ものづくり補助金平成27年度卸売業、小売業北海道

窒素置換技術を活用した干物の品質向上とIoTによる生産工程の可視化

中標津地方魚菜株式会社

この事例のポイント

  • 干物工程の手作業による調味液を使った味付けは均一性がなく、乾燥室での温風乾燥時には酸化が進んでいた。
  • 加工センターを新設し、北海道東部で導入されている窒素置換技術を採用した。
  • 窒素塩水による漬け込み時間が一定になり、味が統一された。

事業者のプロフィール

事業者名中標津地方魚菜株式会社
所在地北海道 中標津町
業種飲食料品卸売業
技術分野製造環境
従業員数20人
資本金4,500万円
設立1973年

事業の背景

中標津地方魚菜株式会社は、北海道根室管内の総合卸売市場で、水産物・青果物の生鮮食品を小売業者、スーパー、大型店に供給している。地場の量販店から安心・安全・新鮮への要望が高まり、特に魚介類では鮮度が小売店の差別化の重要な要素になっていた。同社は道東における生鮮食品のハブ拠点としての機能を持ち、近隣の沿岸から集まる水産資源を生かして多くの種類の干物を生産できる立地にある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度干物工程の手作業による調味液を使った味付けは均一性がなく、乾燥室での温風乾燥時には酸化が進んでいた。
  • 品質・精度味の均一化と鮮度保持が不安定で、商品ロスを招いていた。

やったこと

加工センターを新設し、北海道東部で導入されている窒素置換技術を採用した。仕入れた生鮮魚類を凍結、窒素冷蔵保存、窒素海水解凍、窒素塩水自動漬け汁、窒素を噴霧した乾燥室での乾燥という工程で生産し、干物加工工程の味付け時と温風乾燥時に窒素を封入して酸化を抑えた。基本の味付けは窒素塩水のみで、添加物を使わず素材の風味を生かす方針である。窒素置換装置の酸素濃度などの置換状況や冷蔵庫・乾燥庫の温度・湿度をモニタリングし、外出先でもスマートフォンで監視できるシステムを構築した。

その他窒素置換装置
加工機窒素封入温風室(専用ラック)
ソフトIoT生産工程モニタリングシステム

新しい製品・サービス:真空冷凍で商品化された「きんき」

事業の効果

窒素塩水による漬け込み時間が一定になり、味が統一された。焼き上がりがふっくらとなり、鮮度も保たれて品質が向上した。生産効率も大幅に向上した。スマートフォンで温度を監視できるようになり、全国の商談会でも話題となって販路拡大につながる見込みである。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    市場運営と生鮮供給の既存事業から干物加工へ広げた流れは読めるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    道東のハブ拠点、釧路・根室・網走から約1時間半の集荷力、全国商談会での注目など、外部環境と自社の強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    手作業の味付けの不均一性や温風乾燥時の酸化という課題を認識し、窒素置換で解決する計画が示されている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの数値目標は書かれておらず、生産効率の大幅向上とあるのみで目標値は読み取れない。

  • 事業を進める体制2

    加工センター新設とあるが、人材や事務処理体制を示す記述はわずかにうかがえる程度である。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    鮮度とクオリティを重視する地場量販店の要望や、添加物を使わず素材の風味を生かす基本コンセプトが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    窒素冷蔵から乾燥までの工程や温度湿度のモニタリング構築は書かれているが、スケジュールや課題解決の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    窒素置換による干物の高鮮度保持は、同分野で高水準の高付加価値化を図る取組として具体的に読み取れる。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    地域の第一次産業との連携や地域住民の食卓を担う点は読めるが、雇用創出や経済波及の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    生産効率の大幅向上とあるが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は示されておらず費用対効果は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献4

    窒素置換とIoTによる温度湿度のスマートフォン監視など、デジタル技術を用いた生産工程の可視化が具体的に書かれている。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    道東の生鮮ハブという地域特性を活かし、地場の魚介類を干物に加工して付加価値を高める取組として具体的に読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

鮮度が保たれ、よりクオリティがアップした商品は全国の商談会でも話題になっており、販路拡大につなげられそうだ。

業種と困りごとが近い成果事例

東京都卸売業、小売業平成25年度

スライド式ホルダーを採用した床排水トラップの開発

製品形状を円形から正方形に変更し、一軸方向へのスライドで着脱できるスライド構造の床排水トラップ「スライドロック」を開発した。

効果:洗濯機の排水ホース内に残ってしまう排水量を大幅に少なくすることができた。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。