ものづくり補助金平成24年度大阪府

新型触媒による繊維への抗菌消臭機能加工 ナノキャタリストの試作と実用化

株式会社サンワード商会

成果初年度の売上予測は2,000万円

この事例のポイント

  • 天然抽出物由来の触媒は機能面などを安定させるために労力がかかる。
  • 大阪大学との共同研究で、同大学の最先端機器によりメカニズムを解析し、改良型の新しい試作品を開発した。
  • 初年度の売上予測は2,000万円。ハイブリッド触媒の試作品は効果と安全性の両面で当初想定を上回る性能を得た。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社サンワード商会
所在地大阪府 大阪市
業種繊維・衣服等卸売業
技術分野プラスチック成形加工
従業員数19人
資本金3,000万円
設立1985年

事業の背景

同社は1985年創立で、アパレル関連、介護関連、インターネット関連、空気触媒関連など異分野へ参入してきた。約10年前に天然鉱物由来の溶液から作る「空気触媒TioTio」を開発し、航空機の座席シートから衣料品、寝装具、介護用品、靴まで多分野で採用されている。触媒関連の光触媒市場は世界で約1,000億円(2009年度)、そのうち繊維分野は約20%程度と推察され、2013年度で約400億円と推定されている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力天然抽出物由来の触媒は機能面などを安定させるために労力がかかる。
  • 品質・精度天然抽出物だけでは不安定な面があり、従前の触媒を上回る進化型ハイブリッド触媒の実用化が課題となっている。
  • 人手・技能試作品を使った検証や確認を繰り返し、再現性のある結果を得る必要がある。
  • 新製品・新技術加工条件の検証や量産時の性能発揮の確認、経口毒性や皮膚刺激性などの安全性試験の証明が必要である。
  • コスト・採算検証や試験には各種検査機器、器具、消耗品を含めた設備投資が欠かせない。

やったこと

大阪大学との共同研究で、同大学の最先端機器によりメカニズムを解析し、改良型の新しい試作品を開発した。試作品を完成させ、マトリックス試験を繰り返して有効成分の最適配合率や安全性を検証した。最も効果が高く出た試作品について、公的検査機関のボーケン品質評価機構で抗菌・消臭試験を実施し、全項目で合格した。安全性についてもSEKの指定検査機関で試験を実施し、すべて合格した。「ハイブリッド触媒」の商標も特許庁の認可を受けた。

新しい製品・サービス:進化型ハイブリッド触媒(新型ハイブリッド触媒)による抗菌・消臭・帯電防止などの多機能加工

事業の効果

  • 初年度の売上予測は2,000万円
  • 次年度の売上予測は5,000万円
  • 5年目には約2億円の売上目標(市場末端価格は40億円)

ハイブリッド触媒の試作品は効果と安全性の両面で当初想定を上回る性能を得た。抗菌・消臭試験と安全性試験はいずれも全項目で合格した。商標登録により市場シェア拡大や新規市場参入への意欲が高まっている。2016年からの実用化を見込み、加工賃ベースで初年度2,000万円、次年度5,000万円、5年目に約2億円の売上を目標としている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性光触媒市場が約1,000億円、繊維分野約20%と数字で示され、価格競争力や豊富な加工経験による優位性が具体的に述べられている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標初年度加工賃売上2,000万円、5年目約2億円、市場末端価格40億円という具体的な目標値が示されている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け抗菌・消臭に加え帯電防止など多機能加工、人と環境に優しい点、航空機座席や寝装具など採用実績が具体的に述べられている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    波及効果・雇用海外輸出や販路拡大に触れているが、川上・川下への波及や雇用創出など国が補助する積極的理由は具体的に書かれていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    1985年創立で空気触媒TioTio開発の実績があり、新型ハイブリッド触媒の実用化は既存事業の延長として読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    光触媒市場が約1,000億円、繊維分野約20%と数字で示され、価格競争力や豊富な加工経験による優位性が具体的に述べられている。

  • 課題の認識と解決3

    天然抽出物の機能不安定さという課題が示され、改良と実用化で解決を図るとしているが、事業計画の詳細な裏付けは薄い。

事業の実現可能性3.6
  • 付加価値・賃上げの目標4

    初年度加工賃売上2,000万円、5年目約2億円、市場末端価格40億円という具体的な目標値が示されている。

  • 事業を進める体制3

    従業員19人の企業で、大阪大学や専門家の技術指導を受ける体制が示されているが、補助事業を担う人材配置の具体は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    抗菌・消臭に加え帯電防止など多機能加工、人と環境に優しい点、航空機座席や寝装具など採用実績が具体的に述べられている。

  • 事業化までの道筋4

    試作、加工条件検証、量産性確認、安全性試験、2016年からの実用化というスケジュールと課題解決の方法が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    光触媒など既存の抗菌・消臭商品に対し、用途や安全性の限界を克服する高付加価値の新型触媒として位置付けられている。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用2

    海外輸出や販路拡大に触れているが、川上・川下への波及や雇用創出など国が補助する積極的理由は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果3

    補助事業により性能と安全性の試験に合格したことは示されているが、補助金投入額に対する付加価値増加の数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    大阪大学の最先端機器による解析と共同研究が示されているが、サプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は限定的に読める。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    抗菌・消臭の機能加工分野での技術革新はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は明示されていない。

  • 地域経済への波及2

    大阪市中央区の企業であることは示されるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域経済成長への言及は読み取れない。

今後の展望

2016年からの実用化を考えており、パンフレットなどの販促物を作成し、量産化のための設備投資を行ったうえで販路を広げる計画である。国内に加え、アメリカ、ヨーロッパ、中国、東南アジアへの輸出も期待している。

事業者の声

効果も安全性も当初に想定していた性能を上回る結果が得られた

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。