ものづくり補助金平成27年度建設業岩手県

防潮堤の復旧整備に不可欠なコンクリート残存型枠の量産・短納期化計画

一沢コンクリート工業株式会社

成果1日あたりの製造数 30枚/日→200枚/日

この事例のポイント

  • 従来の流し込み製法では金型の準備が必要で、生コンクリートの硬化と脱型に1日を要したため、1つの金型から1日1枚しか製造できず、保有する金型全体でも1日30枚が限度だった。
  • ゼロスランプコンクリートを用いた即時脱型タイプの残存化粧型枠製造機を新たに導入した。
  • 1日あたりの製造数 30枚/日→200枚/日。新設備の導入により残存化粧型枠の生産量が大きく向上し、顧客の要望する数量と納期に対応できる量産体制が整った。

事業者のプロフィール

事業者名一沢コンクリート工業株式会社
所在地岩手県 久慈市
業種職別工事業
技術分野材料製造プロセス
従業員数128人
資本金1,000万円
設立1969年

事業の背景

当社は河川の護岸や道路脇の側溝、防潮堤や砂防堰堤などのコンクリート製品の製造から販売までを一貫して手がけている。東日本大震災以降は復興工事や津波対策のため防潮堤や波返工の需要が増加していた。その後、コンクリート製の化粧型枠をそのまま型枠として使う残存型枠工法が登場し、残存化粧型枠の需要が増加している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力従来の流し込み製法では金型の準備が必要で、生コンクリートの硬化と脱型に1日を要したため、1つの金型から1日1枚しか製造できず、保有する金型全体でも1日30枚が限度だった。
  • 納期・工程残存化粧型枠の需要増加に対して、顧客が求める発注量と納期に既存設備では対応できなかった。
  • 人手・技能製造には技術力と体力のある人員が必要で、作業人員は最低10人を要していた。

やったこと

ゼロスランプコンクリートを用いた即時脱型タイプの残存化粧型枠製造機を新たに導入した。この機械は自動供給される底板に流動性のないゼロスランプコンクリートを充填し、上部から強い振動と圧力をかけて成形し、即座に脱型することができる。底板と補強部材のセット、コンクリートの供給、成形、脱型までをオートメーションで行う。もともと当社はゼロスランプコンクリートの配合のノウハウを持っていたため、製造環境に応じた最適な配合も調整できた。

加工機残存化粧型枠即時脱型製造機

新しい製品・サービス:ゼロスランプコンクリートを用いた即時脱型タイプの残存化粧型枠

事業の効果

  • 1日あたりの製造数 30枚/日→200枚/日
  • 1枚あたりの脱型までの時間 1,440分→2分
  • 作業人員 10人→3人

新設備の導入により残存化粧型枠の生産量が大きく向上し、顧客の要望する数量と納期に対応できる量産体制が整った。プロセスの自動化により、金型の準備や脱型にかかっていた時間が大幅に短縮され、作業人員も大きく減少した。機械の操作は若手や女性でも行えるため、より効率的な人員配置が可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の金型による流し込み製法の課題と新工法への対応は書かれているが、過去の事業との一貫した位置付けは具体的に述べられていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    残存型枠の需要増と北東北で即時脱型製造機を保有するのは当社のみという競争上の強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決5

    生産量が1日30枚から最大200枚へ500%超向上し、作業人員が10人から3人になったなど、課題解決の効果が数字で示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    脱型時間を24時間から2分へ短縮し、1日30枚から200枚への増産という目標と実績が具体的に書かれている。

  • 事業を進める体制3

    ゼロスランプコンクリートの配合ノウハウや自社の製造体制に触れているが、補助事業の遂行体制の記載は限定的。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    顧客の発注量や納期への対応、残存型枠工法のメリットが具体的に書かれ、選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋2

    導入後の防潮堤から砂防堰堤への受注シフトは書かれているが、中長期の遂行方法やスケジュールは述べられていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    残存型枠工法は一般型枠より普及が新しく、即時脱型での量産は北東北で当社のみという高水準の差別化が書かれている。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    防潮堤の復旧や津波対策に必要な製品という社会的意義は書かれているが、経済波及や雇用創出の具体的数字は少ない。

  • 費用対効果4

    投資に対し生産量500%超向上、作業人員10人から3人への削減という費用対効果を示す数字が書かれている。

  • イノベーションへの貢献2

    自動化による省人化は示されているが、先端的デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの言及は乏しい。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    残存型枠工法による建設廃材削減や工事期間短縮が書かれ、産業構造の転換に触れるが、踏み込みは弱い。

  • 地域経済への波及3

    岩手県久慈市という地域拠点で東北の防潮堤工事を支えると読めるが、地域の特性を活かした成長への具体的記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

残存型枠工法の需要増加が見込まれるなか、北東北で残存化粧型枠即時脱型製造機を保有するのは当社のみであるため、残存型枠工法のメリットとともに量産体制を広くアピールし、競争力の向上につなげていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。