ものづくり補助金平成27年度製造業富山県

技術の数値化と設備間の連携により、育成コストの低減と生産効率の向上を実現

株式会社山口技研

この事例のポイント

  • 熟練工の技と経験は長い年月をかけて養われるため、マニュアルとして文化することが難しい。
  • 平成28年秋、北陸職業能力開発大学校の指導を受け、自社工場にツールプリセッタと新型のマシニングセンタを導入した。
  • 熟練工の技を数値化して加工システムに組み込んだことで、経験の浅いスタッフでも作業速度を上げることができ、育成に要する時間的コストを低減できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社山口技研
所在地富山県 下新川郡入善町
業種生産用機械器具製造業
技術分野情報処理,測定計測
従業員数30人
資本金1,500万円
設立1977年

事業の背景

当社は自動車製造装置、工作機械、半導体製造装置、医療設備装置などに向けた機械部品を製造している。高精度の加工や、金型加工で培ったノウハウを活かした治具製作、アルミ・ステンレス製品の研磨加工などが強みである。製品には1/1000mm単位の精度が求められることも少なくない。設立40周年を迎え、ひとつの業界の好不況に比較的左右されにくい経営を行っている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能熟練工の技と経験は長い年月をかけて養われるため、マニュアルとして文化することが難しい。
  • 人手・技能定年に達した社員の退職により、個々人のもつ高い技術が失われることを危惧している。
  • 人手・技能世代間の技術継承が喫緊の課題だが、技術の習得には数十年を要することも珍しくない。

やったこと

平成28年秋、北陸職業能力開発大学校の指導を受け、自社工場にツールプリセッタと新型のマシニングセンタを導入した。ツールプリセッタは工具のサイズを計測する装置である。新たなシステムでは、ツールプリセッタで計測した工具サイズを、LANネットワークに接続されたマシニングセンタの制御プログラムに反映させることができる。また、設備の稼働状況をコンピュータでモニタリングできるようにした。

検査測定ツールプリセッタ
加工機新型のマシニングセンタ

事業の効果

熟練工の技を数値化して加工システムに組み込んだことで、経験の浅いスタッフでも作業速度を上げることができ、育成に要する時間的コストを低減できた。作業速度は体感ではあるが1割程度の向上が見られた。作業に関するデータを保存・蓄積できるようになり、熟練工の抜けた穴をテクノロジーで補う生産体制の構築に近づいた。一方で、設備が稼働していない時間帯が多いことも明らかになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    設立40周年や熟練工の技術継承を課題に挙げ、過去からの技術の延長として設備導入を位置づけているが、経営戦略上の明確な位置づけは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    1/1000mm精度への要求や、高精度加工・治具製作・短納期対応を強みとして挙げているが、市場動向との関係は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    熟練工の退職による技術喪失を課題とし、ツールプリセッタとマシニングセンタで解決を図る流れが具体的に書かれている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    作業速度について体感で1割程度の向上とあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    北陸職業能力開発大学校の指導や事業部設置、顧客先への社員出向によるノウハウ蓄積が書かれ、体制の一端がうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    精密機械や医療設備向け部品の製造と、短納期・高精度という選ばれる理由は書かれているが、顧客ターゲットの整理は限定的。

  • 事業化までの道筋2

    導入後に設備が稼働していない時間帯が見つかったことや今後の方策検討が書かれるのみで、スケジュールや解決方法は明確でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    1/1000mm精度や熟練工の技術をIoT設備に組み込む点は特徴的だが、分野の普及度や高価格化の数値は示されていない。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    技術継承問題の対策という記述はあるが、経済波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由は読み取れない。

  • 費用対効果2

    作業速度が体感で1割向上したとあるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    設備同士をLANで連携させ、ノウハウを加工システムに組み込む取組が書かれ、ものづくりの連携面でのイノベーションがうかがえる。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    入善町という地域での事業であることは示されるが、地域特性を活かした雇用や成長への寄与は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

設備間の連携に関する経験値を蓄積し、稼働していない時間帯のロスを削減する方策を検討して、生産体制のさらなる効率化を図りたい。また、ひとつの生産ラインに関わるすべての設備を一貫して担える体制の構築を目指している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。