ものづくり補助金平成27年度卸売業、小売業滋賀県

CFRPとチタンの積層材を切削加工するための高性能エンドミルの開発

株式会社Kamogawa

成果電着メッキの硬度(ビッカース硬度) 418HV→551HV

この事例のポイント

  • CFRPの切削加工では工具摩耗が激しく、高能率な加工が難しい。
  • 高精度CNC工具研削盤を導入し、新しい形状の超硬エンドミル母材を試作した。
  • 電着メッキの硬度(ビッカース硬度) 418HV→551HV。高精度CNC工具研削盤の導入により、試作開発の段階から量産を見越した製品開発ができるようになり、高精度な加工を安定的に…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社Kamogawa
所在地滋賀県 京都市南区
業種機械器具卸売業
技術分野精密加工
従業員数90人
資本金1,000万円
設立1949年

事業の背景

航空機業界では燃費改善のため、アルミ合金に代えて軽くて強いCFRPを適用し、機体重量の削減が進んでいる。同社は以前から同志社大学との産学連携により、市販の標準超硬エンドミルを母材としてCFRP用エンドミルの試作開発を行ってきた。その中で、市販品の一般的なエンドミル形状はCFRP加工に適していないことが分かっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力CFRPの切削加工では工具摩耗が激しく、高能率な加工が難しい。
  • 品質・精度CFRPの切削加工ではバリやデラミネーション(層間剥離)が発生しやすい。
  • 新製品・新技術CFRPとチタン合金の積層材は切削加工がさらに難しく、加工技術の改善が必要である。
  • 新製品・新技術市販の一般的なエンドミルの形状はCFRPの加工に適していない。
  • 品質・精度従来の電気式メッキでは工具表面のメッキが剥離する問題があった。

やったこと

高精度CNC工具研削盤を導入し、新しい形状の超硬エンドミル母材を試作した。切削性と研削性を両立させるため、スクイ角を従来の6°から逆スクイ部であるネガランド12°に設定し、スクイ面のCBN砥粒の保持力を高めた。外周2番逃げ角は、CBN砥粒が働く面積を増やすため従来の角度から0°とし、3番逃げ角のみとした。表面の電着メッキは、従来の電気式から無電解式へ変更した。既存のメッキ浴を無電解仕様に変え、時間管理と液濃度管理によりメッキ厚の均一化を図った。治具を工夫して一度のメッキ工程で10本以上の製品を流せるようにし、製造コストを抑えた。

加工機高精度CNC工具研削盤
その他既存メッキ浴(無電解仕様に変更)

新しい製品・サービス:CFRPおよびCFRP/チタンハイブリッド材を加工する高性能エンドミル

事業の効果

  • 電着メッキの硬度(ビッカース硬度) 418HV→551HV

高精度CNC工具研削盤の導入により、試作開発の段階から量産を見越した製品開発ができるようになり、高精度な加工を安定的に継続して行えるようになった。自動機能により試作から量産まで一貫して対応でき、短期間での製品開発と製品のタイムリーな供給が可能になった。無電解メッキの採用によりメッキ厚の均一化を数値で管理できるようになり、硬度も確保できたため品質が向上した。今までにないCFRP専用工具を開発でき、ユーザーニーズへの技術的対応をタイムリーに行える環境が整った。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来は市販エンドミルを母材に産学連携でCFRP用工具を試作してきたと書かれ、その延長の事業として位置づけられている。経営戦略上の明確な位置づけは読み取りにくい。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    CFRP加工では工具摩耗やバリ等が課題と述べられ、ネガランドや無電解メッキなど自社技術の工夫が示されている。市場動向と自社の強み・弱みの分析は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    工具摩耗、バリ、デラミネーションという課題を挙げ、形状変更と無電解メッキで対応する具体策が示されている。事業計画としての高付加価値化の数値は読み取れない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    メッキ硬度がHV418からHV551へ約30%向上したと数値で示されている。ただし付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    産学連携の実績や高精度CNC工具研削盤の導入は書かれているが、人材や事務体制を確保したかは読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    CFRPやCFRP/チタン積層材を加工する工具という対象は明確で、ユーザーニーズへの対応も述べられている。顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    今後は大学や製造ユーザーへの試供品配布と更なる改良を行う方針が書かれている。スケジュールや課題解決の方法の具体性は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    CFRPとチタンの積層材を対象にした専用エンドミルで、市販品にない独自形状と無電解メッキを採用している。新市場性を示す普及度の情報は少ない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    航空機の燃費改善のためCFRP適用が進んでいると背景を述べ、加工技術の必要性を示している。経済波及効果や雇用創出の記載はない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加は書かれていない。製品の開発成果と短期間での供給能力の向上は記載されている。

  • イノベーションへの貢献2

    産学連携や無電解メッキの採用はあるが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は具体的に書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    航空機の軽量化という成長分野への対応がうかがえる。構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後、大学及び各製造ユーザーへ試供品を配布し、さらに改良を行っていく予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。