ものづくり補助金平成27年度製造業青森県

冷凍技術の高度化によるボトルネック解消と海峡サーモンの未利用部位活用事業

株式会社北彩屋

成果最大氷結晶生成帯の通過時間 60分→10分

この事例のポイント

  • 解凍時に「ドリップ」が起こり、内部の水分とともに旨味や栄養が外へ流れ出てしまう。
  • 急速冷凍技術の高度化のため、既存のエアーブラスト法に替えて液体凍結機を導入した。
  • 最大氷結晶生成帯の通過時間 60分→10分。氷結晶サイズがサーモン可食部の細胞30µmより小さくなったことで、冷凍時の細胞損傷が減少し、ドリップ発生のリスクが低減…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社北彩屋
所在地青森県 むつ市
業種食料品製造業
技術分野製造環境
従業員数15人
資本金120万円
設立2015年

事業の背景

弊社は北彩漁業生産組合加工部を母体に設立された水産加工会社で、冷水性魚類のニジマスの養殖から加工までを一貫して鮮度管理している。「海峡サーモン」としてブランド化に取り組み、薬剤等を一切使用しない安全性と弾力ある食感が高く評価されている。一方で、最終工程の解凍時に起こる「ドリップ」が課題となっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度解凍時に「ドリップ」が起こり、内部の水分とともに旨味や栄養が外へ流れ出てしまう。
  • 生産能力一度解凍して加工し再冷凍すると「ドリップ」が目に見えて発生するため、8月以降に加工品を冷凍保存できず、ブランド商品として扱えず賞味期限内での売り切りとなっていた。

やったこと

急速冷凍技術の高度化のため、既存のエアーブラスト法に替えて液体凍結機を導入した。この機械は1時間に20kgの魚体等を急速冷凍できる。−35℃に冷却したアルコールを絶えず攪拌することで加工品に液体が均等にあたり、高い熱伝達率により急速に冷却する。これにより氷の結晶が小さくなり、細胞を破壊しない凍結が可能になった。

加工機液体凍結機

新しい製品・サービス:生ハム仕立て、マリネディル風味、バジルステーキ、ヒレ酒セット、皮チップス等の試作開発が終了している。さらにレバーや卵巣の開発も進めている。

事業の効果

  • 最大氷結晶生成帯の通過時間 60分→10分
  • 製品内の氷結晶サイズ 200µm→20µm

氷結晶サイズがサーモン可食部の細胞30µmより小さくなったことで、冷凍時の細胞損傷が減少し、ドリップ発生のリスクが低減した。これにより弊社では初めて8月以降の加工商品の冷凍保存が可能となり、年間を通じてストックを維持できるようになった。お歳暮時期等に発生していた売上逸失が無くなり、経営の安定化につながる。さらに、これまで廃棄されていたヒレや皮、肝臓、卵巣等の未利用部位も冷凍保存でき、新商品開発による売上向上が見込まれる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    ブランド化の取組と最終工程の解凍時ドリップ課題が示され、冷凍技術の高度化は過去の取組との連続性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    薬剤不使用・良質な食感が高く評価されたと記載され、強みを生かして売り切り課題を解消する方針が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決5

    最大氷結晶生成帯の通過が約1時間から約10分に、氷結晶サイズが200µmから20µmに縮小と数値で課題と解決策が示され、売上逸失約460万円の回収も見込まれる。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    1時間20kgの処理能力、約460万円の回収見込み、加工品売上総額の8%と数値目標が示されている。

  • 事業を進める体制2

    従業員15名と記載はあるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力の具体的記述はわずかにうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    薬剤不使用・高食感のブランドに加え、生ハム仕立てなど試作商品と売り先の時期が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作開発の完了と今後の商品開発計画は示されるが、スケジュールや課題解決の段取りは具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    アルコール急速冷結という既存のエアーブラスト法と異なる手法を採るが、普及度や高価格化の具体的根拠は薄い。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    未利用部位の活用や地域の水産業への波及がわずかにうかがえるが、国が補助する積極的理由は明示されていない。

  • 費用対効果4

    約460万円の売上回収見込みと未利用部位の活用という費用対効果を示す数値が読み取れる。

  • イノベーションへの貢献2

    急速冷凍技術の高度化はあるが、先端デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は記載されていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    むつ市の地域水産資源「海峡サーモン」を活用し、通年供給と未利用部位の付加価値化で地域経済への寄与がうかがえる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

従来売り逃しとなっていた平成29年12月のお歳暮時期の約460万円(加工品売上総額の8%)の回収が可能となる見込みである。未利用だったヒレや皮などの部位も付加価値化が想定でき、試作済みの新商品に加えてレバーや卵巣の開発を進め、更なる新商品の販売を予定している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。