ものづくり補助金平成24年度大阪府

鋳鉄の欠陥補修に適した共金糸溶接材料の開発

特殊溶接棒株式会社

この事例のポイント

  • 鋳鉄製の金型補修はガス溶接が主流で、熟練職人の技に頼るため経験の浅い職人には難しい。
  • 鋳鉄の欠陥補修に適した共金系溶接材料の開発に取り組んだ。
  • 社内の実験室レベルでは当初の予定通り、予後熱を行わずに鋳鉄をアーク溶接できる共金系溶接材料が完成した。

事業者のプロフィール

事業者名特殊溶接棒株式会社
所在地大阪府 堺市堺区
業種金属製品製造業
技術分野溶接
従業員数17人
資本金1,000万円

事業の背景

同社は50年余りの業歴を持つ橋本鉄工株式会社の関係会社で、橋本鉄工と破砕機メーカーのトーホーテクノとの3社でグループを形成している。同社は特殊な溶接材料の製造・販売と特殊材料の溶接施工を担い、顧客の利用状況や材質に合わせた専用品を開発するため取引は長期にわたることが多い。販路は重工業、材料メーカー、材料商社、自動車関係が中心である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能鋳鉄製の金型補修はガス溶接が主流で、熟練職人の技に頼るため経験の浅い職人には難しい。
  • 新製品・新技術予後熱を行わず急速冷却しても割れが生じない、鋳鉄を簡単かつ安価に溶接補修できる溶接材料が求められていた。

やったこと

鋳鉄の欠陥補修に適した共金系溶接材料の開発に取り組んだ。含まれる元素の種類と量を変えたり施工方法を変えたりと、さまざまなバリエーションで技術開発を進めた。複合的な影響を把握するため材料組織を詳細に観察できる光学顕微鏡を購入した。広島大学と共同で鋳鉄の溶接分野の専門的知見を活かしながら研究を進めた。

新しい製品・サービス:予後熱を行わず急速冷却下でも割れが生じず黒鉛が生成する、鋳鉄の欠陥補修に適した共金系溶接材料。

事業の効果

社内の実験室レベルでは当初の予定通り、予後熱を行わずに鋳鉄をアーク溶接できる共金系溶接材料が完成した。一方、事業化には手順がやや複雑になっている点と、販売価格の決定に時間を要している点という壁が残っている。研究開発を通じて売上に直結するか分からない開発に消極的だった社員も、その重要性を認識し、人材育成などにプラスの波及効果があった。チャレンジ精神の醸成にもつながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.5 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

伸びしろがあった観点

  • 2
    課題の認識と解決事業化の壁として手順の複雑さや販売価格決定の遅れが挙げられているが、課題への解決計画や成長見込みの数字は書かれていない。
経営戦略との整合性2.7
  • これまでの取組との一貫性3

    50年余りの業歴と肉盛溶接・補修溶接への強みが書かれ、顧客に合わせた専用品開発で長期取引が多いと読めるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    重工業や材料メーカーなど販路と、顧客に合わせた専用品開発が書かれているが、市場動向の分析や競争優位の根拠は具体的に示されていない。

  • 課題の認識と解決2

    事業化の壁として手順の複雑さや販売価格決定の遅れが挙げられているが、課題への解決計画や成長見込みの数字は書かれていない。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標ー

    公開情報では判断できません。

  • 事業を進める体制3

    外注を使わず自社で肉盛溶接を完結できる体制や、広島大学との共同研究が書かれているが、人材や事務処理能力の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    金型補修の課題と鋳鉄を予後熱なしで溶接できる材料の特徴は書かれているが、顧客数や選ばれる理由の数字はない。

  • 事業化までの道筋2

    今後は学会発表や大学連携で次の開発段階へ進む考えが示されているが、スケジュールや課題解決の方法は具体的でない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    鋳鉄金型の補修をガス溶接の熟練に頼らず行える共金系材料という特徴は書かれているが、普及度や価格面の優位は数字で示されていない。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    発電所など重要インフラや自動車部品の金型補修に触れているが、雇用創出や波及効果の定量的な根拠は示されていない。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献2

    大学との連携や材料組織の観察、残留応力のモニタリング製品の開発が書かれているが、サプライチェーンへの貢献は明示されていない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    金型補修の効率化や研究開発体制の強化が書かれているが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    堺市に所在する中小企業としての地域拠点は読み取れるが、地域特性を活かした付加価値創出の具体的な説明は薄い。

今後の展望

今後は溶接または鋳造の研究者で構成される学会での発表を検討し、専門家との情報交換を通じて次のステップに進む考えである。大学や行政の補助事業を活用してコンスタントに製品開発を進め、溶接材料の改良点を整理する。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。