ものづくり補助金平成27年度製造業三重県

AT用アルミ部品の高効率加工による生産性の向上

株式会社大安製作所

この事例のポイント

  • 大手取引先からの受注に依存し、売上が顕著に増加せず事業が停滞している。
  • 最新の精密自動旋盤を4台導入した。
  • 荒研削工程を廃止したことで、設備費は85%削減され、50百万円の削減効果があった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社大安製作所
所在地三重県 いなべ市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数46人
資本金1,000万円
設立1988年

事業の背景

当社は昭和63年に創立し、大手D社との取引を開始して以来、自動車産業の底辺を支えてきた。主力は自動車用精密部品で、AT用アルミ部品は自動変速機の変速と方向転換を担い、コントロールバルブに組み込まれて油圧制御を行う重要部品である。一方で近年は売上が顕著に増加せず、事業は停滞状況にあった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他大手取引先からの受注に依存し、売上が顕著に増加せず事業が停滞している。
  • コスト・採算AT用アルミ部品の従来工程には荒研削工程があり、設備費と工数がかかっている。
  • 品質・精度研削でしか達成できなかった寸法精度を、旋盤による切削だけで確保する必要がある。
  • 人手・技能加工ラインの常時監視が必要で、監視できる台数を増やして省人化する必要がある。

やったこと

最新の精密自動旋盤を4台導入した。設備開発チームが主体となり設備メーカーとすり合わせ、生産計画台数、稼働日/月、稼働時間、稼働率などを考慮して台数を決めた。旋盤は荒研削廃止に必要な仕上げ精度を出すため、NCプログラムに対する刃具の追従性が良く、誤差が小さく安定しているものを選定した。加工条件の最適化では実験計画法(タグチメソッド)を用い、切削速度、送り量、切り込み量、刃先R、切り込み角の要因を9水準で変化させて精度への影響を確認した。その結果、切削速度は設備回転数の上限に近い値が最も効率が良く、送り量は丸先Rを大きくしても速くはできないこと、切り込み量は材料が研磨材で水準幅を広げられず影響が少ないこと、刃先Rと切り込み角は従来のチップが最適であることが分かった。再現テストで計画加工時間内に荒研削廃止が可能な外径精度を維持できることを確認した。

事業の効果

荒研削工程を廃止したことで、設備費は85%削減され、50百万円の削減効果があった。工数は18%低減し、昼夜勤の作業者4人工、研削機の掛け持ちによる0.9人工、検査業務0.1人工、研削機の台数分0.9人工の合計5.9人工が削減された。また、荒研削の在庫が5,000個減少し、工程削減により面積生産性が向上した。さらに消費電力の削減によりエネルギーコストとCO2排出量も低減した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    課題の認識と解決荒研削工程の削減により設備費85%削減、工数18%低減、在庫5,000個削減など数字つきで課題解決と効果が示されている。
  • 4
    これまでの取組との一貫性自動車部品を主力とし、大手D社との取引を昭和63年から続けてきた経緯と、荒研削廃止を柱にした経営革新の流れが記載されている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標設備費85%削減、加工工数18%省人化など目標と成果が数値で示されており、実現可能性を裏付ける記述がある。

伸びしろがあった観点

  • 2
    波及効果・雇用自動車燃費向上や地球温暖化抑制への寄与がうかがえるが、雇用や波及効果としての国の補助の必要性は具体的に書かれていない。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    自動車部品を主力とし、大手D社との取引を昭和63年から続けてきた経緯と、荒研削廃止を柱にした経営革新の流れが記載されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    優秀仕入先表彰(品質賞)を累計3回受賞した品質管理力は読み取れるが、市場動向との関係や競合に対する優位性の分析は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決5

    荒研削工程の削減により設備費85%削減、工数18%低減、在庫5,000個削減など数字つきで課題解決と効果が示されている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標4

    設備費85%削減、加工工数18%省人化など目標と成果が数値で示されており、実現可能性を裏付ける記述がある。

  • 事業を進める体制3

    設備開発チームが設備メーカーとすり合わせを行ったと書かれているが、人材や事務処理体制の詳細は記載がない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    取引先が要求するコストと品質を実現する目途が立ったとあるが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋4

    実験計画法による加工条件の最適化や再現テストの実施手順が段階的に書かれており、遂行方法が明確である。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    自動車用アルミ部品の高精度切削という分野で、研削並みの精度を切削で実現する点は示されているが、普及度や認知度の記述は薄い。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用2

    自動車燃費向上や地球温暖化抑制への寄与がうかがえるが、雇用や波及効果としての国の補助の必要性は具体的に書かれていない。

  • 費用対効果4

    投入額に対する効果として設備費50百万円削減や工数削減などの数値が示され、費用対効果がうかがえる。

  • イノベーションへの貢献2

    IoTによる加工ラインのネットワーク構築に触れているが、サプライチェーン全体への貢献としての記述は乏しい。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    ATの多段化や燃費改善に伴う需要増加に触れているが、日本経済の構造転換との関連は書かれていない。

  • 地域経済への波及2

    三重県いなべ市の本社所在地は記載されているが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述は少ない。

今後の展望

AT多段化の進展により対象部品の数量が増加し、売上増加が期待される。自動車分野の他に医療分野への拡販も計画している。現在の取引先が進出しているベトナムでの海外生産も検討しており、当面はレンタル工場で生産し、軌道に乗ったら自前工場を建設する予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。