ものづくり補助金平成26年度製造業高知県

効率的に立体装飾造形物を制作するための3D加工機の導入

株式会社 m.e.works

この事例のポイント

  • 立体装飾造形物の制作工程のほとんどが手作業で、加工に時間がかかり人件費が制作原価を押し上げている。
  • 立体装飾造形工程に、3Dデータを扱う処理ソフトと、3Dデータを読み込んで自動で切削できる3D加工機を導入した。
  • 3Dソフトの導入により、3Dデータの解析と図面化を内製化でき、外注コストを削減するとともに、図面待ち・模型待ちがなくなって迅速に制作できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 m.e.works
所在地高知県 高知市
業種プラスチック製品製造業
技術分野デザイン,精密加工,製造環境,立体造形
従業員数8人
資本金400万円
設立2010年

事業の背景

当社は建築特殊外装装飾、立体サイン、ショーやイベントの装飾、アミューズメントパークの立体造形物など、大小さまざまな造形物の制作を行っており、すべて発泡スチロールを切削して成型している。近年は3Dデータでの発注が増えてきている。立体装飾造形物は景気の影響を受けにくく、営業努力によって売上を伸ばせる市場とされている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力立体装飾造形物の制作工程のほとんどが手作業で、加工に時間がかかり人件費が制作原価を押し上げている。
  • 品質・精度制作スピードや精度が個人技能に依存し、品質にばらつきが生じていた。
  • 人手・技能スキルの高い造形職人がいても、生産効率の向上と品質の安定化には限界があった。
  • 新製品・新技術3Dデータでの発注が増えているが、3Dデータに対応する設備やソフトがなく、図面やミニチュア模型の提供を依頼するか、専門業者に解析・変換を依頼せざるを得なかった。
  • 品質・精度発注者に負担をかけるうえ、顧客の望む仕様やイメージを正しく理解できず、誤認が生じる可能性があった。

やったこと

立体装飾造形工程に、3Dデータを扱う処理ソフトと、3Dデータを読み込んで自動で切削できる3D加工機を導入した。3D加工機は既製品やメーカーがない特殊機械で、フルオーダーにより製作された。3Dデータの座標軸をもとにx・y・zの3軸で切削加工する。専用PCで解析した3Dデータを3D加工機に伝達して稼動させる専用ソフトも導入した。

加工機3D加工機(x・y・zの3軸で切削加工するオリジナル機、フルオーダー製作)
ソフト3D加工機制御ソフト

事業の効果

3Dソフトの導入により、3Dデータの解析と図面化を内製化でき、外注コストを削減するとともに、図面待ち・模型待ちがなくなって迅速に制作できるようになった。立体を全方向から確認できるため依頼者のイメージが正確に伝わり制作精度が向上し、内部構造も確認できて鉄筋の飛び出しなどのトラブルがなくなった。3D加工機により初期段階の加工が機械化され、人的労力と作業時間が減って納期短縮につながり、手作業より精度の高い切削が可能になった。また作業危険率と粉塵が低減し、人材育成に時間を充てられるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    取引先の要望に応え立体造形を手作業から機械化する流れが書かれ、既存の造形事業との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    立体装飾の需要は景気に左右されにくく、テーマパークや大型商業施設の計画があると書かれ、外部環境と強みの関係は読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    手作業の限界による短納期化と品質バラつきを課題とし、3D加工機で量産受注や価格競争力強化につなげる方向が具体的に書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    リードタイム大幅短縮や品質安定が目的とされるが、数値の目標値や付加価値額・賃上げの目標は記載がなく、わずかにうかがえる程度。

  • 事業を進める体制3

    スキルの高い造形職人が複数名いることと、3Dソフトの内製化が書かれ、体制の一部は読み取れるが事務処理能力などは薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    3Dデータで依頼者のイメージを全方向で確認でき誤認が減ったこと、取引先の高い要求に応える提案が可能になったことが書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の活動予定として新分野開拓やテーマパーク設備投資への対応が挙げられるが、スケジュールや課題解決方法の具体性は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    立体造形は一般に普及した分野ではないが、高水準の高付加価値化を示す数値や根拠は示されておらず、読み取りは薄い。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    立体装飾が観光施設や大型商業施設の需要を生み、映画・舞台分野にも広がるとあるが、雇用や波及効果の数値はない。

  • 費用対効果2

    外注コスト削減や作業時間短縮が書かれるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    3Dデータの内製化と内部構造の確認による干渉トラブル解消が書かれ、デジタル技術の活用は読み取れるが地域やサプライチェーンへの貢献は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    3D技術の導入で映画・舞台・大量生産分野へ進出する方向がわずかに書かれているが、日本経済の構造転換との関連は示されていない。

  • 地域経済への波及2

    高知県高知市の企業で、愛媛県鬼北町などの地域造形物にも関わるとあるが、地域特性を活かした雇用創出の記述は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

立体装飾造形物の需要は常にあり、関東圏では大型商業施設の開発やリニューアルが計画されているため需要は高まる傾向にある。3Dによる新しい造形表現で開発力・提案力を高め、受注を拡大する。映画・舞台・コンサートの美術装飾分野でも新たな需要を開拓し、同じ形状の大量生産にも対応して価格競争力を強化する。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。