ものづくり補助金平成27年度製造業福井県

IoTを活用した三方向加工システムの導入によるT型三方継手の生産体制の構築

株式会社日本エー・エム・シー

この事例のポイント

  • T型三方継手は一方向ごとに1台のCNC旋盤を使うため、段取りに時間がかかり機械の稼働率が低かった。
  • 福井県の永平寺工場を新設し、T型三方継手を加工するCNC旋盤3台を向かい合うように設置して、機械のハンドリング時間を減らした。
  • 遠隔監視により既存の加工ラインの問題点を即時に改善できる環境が整った。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社日本エー・エム・シー
所在地福井県 福井市
業種金属製品製造業
技術分野情報処理,精密加工
従業員数182人
資本金1.855億円
設立1963年

事業の背景

同社は高圧配管用継手を製造・販売しており、建設機械用の高圧継手では市場で日本一のシェアを持つ。これまでロボットを活用した省人化ラインで生産性向上に取り組んできた。平成27年から製品の国内生産比率を30%から50%へ高める「生産国内回帰」を掲げている。売上高は58億9,400万円(平成28年3月期)。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力T型三方継手は一方向ごとに1台のCNC旋盤を使うため、段取りに時間がかかり機械の稼働率が低かった。
  • 生産能力稼働状況の把握は作業者の日報を集計した翌月以降になり、問題への対応が遅れていた。

やったこと

福井県の永平寺工場を新設し、T型三方継手を加工するCNC旋盤3台を向かい合うように設置して、機械のハンドリング時間を減らした。3台は社内ネットワークに接続した三方向加工システムに組み込み、稼働時間などのデータを2秒に1度の間隔でエクセルデータとして自動配信し、工場内で遠隔監視できるようにした。作業者は非稼働時に「段取り」「故障修理」「刃具交換」のボタンを押して入力できる。三又の材料の三方向を切削し、ねじ切りは1/100mm単位で行い、メッキを施して完成させる。

事業の効果

遠隔監視により既存の加工ラインの問題点を即時に改善できる環境が整った。機械の非稼働時間が短くなり、一工程にかかる作業時間も減って生産効率が上がった。課題解決に積極的に取り組めるようになり、今後は非稼働率30%以下と生産性25%向上を目指している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性建設機械用高圧継手の国内市場で日本一のシェアを持つ点と、多品種・少量・短納期の一個流しシステムを強みとしていることが書かれている。
  • 4
    課題の認識と解決段取り時間や稼働率の低さ、稼働状況把握が翌月以降になる課題を認識し、遠隔監視で即時改善する計画が示されている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標生産性25%向上、非稼働率30%以下という数値目標が示されている。ただし付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制製造監督者による遠隔監視や製造目標の共有は書かれているが、補助事業を遂行する人材や事務体制の記述は乏しい。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    「生産国内回帰」を平成27年から掲げ、国内生産比率30%→50%を目指す方針が示されており、経営方針との関連は読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    建設機械用高圧継手の国内市場で日本一のシェアを持つ点と、多品種・少量・短納期の一個流しシステムを強みとしていることが書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    段取り時間や稼働率の低さ、稼働状況把握が翌月以降になる課題を認識し、遠隔監視で即時改善する計画が示されている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標4

    生産性25%向上、非稼働率30%以下という数値目標が示されている。ただし付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    製造監督者による遠隔監視や製造目標の共有は書かれているが、補助事業を遂行する人材や事務体制の記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    T型三方継手の精度や漏れのない品質(LL)は書かれているが、顧客ターゲットやニーズの裏付けは具体的ではない。

  • 事業化までの道筋3

    既存ラインの改善、今後の本社サーバー集約と取引先との連携という段階的な計画が示されているが、スケジュールは明示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    三方向に分岐した複雑形状の継手を人の加工が必須の分野と位置づけ、高精度・高品質を強調しているが、市場の普及度との比較は薄い。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    国内回帰による雇用創出への期待が書かれているが、波及効果の具体的な数値や根拠は示されていない。

  • 費用対効果2

    稼働率や生産時間短縮の効果は書かれているが、補助金額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値はない。

  • イノベーションへの貢献3

    IoTによる機械の遠隔監視とデータ集約で、他工場や取引先との連携を目指す方向性が示されている。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    国内生産比率を高める方針はうかがえるが、産業構造転換への言及は明示されていない。

  • 地域経済への波及3

    福井の永平寺工場を新設し国内生産を拡大する点は地域での事業といえるが、地域経済への効果の記述は限られている。

今後の展望

今後は加工条件データを本社サーバーに集積し、永平寺工場と本社工場の既存設備の稼働状況を一括管理する。将来的には主要取引先ともつながり、競争力を高めることが課題とされている。

事業者の声

「品質は現場で作りこむ」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。