ものづくり補助金平成27年度製造業岩手県

大型高精度多面加工設備の導入及び生産プロセス改革による生産性の改善

株式会社 WING

この事例のポイント

  • 既存設備では生産能力に限界があり、樹脂加工品の溶接・溶着の受注に対応できず、やむを得ず受注を断っていた。
  • 同時5軸加工・高精度多面加工マシニングセンタを導入し、段取り工程の時間短縮と精度向上を図った。
  • 段取り時間が短縮され、加工精度と加工時間の改善が実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社 WING
所在地岩手県 北上市
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工
従業員数35人
資本金300万円
設立1999年

事業の背景

当社は半導体・液晶製造装置用、自動車製造用、医療機器、光学機器、農業資材用などの工業用樹脂製品を製造しており、県内では珍しい精密プラスチック溶接製品を製造している。半導体製造装置の部品である精密プラスチック溶接製品は、電子機器の増加や省エネ環境自動車の増大、先進運転支援システム(ADAS)の自動車への搭載拡大により需要が高まっている。樹脂加工の溶接・溶着まで対応できる引き合いが増加傾向にあるが、既存設備では生産能力に限界がある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力既存設備では生産能力に限界があり、樹脂加工品の溶接・溶着の受注に対応できず、やむを得ず受注を断っていた。
  • 品質・精度樹脂加工では切削粉の除去と刃物の冷却を都度人の手で行う必要があり、樹脂は熱の影響を受けやすいため冷却が不十分になり、顧客が要求する精度を確保することが困難だった。
  • コスト・採算受注品目ごとにプログラミングを行う必要があり、急増している小ロット生産では都度プログラミングが発生していた。
  • その他工場内の生産設備の稼働状況やデータが把握できず、工場全体の生産状況が見えない状態だった。

やったこと

同時5軸加工・高精度多面加工マシニングセンタを導入し、段取り工程の時間短縮と精度向上を図った。本設備は密閉構造のため湿式の切削油を利用でき、切削粉の除去と刃物・製品の十分な冷却が可能となった。さらに、データを収集するIoTネットワークを構築し、通信基盤ソフトウェアを開発して各設備の生産データを集約した。作業担当者の作業状況と設備の稼働状況を把握し、工程間の人員移動を行うことで生産能力の平準化を図った。

加工機同時5軸加工・高精度多面加工マシニングセンタ
ソフト通信基盤ソフトウェア(IoTネットワーク)

事業の効果

段取り時間が短縮され、加工精度と加工時間の改善が実現した。工場全体の生産状況を見える化し、工程間の人員移動により生産能力の平準化が実現した。これにより、高付加価値製品の開発力を強化し、新たな受注分野へ進出できるようになった。今まで失っていた受注の確保と外注利用の低減も実現し、経営力の向上を図っている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存設備では受注に対応できず断っていたとあり、樹脂溶接の受注増加を背景に設備導入へ至った経緯は読み取れるが、過去の取組との連続性は具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    半導体製造装置や自動車の需要拡大を背景に、精密プラスチック溶接の受注増が続いていると書かれ、強みとなる高付加価値製品の増産が位置付けられている。

  • 課題の認識と解決4

    既存設備の生産能力限界と湿式切削油による加工精度・時間の課題が示され、同時5軸加工機導入で段取り時間短縮と精度向上を図る計画となっている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    加工時間短縮や精度向上の方向は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    プロジェクトチームを作り設備選定と生産管理システム構築に着手したとあり、体制の一端はうかがえるが人材や事務処理能力の具体は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    半導体・液晶製造装置、医療機器など取引先の産業が示され、顧客の高度な精度要求に応える点が明確に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    IoTネットワーク構築や工程間の人員移動による平準化など課題解決策は書かれるが、スケジュールの記載は乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    県内では珍しい精密プラスチック溶接製品を製造し、同分野で高付加価値化を図る取組であることが書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    半導体製造装置や自動車の生産拡大を背景とした需要増への対応が語られるが、雇用や波及効果の定量的な記載はない。

  • 費用対効果2

    投入額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数字は書かれておらず、加工時間短縮のみがうかがえる。

  • イノベーションへの貢献3

    IoTネットワークで工場全体の生産状況を見える化し、CNC機のデータを集約する取組が書かれ、デジタル活用は読み取れる。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    半導体製造装置や医療機器など成長分野の受注拡大に対応する方向が書かれるが、構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及2

    県内での希少性は触れられるが、地域経済の成長や雇用創出への波及は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

製品の多様化と精度の向上が求められる半導体機械装置業界、自動車業界、医療機器業界などからの精密多面加工部品に係る高度な要求に応えていきたい。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。