ものづくり補助金平成27年度卸売業、小売業三重県

包装機導入による生産工程におけるボトルネックの解消

有限会社お菓子職人おとべ

成果包装処理速度 5個/分→50個/分

この事例のポイント

  • 焼き工程と包装工程の間で約160分の滞留時間が発生し、ボトルネックとなっていた。
  • 焼き工程と包装工程の間の滞留を解消するため、工場を新たに建設して焼き工程から包装工程へ円滑に流れる作業動線を構築した。
  • 包装処理速度 5個/分→50個/分。自動包装機の導入により包装処理速度が大幅に向上し、包装に要する作業時間が10分の1となった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社お菓子職人おとべ
所在地三重県 志摩市
業種飲食料品小売業
従業員数12人
資本金500万円

事業の背景

同社は志摩市の賢島保養地内で生菓子(ロールケーキ・シュークリーム)を中心に販売し、店舗内に喫茶スペースも併設している。地元を中心に幅広い客層を持ち、伊勢志摩国立公園内の立地から観光客や県外からの来店者も少なくない。商品別売上構成は洋生菓子が約6割、洋干菓子が約3割で、実店舗のほか通信販売も行っている。地域資源「あおさ」を使ったパイが好評となり、販路開拓と卸業・OEM分野への進出を目指していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力焼き工程と包装工程の間で約160分の滞留時間が発生し、ボトルネックとなっていた。
  • コスト・採算手作業による包装は1分間に5〜6個が限界で、作業効率が非常に悪かった。
  • 品質・精度焼き菓子は形が崩れやすく、包装中の欠けによる廃棄ロスや、包装の仕上がり不良による作業のやり直しが発生していた。
  • 品質・精度複数の作業員による包装の差異が課題となっていた。
  • 人手・技能包装工程は従業員2名の手作業で対応しており、スタッフの負担が大きかった。

やったこと

焼き工程と包装工程の間の滞留を解消するため、工場を新たに建設して焼き工程から包装工程へ円滑に流れる作業動線を構築した。導入した自動包装機は1分間に約50個の包装が可能で、手作業の5〜6個から大幅に向上した。自動包装機はサーマルタイプのシール機を内蔵し、包装と裏貼りシールの印刷を同時に行えるため、個包装への裏貼りシール作業が不要になった。機械は多品種100種類の包装に対応し、噛込防止装置付きで、独自開発のシールヒータにより高品質なシール仕上がりを実現した。導入後は実際に稼働させて工程不良率、生産能力、包装の均一性に評価基準を設けて品質を評価し、メーカー担当者による試運転と操作・メンテナンスの説明を受けた。

加工機自動包装機

新しい製品・サービス:地域資源「あおさ」を使った洋菓子「志摩のあおさいっパイ!」。パイ生地とあおさをコラボさせた商品で、あおさの香りをパイ生地に閉じ込めた。

事業の効果

  • 包装処理速度 5個/分→50個/分
  • 包装に要する作業時間が10分の1となった。
  • 工程不良率 5%→0.5%
  • 包装人員 3名→1名
  • 裏貼りシールを出力する時間も考慮すると、1日あたり約3時間の時間短縮につながった。

自動包装機の導入により包装処理速度が大幅に向上し、包装に要する作業時間が10分の1となった。包装の均一化と工程不良率の改善により、資材・材料ロスの減少も期待される。人員は3名体制から1名に削減でき、余力の時間と人材を卸部門向けの製造工程に充てられるようになった。作業動線が流れる仕組みができ、経験に左右されず柔軟な対応が可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    地域資源あおさを使ったパイが好評で、卸業・OEM分野へ進出する方針が示されているが、経営戦略上の位置付けの説明は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    県内外のスーパーやホテルから問合せが増えたことが書かれ、販路拡大を狙う外部環境は読めるが、競争優位の分析は具体的でない。

  • 課題の認識と解決4

    手作業の包装が1分5〜6個、工程不良率約5%、焼き工程と包装工程の滞留約160分という課題が数字で示され、自動包装機で解決する流れが明確。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    包装処理速度が1分5〜6個から約50個へ、包装時間が10分の1、担当者3名から1名、工程不良率5%から0.5%と数値目標と成果が示されている。

  • 事業を進める体制3

    メーカー担当者による試運転やマニュアル説明、操作担当者の配置が書かれるが、事務処理や推進体制の詳細は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    あおさパイが最優秀賞を受賞し、ホテルやサービスエリア等への販路拡大を目指す需要が書かれるが、顧客ターゲットの整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    新工場建設、ライン設計、試運転、生産再開時の販路拡大計画など手順は示されるが、中長期の検証や具体的スケジュールは乏しい。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    あおさを使ったパイは地域色のある商品で、バター・塩味とあおさの風味を組み合わせた点は読めるが、分野での高付加価値化の水準は示されない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    あおさを活用した地域資源商品で、ご当地スイーツとして地域性や話題性があると述べられ、地域の経済効果の記述がある。

  • 費用対効果4

    包装時間が10分の1、人員が3名から1名、残業的な時間短縮が約3時間/日と数字で示され、費用対効果の一端がうかがえる。投入額は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    自動包装機は内蔵サーマルシール機で包装と裏貼りを同時に行う点が書かれるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は限定的。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    伊勢志摩の特産あおさを使い、地元ホテルや地産地消、観光客への周知を目指す点が書かれ、地域の特性を活かした事業と読める。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

現在あおさパイの生産は一時的に休止しているが、焼き菓子の製造工程の生産効率は飛躍的に向上している。生産再開時には伊勢市や志摩市のホテル、旅館、県内外のスーパーへ販路を広げ、全国からの観光客に商品に触れてもらう機会を増やして知名度向上を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。