ものづくり補助金平成24年度大阪府

研削・研磨方式による非球面レンズ量産技術開発

関西特殊光学株式会社

この事例のポイント

  • 非球面レンズは形状が複雑で、従来の研削研磨方式での量産が難しく、鋼鉄製金型によるプレス方式が一般的だった。
  • 研削・研磨方式による非球面レンズの量産技術を開発するため、機械設備を新たに導入した。
  • 試作では既存顧客に加え、これまで取引のなかった大手家電メーカーや海外メーカーとも新規取引につなげることができた。

事業者のプロフィール

事業者名関西特殊光学株式会社
所在地大阪府 大阪市
業種その他の製造業
技術分野塗装
従業員数29人
資本金1,000万円
設立1925年

事業の背景

関西特殊光学は前身の関本光学の創業から約90年の業歴を持つ光学レンズメーカーで、主力は舞台照明用などのコンデンサーレンズである。非球面・大口径コンデンサーレンズは知名度が高く、舞台照明用レンズでは高いシェアを持つ。価格面から量産品より多品種小ロットの生産に注力し、試作開発品向けの製品を手掛けている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力非球面レンズは形状が複雑で、従来の研削研磨方式での量産が難しく、鋼鉄製金型によるプレス方式が一般的だった。
  • コスト・採算プレス方式はコストが高く、汎用品の大量生産には向くが多品種小ロットには不向きで、研究開発段階の少数生産では費用対効果が悪く割高になった。
  • 納期・工程プレス方式は高速で加熱冷却する必要があるため、金型や製造機械の劣化が早いという問題があった。

やったこと

研削・研磨方式による非球面レンズの量産技術を開発するため、機械設備を新たに導入した。まず機器の調整を行った後、非球面レンズの研磨工程を設計して試作レンズの研磨を行った。次に研削後の粗研磨条件を種々設定し、非球面の凹面や凸面への変曲部の条件を設定して試作研磨した。これにより条件の最適化に成功し、計画通りの研削研磨方式での非球面レンズの量産技術を実現した。

新しい製品・サービス:研削・研磨方式による非球面レンズの量産技術

事業の効果

試作では既存顧客に加え、これまで取引のなかった大手家電メーカーや海外メーカーとも新規取引につなげることができた。価格面と納品までのスピードの評価が高く、一定の成果が得られた。顕微鏡や医療内視鏡に採用されるケースもあり、得意先に広がりが見られる。量産能力は2015年現在の月5万個から2016年には月8万〜10万個を見込んでいる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性舞台照明用レンズで高いシェア、多品種小ロットと価格・納期面での評価が書かれ、強みを活かした競争優位が具体的にうかがえる。
  • 4
    課題の認識と解決研削研磨方式の量産化で価格と納品スピードの評価を得て、月産5万個から8万〜10万個への能力向上が示されている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標量産能力を2015年の月5万個から2016年の8万〜10万個へ引き上げる目標が数値で示され、実現の見込みがうかがえる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    波及効果・雇用国内の中小製造業の技術維持や雇用への言及はあるが、波及効果や社会インフラとしての積極的な理由は具体的に書かれていない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    創業約90年の光学レンズ製造の歴史と、非球面・大口径コンデンサーレンズへの移行が書かれ、一貫性は読み取れるが経営戦略としての明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    舞台照明用レンズで高いシェア、多品種小ロットと価格・納期面での評価が書かれ、強みを活かした競争優位が具体的にうかがえる。

  • 課題の認識と解決4

    研削研磨方式の量産化で価格と納品スピードの評価を得て、月産5万個から8万〜10万個への能力向上が示されている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標4

    量産能力を2015年の月5万個から2016年の8万〜10万個へ引き上げる目標が数値で示され、実現の見込みがうかがえる。

  • 事業を進める体制3

    協力業者との連携や従業員29人の体制が書かれるが、補助事業の遂行体制を具体的に示す記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    非球面レンズの価格・スピード、プロジェクターや医療内視鏡など顧客ターゲットと選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    工具の組み合わせや機械の誤差解消など残る課題と、協力業者との連携による解決の方向性が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    プレス方式より高価で割高だった非球面レンズを研削研磨で量産化し、同分野で高付加価値・高価格化を図る取組が読み取れる。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    国内の中小製造業の技術維持や雇用への言及はあるが、波及効果や社会インフラとしての積極的な理由は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数値は書かれておらず、わずかに効果がうかがえるにとどまる。

  • イノベーションへの貢献2

    医療内視鏡分野への広がりは書かれるが、先端デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献は明示されていない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    海外製品との競争や医療分野への広がりに触れるが、日本経済の構造転換に資する成長分野への進出とまでは読み取れない。

  • 地域経済への波及3

    大阪市生野区の中小製造業として技術で世界と勝負する姿勢が書かれ、地域の強みを活かす方向性がうかがえる。

今後の展望

今後はプロジェクターメーカーからの取引増加が見込まれ、石英の加工案件や医療分野の反射鏡の受注増加も期待される。量産品では海外製が主流になると予想されるため、光学レンズを取り揃えて商社的な動きをし、量産メーカーとの差別化を図る。

  • 目標:量産能力 50,000pcs/月→80,000pcs/月

事業者の声

光学レンズの分野に長けた製品を市場に送り続け、それを得意先メーカー各社の間で横展開してもらうことによって、新たな活路も見出したい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。