ものづくり補助金平成26年度製造業佐賀県

ハラル干物の海外向け生産量増大を目指した一次加工処理の機械化

株式会社 ヨシムラ

この事例のポイント

  • 内臓処理で包丁を使うため、怪我のリスクを減らす必要があった。
  • ハラル市場への海外販路拡大に向け、量産が困難な干物の一次加工であるオサ取り(内臓処理)を行う機械を導入した。
  • 装置を設置して運用した結果、手作業より時間はかかるものの、熟練度の低い人員でも短時間で内臓処理に従事できるようになり、従業員の増員により実質的な生産量の増大が図れるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 ヨシムラ
所在地佐賀県 唐津市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数86人
資本金1,300万円
設立1999年

事業の背景

弊社は昭和29年にいわし丸干し加工として創業し、「自然」「安心」「健康」をテーマに新商品の開発に取り組んできた。近年は漁獲量の減少により原料価格が高騰する一方、製品価格は低下傾向にあり、その影響を受けている。そこで新たな事業の柱として、ハラル市場への参入を目指し、鯵のたたき身を具材とした「鯵餡餃子」を開発してハラル認証を取得した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他内臓処理で包丁を使うため、怪我のリスクを減らす必要があった。
  • その他内臓処理では腸炎ビブリオ菌による食中毒の恐れがあり、工場内の衛生面を強化する必要があった。
  • 人手・技能内臓処理は手先の器用さや熟練が必要で、人材不足が深刻化していた。
  • 人手・技能1尾ずつ処理するため非効率で時間がかかり、品質面でも問題が生じる恐れがあった。

やったこと

ハラル市場への海外販路拡大に向け、量産が困難な干物の一次加工であるオサ取り(内臓処理)を行う機械を導入した。導入したのは吸引により内臓を処理する魚の腸バキューム装置である。装置は包丁のような鋭利なものではないため安全で、吸引により内臓が飛散せず衛生的である。ノズルや取扱いに工夫は必要だが、人を選ばず作業でき、経験による技術を要しない。デモ機を用いてテストを行い、課題解消に十分な効果が期待されると判断した。

加工機魚の腸バキューム装置

事業の効果

装置を設置して運用した結果、手作業より時間はかかるものの、熟練度の低い人員でも短時間で内臓処理に従事できるようになり、従業員の増員により実質的な生産量の増大が図れるようになった。吸引処理により内臓が飛散せず、流水による洗浄や機械のアルコール消毒を行うことで衛生面が強化された。誰もが短時間でオサ取りを行えるため効率化と一定の品質向上につながり、特別な技術が不要になったことで新規雇用の裾野が広がった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の干物事業を基盤に、ハラル市場参入を新たな事業の柱とする方向性が書かれているが、経営戦略上の位置付けは具体的に示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    漁獲量減少による原料高騰と製品価格低下の外部環境が示される一方、ハラル認証取得など自社の強みの記述はあるが、競争優位の根拠は数字を伴わない。

  • 課題の認識と解決3

    オサ取り工程の人材不足という課題と、装置導入で熟練度に依存しない作業へ転換する方針が書かれているが、増産効果の数値目標はない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産量増大や品質向上を目指すとあるが、目標値は示されておらず、付加価値や賃上げの数値目標も読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    代表者や従業員86人の記載があり、生産計画を立案できる体制を整える予定とあるが、補助事業の遂行体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ハラル認証を取得した鯵餡餃子の海外展示会PRや、干物の海外販路拡大の方針が具体的に書かれ、顧客ターゲットは読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    デモ機テストを経て装置を導入し、今後は生産計画立案と海外商談強化を進める流れが書かれているが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ハラル認証を取得した鯵餡餃子など、ハラル市場という限定分野での参入を目指す点が書かれている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    新規雇用のすそ野が広がったとあり、熟練度に依らない雇用創出は読み取れるが、経済波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    投入額や付加価値増加額の記載がなく、費用対効果は定性的な記述にとどまる。

  • イノベーションへの貢献2

    吸引式の内臓処理装置の導入は書かれるが、先端デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は読み取れない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    ハラル食品の海外展開という方向性はうかがえるが、日本経済の構造転換に資する点は具体的に書かれていない。

  • 地域経済への波及3

    唐津の水産加工業として地域の原料を活かす事業と読めるが、地域経済の牽引効果は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

本装置を活かした生産計画を立案できる体制を整えるとともに、海外向けの商談を強化していく予定である。これまで海外展示会でハラル食品(鯵餡餃子)のPRを行ってきたが、今後は干物(一汐もの)も広くPRし、状況に応じて干物のハラル認証取得も視野に入れている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。