ものづくり補助金平成24年度大阪府

木製リコーダーの新商品の開発と設備投資

この事例のポイント

  • 木製リコーダーは高級品も普及品も手づくりの手間がほぼ同じため、普及品の原価率が高くなっている。
  • 指孔切削加工機とリーマー類をオーダーメイドで導入し、切削加工の一部を見直して安定した製作と生産効率の向上を図った。
  • 大型楽器のオリジナルブランドを確立し、価格が高くメーカーも少ない大型楽器市場への参入を実現した。

事業者のプロフィール

所在地大阪府 大阪市住之江区
業種その他の製造業
技術分野電子部品・デバイスの実装
従業員数5人

事業の背景

同所は、独自開発した機械装置と職人の手作業を組み合わせた「半手づくり」の生産体制を50年前から有し、木製リコーダーの製作・販売やメンテナンスを手掛けている。もともとは紡績機械用のボビンを製作しており、その刃物を自前で作っていた技術を応用してリーマーや特殊バイトを開発し、リコーダー事業を立ち上げた。製品は国内のほか、ドイツ、イギリス、アメリカ、韓国、台湾にも販路を広げている。大型楽器は価格が高くメーカーも少ない市場である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算木製リコーダーは高級品も普及品も手づくりの手間がほぼ同じため、普及品の原価率が高くなっている。
  • 生産能力機械装置は経年劣化による不具合が繰り返し起こり、そのたびに生産を中断して部品交換や修理、調整が必要となり、時間と費用がかかっている。
  • 品質・精度職人の耳に頼らないより正確な音程と音色の調整、刻印や切削技術の他の職人への移行を可能にする設備が不足している。
  • 新製品・新技術大型楽器市場への参入には、指孔を塞ぐキーシステムや補助パイプを新たに試作・開発する必要がある。
  • 新製品・新技術50年間OEMで大型楽器を製作してきたが、キーシステムとパイプはOEM先から支給され独自に改善できず、オリジナルブランドにできなかった。

やったこと

指孔切削加工機とリーマー類をオーダーメイドで導入し、切削加工の一部を見直して安定した製作と生産効率の向上を図った。堺市のネジメーカーと共同で新キーシステムとパイプを開発し、試作製造に成功した。堺市と東大阪市の町工場の技術を結集し、大阪ブランドの新キーシステムの製造に取り組んだ。新しい形状の外観を専門家と設計し、その内径に合う製品を作るためのリーマーを製作した。新チューナーを導入し、若手職人でも新設計の楽器の細やかな音程調整を正確に行えるようにした。外観の塗装やボディーカラーも刷新した。

新しい製品・サービス:大型リコーダー(テナーリコーダー、バスリコーダー)

事業の効果

大型楽器のオリジナルブランドを確立し、価格が高くメーカーも少ない大型楽器市場への参入を実現した。今までにない優れた大型楽器を完成させ、国際市場でのシェア獲得を目指せる体制が整った。若手職人でも正確な音程調整ができるようになり、生産の安定と効率化が進んだ。今回の開発で安定した経営基盤を築くことができた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    新しさ・高付加価値世界に4社しかないテナー・バスリコーダーの大型楽器市場に参入し、高水準の付加価値化を図る点が具体的に書かれている。
  • 4
    地域経済への波及大阪府内の堺市・東大阪市と連携し、大阪ブランドのキーシステムを製造する地域の技術結集が具体的に書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標高付加価値化の目標値や賃上げの数値目標は記載されておらず、海外からの引合いが来ているとの記述のみである。
経営戦略との整合性3.0
  • これまでの取組との一貫性3

    50年間のOEM製作と独自の機械・リーマー技術を背景に、大型楽器のオリジナルブランド化を経営上の課題と位置づけている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    普及品の原価率や海外引合いに触れ、世界に4社しかない大型楽器市場への参入で差別化を狙う姿勢はあるが、市場規模や競合の数値は示されていない。

  • 課題の認識と解決3

    手づくり工程の見直しや機械の経年劣化による生産中断を課題として挙げ、指孔切削加工機とリーマー導入で解決を図る方向が書かれている。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値化の目標値や賃上げの数値目標は記載されておらず、海外からの引合いが来ているとの記述のみである。

  • 事業を進める体制3

    従業員5人の小規模体制で、堺市と東大阪市の町工場と共同開発した実績があるが、補助事業の遂行体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    大型リコーダーの音程・音色の正確さを価値とし、プロ奏者やアマチュア奏者に向けた顧客ターゲットが示されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作、設計、オーダーメイド機導入、塗装の順に開発が進んだ経緯が書かれているが、今後の具体的スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    世界に4社しかないテナー・バスリコーダーの大型楽器市場に参入し、高水準の付加価値化を図る点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    堺市・東大阪市の町工場やネジメーカーとの共同開発により地域の技術連携を生んでいる点はうかがえるが、経済波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果2

    補助金額や付加価値額の増加、生産性向上の数値は示されておらず、費用対効果は読み取れない。

  • イノベーションへの貢献3

    レーザー加工機やチューナーなどの設備導入で技術継承を進める点はあるが、先端デジタル技術の活用は明記されていない。

政策面4.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及4

    大阪府内の堺市・東大阪市と連携し、大阪ブランドのキーシステムを製造する地域の技術結集が具体的に書かれている。

今後の展望

大型楽器の開発成功によりタケヤマブランドの知名度が大きく向上すると期待している。既に国内外から引き合いが来ており、製品の種類や販路も広がると見込んでいる。ブランド化による製品力・開発力の向上で雇用の幅も広がり、若手製作家の育成につながると期待している。

事業者の声

今回開発した大型楽器は、リコーダーがさらに魅力的な楽器として確立するために必要なものであり、これによって次世代の愛好家や演奏家、製作家を増やすきっかけにしたいです

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。