ものづくり補助金平成27年度学術研究、専門・技術サービス業静岡県

地熱発電を安定稼働させ経済性を高めた「小型バイナリー発電 IoT システム」の試作開発

株式会社アース・テクノ・サポート

この事例のポイント

  • 地熱発電システムは、多岐にわたる泉質によって、能力低下・故障・不具合などの影響を受けるため、発電システムの稼働停止に至る前に関連情報を迅速に把握し先んじて対応できる体制が必要だった。
  • 地熱資源を活用する小型バイナリー発電システムの研究開発を進め、「地熱発電を安定稼働させ経済性を高めた『小型バイナリー発電IoTシステム』の試作開発」に取り組んだ。
  • 試験時に電球の点灯まで確認でき、発電量・温度・圧力・流量・アラートなどの計測データをクラウド上で常時監視・解析できるIoTシステムの構築に成功した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社アース・テクノ・サポート
所在地静岡県 浜松市
業種技術サービス業
技術分野情報処理
資本金2,000万円
設立2007年

事業の背景

当社は平成14年に非鉄金属再生業の分析室として発足し、環境・資源・エネルギー分野で環境資源分析・環境コンサルティング・環境エンジニアリングの3部門を柱に技術サポートを行っている。東日本大震災を教訓に平成24年7月に再生可能エネルギーの固定買取制度が始まり、太陽光パネルが全国的に広まったが、天候によって出力が変動するという不安定要因も露呈した。我が国の電力危機と地球温暖化防止の観点から、豊富な地熱資源を活用した小型バイナリー発電システムの適用拡大が急務と考えられた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力地熱発電システムは、多岐にわたる泉質によって、能力低下・故障・不具合などの影響を受けるため、発電システムの稼働停止に至る前に関連情報を迅速に把握し先んじて対応できる体制が必要だった。
  • 品質・精度温泉湧出地ごとに泉質(温度・成分)が異なり、腐食状況や固形成分の析出の程度も変わるため、温泉湧出地ごとの課題抽出と対応策の検討が求められた。

やったこと

地熱資源を活用する小型バイナリー発電システムの研究開発を進め、「地熱発電を安定稼働させ経済性を高めた『小型バイナリー発電IoTシステム』の試作開発」に取り組んだ。IoT対応のセンサー機器を組み込んだ小型バイナリー発電システムの設計・製作・試験運転を行い、温泉湧出地における発電量・各部温度・圧力・振動など、発電システム稼働に関わる諸情報を常時クラウド上にアップロードし、監視・解析できるようにした。IoT対応可能なソフトウェアを実装した小型バイナリー発電装置の試作、電力・温水流量・冷水流量・アラートなどの計測データをリアルタイムでクラウドサーバへ送信・格納するシステムの構築、クラウドサーバに格納された計測データを当社パソコンから任意のタイミングで閲覧・利用できるシステムの構築を行った。並行して実際の温泉湧出地で温泉配管の施工・管理に係る調査を行い、泉質ごとに腐食状況や固形成分の析出が異なることを確認した。

加工機IoT対応センサー機器を組み込んだ小型バイナリー発電システム
ソフトIoT対応ソフトウェアを実装した小型バイナリー発電装置
ソフトクラウドサーバ・閲覧システム

新しい製品・サービス:IoT対応の小型バイナリー発電IoTシステム(小型バイナリー発電装置、計測データのクラウド送信・格納・閲覧システム)

事業の効果

試験時に電球の点灯まで確認でき、発電量・温度・圧力・流量・アラートなどの計測データをクラウド上で常時監視・解析できるIoTシステムの構築に成功した。得られた成果として、IoT対応ソフトウェアを実装した小型バイナリー発電装置の試作、計測データのリアルタイム送信・格納システムの構築、当社パソコンから任意のタイミングで閲覧・利用できるシステムの構築が挙げられる。一方で、幅広いエリアの温泉湧出地に対応するには設置後のハード管理面での更なる研究・改良が必要という新たな課題も認識された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性3

    分析室から環境技術分野へ展開してきた経緯と、地熱発電への取組を結びつけて記載がある。ただし経営戦略上の位置づけは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    震災後の固定買取制度や太陽光の不安定性に触れるが、自社の強み・弱みと市場動向を比較した記述はわずかにうかがえる程度。

  • 課題の認識と解決3

    泉質による腐食や析出、発電停止リスクという課題を挙げ、IoTによる先読み対応を示す。ただし高付加価値化・成長への接続は薄い。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値増加や賃上げの目標値は記載がなく、達成可能性を示す数値も見当たらない。

  • 事業を進める体制3

    資格を持つ社長や環境分析・施工を含む3部門体制が紹介されている。ただし補助事業の遂行体制の具体的な人員配置は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    稼働安定化と温泉湧出地への対応という顧客ニーズは示されるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋4

    成果、今後の課題(多様な湧出地への対応、ハード管理面の改良)が段階的に整理され、研究の方向性が示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    未利用の100℃以下の熱源を活用するバイナリー発電で、地熱利用の普及度は限定的と読み取れるが、高付加価値化の数値は示されない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用4

    電力危機と地球温暖化防止の観点、固定買取制度の施行など、国が支援する社会的理由が具体的に示されている。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献4

    IoTセンサーとクラウドサーバを組み合わせ、発電データをリアルタイムで監視するデジタル活用が具体的に記載されている。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    再生可能エネルギーと地熱資源活用という成長分野への進出が示されるが、構造転換への言及は限定的。

  • 地域経済への波及3

    浜松市の企業として温泉湧出地の地域資源を活用する点は読み取れるが、地域の雇用や経済成長への効果は記載がない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は幅広いエリアの温泉湧出地に対応するため、設置後のハード管理面での更なる研究・改良を進めていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。