ものづくり補助金平成27年度製造業岐阜県

自社開発IoT活用による射出成形機等の現場管理の改善

ワイ・ケー・ピー工業株式会社

成果不良率の低減

この事例のポイント

  • 従業員が作業工程を一つずつ目視で確認し、手書きで状況を把握しており、作業に時間がかかり人為的ミスが頻発していた。
  • 自社でIoTシステムを開発し、主力製造設備である全25台の射出成形機に無線LANを活用して社内LANネットワークを接続した。
  • 不良率の低減。IoT化により成形機の稼働状況や生産状況をリアルタイムで把握できるようになり、手書き記入が不要になって慢性不良の改善に…

事業者のプロフィール

事業者名ワイ・ケー・ピー工業株式会社
所在地岐阜県 中津川市
業種プラスチック製品製造業
技術分野情報処理
従業員数101人
資本金2,000万円
設立1985年

事業の背景

金型の設計・製作から成形、表面処理、組立までの一貫生産が可能な部品メーカーで、自動車関連部品を柱に家電、住宅関連、OA機器などのプラスチック部品を製造し、年間約20億円を売り上げている。自動車業界で生き残るには「品質向上」と「コストダウン」が重要なキーワードになっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力従業員が作業工程を一つずつ目視で確認し、手書きで状況を把握しており、作業に時間がかかり人為的ミスが頻発していた。
  • 品質・精度「成形材料投入記録・乾燥機点検表」「射出成形機ごとの作業日報」「金型ショット数管理台帳」などを担当者が手書きで記入しており、数値や欄の記入間違いが起こりやすく、管理者が記入値を分析・利用する上で支障が出ていた。
  • 人手・技能不良品の選別を従業員の目視で行っており負担が非常に大きく、特に成形工程での作業者の手作業の負担軽減が実現できていなかった。
  • 人手・技能ファイルを利用して分析する管理者の負担も軽減できていない状況が続いていた。
  • 品質・精度手書き記入に時間を取られ、慢性不良の改善に取り組む時間が確保できていなかった。

やったこと

自社でIoTシステムを開発し、主力製造設備である全25台の射出成形機に無線LANを活用して社内LANネットワークを接続した。成形機の稼働状態や生産状況を現在進行形でディスプレイに表示し、データとして確認できるようにした。工場内の機器に設置したディスプレイに加え、事務室のディスプレイやパソコンからも確認でき、多くの従業員が情報を共有できる体制を整えた。材料除湿乾燥機の記録の電子化、作業日報入力の電子化、金型保守管理を確立し、表示器にアラーム機能を付帯させた。

ソフト自社開発IoTシステム(無線LANユニット親機、データパネル、大型ディスプレイ)
その他射出成形機25台への無線LAN接続(社内LANネットワーク)
検査測定表示器(プログラム表示器、温度センサのアナログ値・異常値表示機)

事業の効果

  • 不良率の低減
  • 材料使用量の削減
  • 電気使用量の削減

IoT化により成形機の稼働状況や生産状況をリアルタイムで把握できるようになり、手書き記入が不要になって慢性不良の改善に取り組む時間が確保できた。その結果、不良率、材料使用量、電気使用量が削減され、工場全体でコストダウンにつながった。品質向上とコストダウンにより、国内および海外輸出自動車メーカーからの高度な要求にも対応できる技術が備わり、マーケットが今後ますます広がると期待している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    過去の取組との一貫性は書かれていないが、自動車業界で生き残るため品質向上とコストダウンが重要と経緯に記載がある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    自動車業界の品質・コスト要求や海外輸出自動車メーカーの高度な要求に触れ、外部環境との関係はうかがえるが、強みの具体的根拠は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    手書き記入ミスや目視選別の負担など課題を示し、IoT化で不良率低減や材料・電気使用量削減を達成したと具体的に書かれている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額の年平均成長率や賃上げの目標値は書かれておらず、不良率低減などの定性的な成果のみ記載されている。

  • 事業を進める体制3

    自社でIoTシステムを開発し無線LANで全25台を接続したと書かれ、推進体制の記載は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け2

    品質向上とコストダウンへの対応が顧客ニーズとして示されるが、ターゲットの明確化や選ばれる理由の詳細は乏しい。

  • 事業化までの道筋3

    導入の工程(無線LAN接続、表示器設置、ミーティング活用)は示されるが、中長期の検証やスケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    製造業の中で自動車部品の高品質化に向けた取組とはうかがえるが、分野の普及度や高価格化の記載はほぼない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用2

    自動車・家電などの部品製造と年間約20億円の売上は書かれるが、波及効果や雇用創出への言及は乏しい。

  • 費用対効果3

    不良率・材料使用量・電気使用量の削減が書かれ効果はうかがえるが、補助金額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    IoTを自社開発し、成形機25台を社内LANで接続して現場を可視化した点が具体的に書かれ、デジタル技術の活用が明確である。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    IoT活用による製造現場の効率化は書かれるが、日本経済の構造転換への言及は見られない。

  • 地域経済への波及2

    岐阜県中津川市の地域企業で年商約20億円とあるが、地域の経済成長を牽引する記述は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

「品質向上」「コストダウン」に対応することにより、マーケットが今後ますます広がると期待している。

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

ねじ寸法自動計測システムの試作開発

平成25年度ものづくり補助金を活用し、人手に依存せず検査精度と生産性を向上させる「ねじ寸法自動計測システム」を試作開発した。

効果:計測面の焦点深度 2mm→5mm

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。