ものづくり補助金平成27年度製造業静岡県

深孔加工による複雑形状部品の試作開発短納期化と国際的競争力強化

株式会社ハイタック

成果治具の内製化により、1個あたりに掛かるコストは従前の7割程度に抑えられた。

この事例のポイント

  • IT関係の精密部品など開発期間が短い案件では、時間的なロスが大きな問題となっていた。
  • 外形を高精度に切削加工できる機械として、立形マシニングセンタ、超精密高速ワイヤ放電加工機、CNC旋盤を導入した。
  • 治具の内製化により、1個あたりに掛かるコストは従前の7割程度に抑えられた。試作品5本で目標としていた精度(同芯度0.1mm以内)を安定して達成し、自作の加工治具により深孔加工時のデッドスペース…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ハイタック
所在地静岡県 沼津市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
資本金6.9億円
設立2008年

事業の背景

株式会社ハイタックは、ガンドリルマシンの設計・製作と深孔加工の受託を主な事業とする開発型企業で、小径かつ高精度・高品質な深孔加工を得意としている。医療・航空宇宙分野では難削材の増加や製品の緻密化・軽量化への需要拡大により、高難度の業務を短期間で開発することが求められている。同社は外形加工済みワークへの深孔加工を受託して顧客の支持を得てきたが、複雑形状ワークの治具製作は外注に頼っていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程IT関係の精密部品など開発期間が短い案件では、時間的なロスが大きな問題となっていた。
  • コスト・採算一品物の場合は治具のコストがネックとなっていた。
  • その他複雑形状ワークの把持に必要な治具製作を外注に頼っていたため、時間的なロスや高コストから発注を諦められ、加工品質や性能を妥協する顧客も出ていた。
  • 品質・精度穴あけで剛性が低くなった部材は外形形状の精度を出しにくく、切削中につぶしてしまうなどの問題が起きていた。

やったこと

外形を高精度に切削加工できる機械として、立形マシニングセンタ、超精密高速ワイヤ放電加工機、CNC旋盤を導入した。新たな設備の導入にあたり、工場のレイアウトや作業工程を見直し、QMS文書を変更するとともに、導入機器の操作性向上のために社員教育を実施した。導入機械は社内LANに接続して稼働状況をモニタリングし、データを収集できるようにした。検証実験として、医療器具の試作品に対して深孔加工テストを行うため加工に必要な治具を製作するとともに、自社製ガンドリルマシンの工具(ドリルブッシュ)の加工を実施した。テストとして深孔加工した試作品5本で、目標としていた精度(同芯度0.1mm以内)を安定して達成した。

加工機立形マシニングセンタ
加工機超精密高速ワイヤ放電加工機
加工機CNC旋盤

新しい製品・サービス:自社製「高性能ガンドリルマシン」

事業の効果

  • 治具の内製化により、1個あたりに掛かるコストは従前の7割程度に抑えられた。

試作品5本で目標としていた精度(同芯度0.1mm以内)を安定して達成し、自作の加工治具により深孔加工時のデッドスペースが減って把持が安定し、従前より高度な精度が実現された。治具の内製化により1個あたりのコストは従前の7割程度に抑えられ、製作工程や輸送工程の省略により製作期間は最短で2週間から2日程度の短縮が想定されている。事業で構築した切削加工技術を基盤に深孔加工に加えて外形加工も受注できるようになり、長さ400mmの部材に小径1.0mmの穴を高精度で加工することが可能となった。これにより医療分野の需要に応え、世界でも唯一無二の技術を構築した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    ガンドリル設計・深孔加工受託を主たる事業とする開発型企業と書かれ、過去の深孔加工受託実績が背景にあるが、経営戦略上の位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    外注依存の治具製作を内製化し、同芯度0.1mm以内を安定達成、治具コストを従前の7割程度に抑えたと具体的に書かれ、強みの活用が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    治具外注による時間的ロスとコストを課題と認識し、内製化で製作期間を最短2週間から2日程度短縮と想定した具体的な計画が読み取れる。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    製作期間の短縮やコスト7割程度など数字はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    社員教育の実施や工場レイアウト・QMS文書の変更は書かれているが、人材や事務処理体制の具体的な規模は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    医療・航空宇宙分野での高精度深孔加工需要と唯一無二の技術という位置付けはあるが、顧客ターゲットの整理は具体性が薄い。

  • 事業化までの道筋2

    試作品5本での検証やガンドリル販売準備は書かれるが、中長期のスケジュールや課題解決方法の詳細はうかがえる程度。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    400mm部材への小径1.0mm穴の高精度加工や世界でも唯一無二の技術と書かれ、高水準の高付加価値化が読み取れる。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    医療・航空宇宙分野の需要に応えると書かれ、国が補助する波及効果は明示されていないが、分野への貢献は示される。

  • 費用対効果3

    製作期間短縮やコスト7割程度など効果は示されるが、補助金投入額に対する付加価値額の数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    稼働状況をモニタリングしデータを収集する仕組みを導入したと書かれるが、サプライチェーン全体への貢献は具体的に示されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    医療・航空宇宙分野での需要増加に触れるが、日本経済の構造転換への言及はわずかにうかがえる程度。

  • 地域経済への波及2

    沼津市の地域での事業とわかるが、地域の特性を活かした雇用や経済成長への言及は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

培った技術・ノウハウを武器に、海外に向けて自社製「高性能ガンドリルマシン」を販売するべく準備を進めている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。