ものづくり補助金平成27年度製造業山形県

IoTを用いた生産革新事業

株式会社渡辺螺子

この事例のポイント

  • 多品種少量短納期の注文が増えたが、そのノウハウがなく、マンパワーで乗り切る厳しい状況にあった。
  • 営業担当者が顧客との打ち合わせにノートPCまたはタブレットを社内システムのクライアントとして使い、納期回答や稼働状況、生産履歴、品質情報を顧客先で伝え、その場で受注処理と納期設定…
  • 顧客との打ち合わせから、EDI受注、生産情報の送受信、MRPロジックによる多品種少量品と中ロット品の混流生産までを一貫して実現した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社渡辺螺子
所在地山形県 村山市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工,製造環境
従業員数16人
資本金2,000万円
設立1960年

事業の背景

近年、製造業の海外生産移転に伴い、国内製造業の多くは多品種少量短納期の業務が主流になり、これまでにない生産管理体制を余儀なくされている。多くの中小零細企業は、生産管理体制の構築に迫られながらノウハウも構想も見出せず、マンパワーで注文に対応している。当社は工作機械、自動車、半導体生産装置などの分野向けに機能部品や部品を製造販売している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能多品種少量短納期の注文が増えたが、そのノウハウがなく、マンパワーで乗り切る厳しい状況にあった。
  • 納期・工程加工プログラムを作業者が工作機械で作成・手入力し、段取り替えのたびに読み取る作業に手間がかかっていた。
  • 納期・工程受注から納期までの情報が顧客と共有されず、納期遅延や売上機会損失、信用低下を招いていた。

やったこと

営業担当者が顧客との打ち合わせにノートPCまたはタブレットを社内システムのクライアントとして使い、納期回答や稼働状況、生産履歴、品質情報を顧客先で伝え、その場で受注処理と納期設定、作業指示を行えるようにした。加工プログラムと工具情報、切削条件、留意点、加工チェックシートなどの加工情報を社内サーバに保存し、工作機械とイーサネットで通信して、内蔵メモリを使わずに逐次プログラムを送信する方式とした。従来は機械ごとに行っていた工程をNC複合加工機の導入により一つの工程に集約し、1チャックで全加工を行えるようにした。受注は顧客からEDIで取り込み、社内加工計画を自動で立案して作業指示を出し、外注EDIで外注先とも情報をやり取りして納期までを一貫管理する体制を構築した。

加工機NC複合加工機
ソフト専用ソフトウェア(生産情報の収集・送受信)

事業の効果

顧客との打ち合わせから、EDI受注、生産情報の送受信、MRPロジックによる多品種少量品と中ロット品の混流生産までを一貫して実現した。生産リードタイムが大幅に短縮され、稼働率も大きく向上した。滞留品や仕掛かり品が減ってキャッシュフローが良化し、収益性と生産性が改善した。無人運転中の稼働情報やアラーム情報も随時確認できるようになり、生産情報の見える化とPDCAサイクルの改善が進んだ。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    独自に構築してきた生産管理システムの拡張として位置付けられ、過去の取組との連続性は読めるが、経営戦略上の明確な位置付けは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    多品種少量短納期への対応が課題として挙げられているが、市場動向や自社の強み・弱みと競争優位性の関係までは記述がない。

  • 課題の認識と解決4

    納期遅延や売上機会損失という課題を示し、EDI受注や計画生産、仕掛在庫低減で解決する計画が具体的に書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    稼働率向上や生産リードタイム短縮は書かれているが、付加価値額や賃上げの数値目標は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    大学の研究センターから指導を受けている点は読み取れるが、担当体制や人材の具体的な配置は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け2

    多品種少量短納期の顧客ニーズへの対応は触れているが、製品価値や顧客ターゲットの整理は十分に書かれていない。

  • 事業化までの道筋3

    社内サーバ、EDI、NC複合加工機導入など遂行方法は示されるが、スケジュールの記載はない。

  • 財務と資金の調達2

    キャッシュフロー良化による収益性改善に触れているが、資金調達や財務状況の具体的な記述はない。

新市場性・高付加価値性20%
  • 新しさ・高付加価値1

    公開されている事例からは読み取れません。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    海外生産移転による国内製造業の厳しい状況に触れるが、波及効果や雇用創出など国が補助する理由は明示されていない。

  • 費用対効果2

    リードタイム短縮や仕掛在庫減少などの効果は書かれているが、補助金額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    EDIや生産情報のリアルタイム送受信、外注先とのシームレスな運用など、サプライチェーンへの貢献が具体的に書かれている。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    山形県の補助金成果事例として掲載されているが、地域の特性を活かした付加価値創出や雇用への効果は記述がない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

受注から生産までの一気通貫のものづくり体制を構築し運用することで、人材やノウハウのない事業者が同様の体制を構築するモデルケースとして意義のある事業になったと考えている。今後も山形大学国際事業化研究センターの指導を受けながら、その内容を反映して体制を構築していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。