ものづくり補助金平成26年度製造業和歌山県

UV(紫外線)印字システムを開発し、非浸透性素材への印字も可能にマーキング・テクノロジーの更なる進化で、新規事業を開拓する

紀州技研工業株式会社

この事例のポイント

  • 段ボール以外の金属・ガラス・樹脂などの非浸透性素材にも印字できる方法が求められていた。
  • UV(紫外線)照射装置とUV硬化インクを自社開発し、自社製の産業インクジェットプリンターと組み合わせられるようにした。
  • 非浸透性素材であるPETや化粧箱への印字が可能になり、印字を十分に硬化できる性能が認められた。

事業者のプロフィール

事業者名紀州技研工業株式会社
所在地和歌山県 和歌山市
業種印刷・同関連業
技術分野製造環境
従業員数205人
資本金1億円
設立1968年

事業の背景

同社は1968年設立で、ゴム印を使う自動捺印機メーカーから始まり、ピエゾ式インクジェットプリンターとインクの開発へと技術転換してきた。産業用インクジェットプリンターでは国内シェア60%を占める先発メーカーである。近年は既存得意先の印字対象物がコート紙、缶、ビンなどに広がり、材質への幅広い対応が求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術段ボール以外の金属・ガラス・樹脂などの非浸透性素材にも印字できる方法が求められていた。
  • 生産能力より早く、滲まず、きれいに乾く印字への要望が根強かった。

やったこと

UV(紫外線)照射装置とUV硬化インクを自社開発し、自社製の産業インクジェットプリンターと組み合わせられるようにした。光源に関する基礎技術を習得するため専門人材を採用して開発を進めた。非浸透性のPETと化粧箱で評価を行い、印字を十分に硬化できることを確認した。UV硬化インクでフルカラー印字を可能にするため分散機も導入し、顔料を微細化できるようにした。

加工機UV照射装置
その他UV硬化インク
加工機インク分散機

新しい製品・サービス:UV(紫外線)印字システム(UV照射装置・UV硬化インク)

事業の効果

非浸透性素材であるPETや化粧箱への印字が可能になり、印字を十分に硬化できる性能が認められた。フルカラー印字もできるようになり、顔料の密着も確認された。製品はカスタマイズ可能でランニングコストが比較的安いことが魅力となり、出品後すぐに受注につながっている。今後は得意先の印字機械の老朽化などに合わせて引き合いの増加が見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性4

    段ボール向け自動捺印機から始まり、インク開発やUV技術へ転換してきた経緯が明記され、過去の取組との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内シェア75%内外、段ボール向けで60%のシェアなど、自社の強みと市場地位が具体的に示されている。

  • 課題の認識と解決4

    既存得意先の印字対象物の材質拡大という課題を示し、UV照射装置とUVインクの自社開発で解決する方針が書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は示されておらず、受注や販売実績の記述にとどまる。

  • 事業を進める体制3

    専門的な技術を有する人材を採用して開発を進めたと書かれているが、体制の具体的な規模や役割は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    PETや化粧箱での評価、フルカラー印字、製品のカスタマイズ性や低ランニングコストなど、選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    今後の展開として可食インクや錠剤用インクの開発、改良を続ける方針が書かれているが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    UV硬化インク分野で国内シェアの大半を占める先発メーカーとしての地位と、可食インクなど新分野への展開が書かれている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    食品や医薬分野での注目や新規需要の創出はうかがえるが、国が補助する積極的理由の記述は薄い。

  • 費用対効果2

    ランニングコストが比較的安いことはうかがえるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    新しい技術の導入は書かれるが、サプライチェーンへの貢献やデジタル技術の活用による波及効果の記述は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出3

    可食インクや医薬分野など成長が見込まれる分野への進出がうかがえるが、構造転換への言及は明示されていない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は得意先の要望に合わせて製品の改良を続け、可食インクや錠剤用インクの開発・製造にも注力する。来年設立50周年を迎え、次の半世紀を支える専門技術人材の確保も必要としている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。