現する高水準の製品開発が示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    繊維産業の永続的発展や国家戦略の一端を担うとの記述はあるが、波及効果や雇用創出の数字や具体は示されていない。

  • 費用対効果3

    試験の時間とコストが劇的に削減できると述べられているが、補助金額に対する付加価値増加などの定量的な費用対効果は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    シミュレーターやデータ解析ソフト、クラウドのデータバンク構想がありデジタル活用は読み取れるが、業界全体へのイノベーション貢献の具体性は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    新素材(炭素繊維、アラミド系)への対応が必要とされ、繊維業界の構造変化への対応がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は明確でない。

  • 地域経済への波及2

    西脇市に本社を置く地域企業だが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述は薄い。

今後の展望

得られたデータをクラウド上で顧客と共有するデータバンクの構築や、データ解析ソフトウェアの開発を進める。繊維産業の永続的な発展を支える課題解決企業として、オンリーワンの地位を築くことを目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。