ものづくり補助金平成27年度製造業富山県

医薬品の生産性向上を目的とした品質管理システムの構築

救急薬品工業株式会社

この事例のポイント

  • 検査データの不正・改竄が医薬品業界で問題となり、試験データの信頼性が疑われるようになった。
  • 品質管理システム「LIMS」を導入し、試験作業と試験記録を一元的にまとめる体制を整えた。
  • 検査記録のペーパーレス化に成功し、データの一元管理によりバックアップやメンテナンスも統合された。

事業者のプロフィール

事業者名救急薬品工業株式会社
所在地富山県 東京都中央区
業種化学工業
技術分野情報処理,測定計測
従業員数260人
資本金9,500万円
設立1963年

事業の背景

当社は昭和38年の創業以来、局所作用型の貼付剤を中心に研究と技術向上を重ねてきた専門メーカーである。医薬品は規制当局の承認に基づく厳格な製造工程管理が求められ、その記録の保管が義務付けられている。分析技術の進歩により試験機器のデータが巨大化し、全データを紙に打ち出すことが困難になっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度検査データの不正・改竄が医薬品業界で問題となり、試験データの信頼性が疑われるようになった。
  • その他試験記録を6年間保管しており、取り扱う製品や試験項目の増加に伴って保管スペースが不足していた。
  • 人手・技能すべての原料・製品の全データを紙で管理することは限界と判断された。

やったこと

品質管理システム「LIMS」を導入し、試験作業と試験記録を一元的にまとめる体制を整えた。LIMSは各自所有のタブレット端末に分析機器をつなぎ、その場で入力・完結できるようにした。クロマトグラフィーデータシステム「CDS」を導入し、分析機器の生データをサーバーで一元管理できるようネットワーク化した。ネットワーク化によりPCの台数を最小限に抑え、空いたスペースに新たな分析機器を投入した。CDSのデータをLIMSへ供給する連動も可能にした。

ソフト品質管理システム(LIMS)
ソフトクロマトグラフィーデータシステム(CDS)
検査測定分析機器

事業の効果

検査記録のペーパーレス化に成功し、データの一元管理によりバックアップやメンテナンスも統合された。データへの人の介在がなくなり、試験室の終了後に行っていた入力・編集作業の大幅な削減につながった。データの信頼性が向上し、規制当局の査察や販売会社の監査への対応がスムーズになった。空いた時間や人員を活用して新たな仕事を創出し、業務効率も向上した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の品質管理業務をシステム化する流れは読み取れるが、経営戦略上の位置づけや過去の取組との一貫性までは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    当局の査察や海外メーカーの問い合わせ増加、競合への優位性への言及はあるが、自社の経営資源の強み弱みとの関係は具体的でない。

  • 課題の認識と解決4

    紙管理の限界と記録6年保管によるスペース問題を課題として挙げ、LIMSとCDSの導入で解決したことが具体的に書かれている。

事業の実現可能性36%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    業務効率向上や余力の活用は書かれるが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値や数値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    ネットワーク化やシステム導入の実施は書かれるが、推進体制や人材、事務処理能力についての記述はほぼない。

  • 顧客とニーズの裏付け2

    海外当局やメーカーからの要望増加への対応が述べられるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    導入後の海外展開に向けた品質管理体制の向上という方向性のみで、スケジュールや課題解決方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    口腔内フィルム製剤を世界初で製品化したと書かれ、高付加価値性はうかがえるが、本事業の品質管理システム自体の新市場性は薄い。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    データ信頼性向上による規制当局対応のスムーズ化や海外市場への貢献はうかがえるが、国が補助する積極的な理由としての波及効果は書かれていない。

  • 費用対効果3

    データ入力作業の大幅な削減や時間的余力、PC台数の抑制が書かれるが、補助金額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    クロマトグラフィーデータをLIMSに供給する連動など、デジタル化の方向性はうかがえるが、業界やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    富山県の事業本部や工場が記載されるが、地域の特性を活かした付加価値創出や雇用・成長への言及は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

世界の医薬品市場には潜在的なニーズがあるとみて、海外展開を見据えて品質管理体制を更に向上させていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。