ものづくり補助金平成27年度製造業宮城県

高効率成形技術の高度化とIoTを活用した変種変量生産の効率化・稼働率向上

株式会社サンテック東北

成果型締力の設定可能下限 60%→0%

この事例のポイント

  • 座板はコンデンサと正確に嵌合する寸法精度と強度が必要だが、振動にさらされる自動車関連用途では精度と強度の確保が課題だった。
  • 新規設備を導入して成形技術の高度化を図った。
  • 型締力の設定可能下限 60%→0%。射出充填時のピーク圧を抑えたことで金型の負荷が軽減され、金型の長寿命化によりコスト削減につながった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社サンテック東北
所在地宮城県 黒川郡大和町
業種その他の製造業
技術分野精密加工
従業員数45人
資本金5,000万円
設立1988年

事業の背景

昭和63年に設立された同社は、当初の半導体用金型パーツ加工からプラスチック成形へ事業を転換し、電子部品の基板実装に使う絶縁端子板の座板などを製造している。デジタル機器の普及に伴い需要が増えたアルミ電解コンデンサ用座板で実績を伸ばした。パソコン関連部品は円高や人件費高騰で多くが海外生産になったが、現在は自動車関連や車載機器関連の座板需要が増えており、国産座板の将来性が高いとされている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度座板はコンデンサと正確に嵌合する寸法精度と強度が必要だが、振動にさらされる自動車関連用途では精度と強度の確保が課題だった。
  • 新製品・新技術機器の小型化による省スペース化のため、座板の薄肉化も実現しなければならなかった。
  • 品質・精度従来の油圧式設備では型締力を60%以上にしか設定できなかった。
  • 生産能力コンデンサの仕様は製品ごとに異なるため変種変量生産となるが、設備1台ごとの情報しか収集できず、全体の設備稼働率を向上させるための生産管理が難しかった。
  • コスト・採算海外生産品に対して国産の品質を保ちつつコスト面で対抗するため、コンデンサの取り付け効率を向上させる低コスト化が求められた。

やったこと

新規設備を導入して成形技術の高度化を図った。導入した成形機はファナック製α-S100iAで、サーボモーターを使用することで型締力を0〜100%の範囲で設定できるようになり、60%より低い型締力での成形が可能になった。精密型締力制御の機能により、成形中のトラブル時にも設定した型締力を自動で補正し、基本的に無人で稼働できるようにした。射出充填時のピーク圧を抑制して金型の負荷を軽減するとともに、金型面圧を均一化して薄肉形成も可能にした。加えて、ものづくり補助金で導入した2台の設備をネットワークに接続し、IoTにより変種変量生産の効率化と設備稼働率の向上を図った。

加工機ファナック製 α-S100iA
ソフト設備接続用のIoTネットワークシステム

事業の効果

  • 型締力の設定可能下限 60%→0%

射出充填時のピーク圧を抑えたことで金型の負荷が軽減され、金型の長寿命化によりコスト削減につながった。金型面圧の均一化により薄肉形成も可能になった。寸法精度に影響する成形品重量のバラツキは15%向上し、生産コストに影響する成形リードタイムは30%削減された。IoTによる生産管理の一元化で品質管理の可視化やトレーサビリティの記録が可能になり、従業員の負担を減らしながら24時間フル稼働できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    事業は金型・成形で築いてきた流れにあり、電解コンデンサ用座板の事業拡大を明記しているが、経営戦略上の位置づけは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    海外生産の増加やコンデンサ需要増、国産座板の信頼性に言及し市場環境は読み取れるが、自社の強み・弱みの分析は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    精度向上とコスト削減が課題として明確で、サーボ化や変種変量生産のIoT化により解決策が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    成形リード時間30%削減、成形品重量のバラツキ15%向上など数値目標と達成実績が示されている。

  • 事業を進める体制2

    従業員45名や一連の作業体制の記述はあるが、補助事業を遂行する人材や事務処理能力の具体的な確保策は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    耐久性・高精度・低コストの製品特性と国産座板の需要は書かれているが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    IoT早期実現や増産準備への言及はあるが、遂行スケジュールや課題解決の具体的な手順は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    アルミ電解コンデンサ用座板の製造で実績を伸ばしたと書かれ、高精度化による差別化の方向性はあるが、分野の普及度の数字は示されていない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用2

    国産自動車や車載機器の輸出増、国内ものづくりのポイントへの言及はあるが、雇用創出や波及効果の具体的記述は少ない。

  • 費用対効果4

    リードタイム30%削減、重量バラツキ15%向上、稼働率向上によるコスト削減と費用対効果を示す数字が読み取れる。

  • イノベーションへの貢献3

    IoTで生産管理を一元化しトレーサビリティを記録する仕組みが述べられ、デジタル活用は読み取れるがサプライチェーン全体への貢献は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    自動車関連や車載機器など成長が見込まれる分野への進出がうかがえるが、構造転換への言及は明確ではない。

  • 地域経済への波及2

    大和町に立地し地域の企業グループの一員である点はあるが、地域の特性を生かした雇用や成長への言及は少ない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

TPPの影響もあり、今後も自動車や車載機器の輸出は増えると見込まれ、電子化の進展によりコンデンサと座板の需要はさらに増えると予想されている。今後は増産体制への準備や低コスト化が大きな課題になるとしている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。