ものづくり補助金平成26年度学術研究、専門・技術サービス業高知県

小型橋梁点検装置の開発

株式会社 第一コンサルタンツ

この事例のポイント

  • 通常の橋梁点検車は、転倒防止のアウトリガーを据えると幅員4m程度の橋梁では通行止めが必要となり、リース料に加えて通行止めの警備人件費もかかるため、点検費用が多額になっていた。
  • 市販のバックホウ本体をベースマシンとして使い、車両通行を妨げない小型橋梁点検装置の開発に取り組んだ。
  • 実証実験により、安定性確保のためのカウンターウェイトの必要性やバスケットの水平を保つブームの可動範囲など、多くの知見を得た。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 第一コンサルタンツ
所在地高知県 高知市
業種専門サービス業
従業員数121人
資本金4,500万円
設立1963年

事業の背景

2012年12月の笹子トンネル天井板崩落事故を受け、2014年6月に橋梁やトンネルの定期点検要領が改定され、5年に1度の近接目視点検が求められるようになった。対象は橋梁70万橋、トンネル20万本に上る。当社は測量調査、地質調査、橋梁・トンネルなどの設計や維持管理を行う建設コンサルタントで、国土交通省、地方自治体、民間企業から受託している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算通常の橋梁点検車は、転倒防止のアウトリガーを据えると幅員4m程度の橋梁では通行止めが必要となり、リース料に加えて通行止めの警備人件費もかかるため、点検費用が多額になっていた。
  • 生産能力桁下から近接目視できない橋梁では吊り足場などが必要で作業効率が悪く、作業効率の向上と費用軽減を両立する新しい点検装置が求められていた。
  • その他幅員が狭い橋梁では橋梁点検車自体が使えず、交通規制を低減できる点検手段が不足していた。

やったこと

市販のバックホウ本体をベースマシンとして使い、車両通行を妨げない小型橋梁点検装置の開発に取り組んだ。平成27年9月に事業を開始し、バスケットの軽量化とブームの格納方法を検討して装置の仕様を決定した。構造計算や強度計算は国立大学法人愛媛大学に委託し、アーム部や装置全体の可動状況の確認などの実証実験を2回行った。平成28年4月に試作品を完成させ、同年5月に工場敷地内の屋上で最終動作確認を行った。その後、実橋梁での架設実験を行い、架設時間の短縮と移動方法の改良が必要なことを確かめた。

その他ベースマシン(市販バックホウ本体)

新しい製品・サービス:バックホウベースの小型橋梁点検装置(特許申請中、改良を継続)と、手動で移動できる移動式点検装置

事業の効果

実証実験により、安定性確保のためのカウンターウェイトの必要性やバスケットの水平を保つブームの可動範囲など、多くの知見を得た。道路交通法と労働安全衛生法に基づき高所作業車として認証される構造が必要と分かり、改良モデルの開発を進めている。これらの知見は国土交通省の研究開発事業に生かされ、人力で移動できる移動式点検装置の開発につながった。点検費用の軽減や作業効率の向上が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の取組として平成27年9月から開発を開始し、実証実験を経て改良を続けてきた経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置付けは記載されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    既存の橋梁点検車が使えない幅員4m以下の橋梁に着目し、国内70万橋の14%が対象と示されている。自社の経営資源との関係は書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    点検費用と通行止め警備費など多額の費用が課題と示され、橋梁点検車が使えない橋が全国70万橋の14%とされ、解決策として装置開発が具体的に示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は記載されておらず、販売時期も未定とされているため、目標の実現可能性は読み取りにくい。

  • 事業を進める体制4

    構造計算は国立大学法人愛媛大学に委託し、厚生労働省労働局の許可を得て実橋梁で実証実験を行うなど、体制と外部連携が具体的に示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    点検作業の効率化と交通規制低減が価値として示され、建設会社やリース会社への販路拡大も見込むとあるが、顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋4

    平成27年9月開始から平成28年4月試作品完成、同年5月の動作確認と段階が示され、課題解決の方法として改良や追加開発の内容も具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    橋梁点検車が使えない幅員の狭い橋梁に特化した小型装置で、既存手段との差別化が示されており、新しい分野への取組として読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    5年に1度の近接目視点検が義務化され対象が橋梁70万橋、トンネル20万本に上ると示され、公共インフラ点検への社会的意義はうかがえる。

  • 費用対効果2

    点検費用と交通規制の低減が目的とされているが、補助金額に対する付加価値額や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    大学との共同研究や新たな移動式点検装置の開発がうかがえるが、デジタル技術やビジネスモデルの具体的な活用は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    インフラ点検という分野への進出は読み取れるが、日本経済の構造転換に資する点は具体的に述べられていない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

バックホウベースの装置は販売時期が未定で、より安全で効率のよいものを目指して開発を続ける。移動式点検装置は製品化と販売に向けて準備を進めており、すでに全国から問い合わせを受けている。建設工事会社や建設機械のリース会社への販路拡大が見込まれる。

業種と困りごとが近い成果事例

茨城県学術研究、専門・技術サービス業平成25年度

つくば動物医療センター開設プロジェクト

2015年に「アイ動物医療センターつくば」を開院し、本補助事業で内視鏡システムと外科用X線TVシステム・Cアームを導入した。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。