ものづくり補助金平成26年度製造業愛媛県

加工工程の高性能化による付加価値の創造と競争力の強化

株式会社栗田鋳造所

成果送電線用電線クランプ(写真2)の1日当たりの製造数が5割増加した。

この事例のポイント

  • 顧客から加工精度の高い要求があり、鋳物の外形は精度が劣るため切削加工で満たす必要があった。
  • 高精度・高速立形マシニングセンタ(写真1)を導入し、加工精度の向上を図った。
  • 送電線用電線クランプ(写真2)の1日当たりの製造数が5割増加した。鋳物のバリ取り、寸法調整、穴あけを一度の加工で行えるようになり、加工精度の向上と作業時間の短縮につながった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社栗田鋳造所
所在地愛媛県 西条市
業種鉄鋼業
技術分野精密加工
従業員数76人
資本金5,000万円
設立1872年

事業の背景

当社は銑鉄鋳物を製造し、送電線用架線金物用鋳物部品の国内シェアは半数を超える。鋳物の外形は砂型のため加工精度が劣るが、加工精度が必要な部分は切削加工で対応し、一般の鉄工所では難しい複雑形状にも対応してきた。一方、近年は自動車産業を筆頭に海外進出が激化し、国内鋳物生産量は300万t/年まで落ち込んでいる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度顧客から加工精度の高い要求があり、鋳物の外形は精度が劣るため切削加工で満たす必要があった。
  • 生産能力中国など新興国の製品と差別化するため加工精度があらゆる製品に求められるようになり、従来銑鉄鋳物で作っていた部品がプレスや鍛造に置き換わることが増えていた。
  • 人手・技能切削加工は手作業の工程が多く、自動化による作業の効率化が求められていた。

やったこと

高精度・高速立形マシニングセンタ(写真1)を導入し、加工精度の向上を図った。導入に当たっては、対象製品のシミュレーションによる設備の仕様・オプション検討、生産性向上及び高精度化の実証、海外展開用送電金物の試作・開発、多品種少量生産向け専用治具の製作と他製品への適用、製造等へのフィードバックと高品質化への精度アップを行った。マシニングセンタは工具を自動交換でき、中ぐり、フライス削り、穴あけ、ねじ立て、リーマ仕上げなど多種類の加工を連続で行えるため、多品種少量生産に向いている。

加工機高精度・高速立形マシニングセンタ

事業の効果

  • 送電線用電線クランプ(写真2)の1日当たりの製造数が5割増加した。
  • 送電線用連結金具(写真3)の製造数が、従来の約2倍に製造可能となった。

鋳物のバリ取り、寸法調整、穴あけを一度の加工で行えるようになり、加工精度の向上と作業時間の短縮につながった。送電線用電線クランプは1日当たりの製造数が5割増加し、送電線用連結金具は従来の約2倍製造できるようになった。今後は設備導入により競合他社との差別化を図り、優位性を確立した商圏へ発展させる予定である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の銑鉄鋳物の切削加工を強みとし、送電線用鋳物架線部品で国内シェア半数以上を持つ点は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    中国など新興国製品との差別化のため加工精度が求められる市場変化と、複雑形状加工への対応力・国内シェア半数以上という強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    課題として手作業工程の多さと加工精度の劣化による代替を挙げ、MC導入で電線クランプの製造数5割増、連結金具2倍という成果を示している。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    電線クランプの1日製造数5割増、連結金具の製造数約2倍という具体的な数値目標・成果があるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    実施内容として検討項目は列挙されているが、人材や事務処理体制を担保する記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高精度加工による差別化、顧客の加工精度要求、送電線用架線金物の受注安定性など、製品価値と選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    導入前のシミュレーション、試作、治具製作、フィードバックの段階は示されるが、スケジュールや課題解決の詳細は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    鋳物加工の中で高精度・複雑形状加工を強みとし差別化を図るとあるが、市場の普及度や高価格化の水準を示す記述は薄い。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    全国の送電線網の更新需要と国内鋳物生産量の減少が示されるが、波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由は明記されていない。

  • 費用対効果3

    製造数の増加率など生産性向上の効果は示されるが、補助金投入額に対する付加価値増加の定量的記述はない。

  • イノベーションへの貢献2

    高精度・高速マシニングセンタの導入は示されるが、先端的デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は読み取れない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    愛媛県西条市の本社工場と第二工場による地域立地は示されるが、地域特性を活かした雇用や地域成長への貢献は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

国内の送電線網の更新需要は今後も増加が見込まれ、鉄系鋳物架線部品の需要が続くため、他方式の架線金物にシェアを脅かされることなく安定して受注を確保できる見通しである。

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

ねじ寸法自動計測システムの試作開発

平成25年度ものづくり補助金を活用し、人手に依存せず検査精度と生産性を向上させる「ねじ寸法自動計測システム」を試作開発した。

効果:計測面の焦点深度 2mm→5mm

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。