ものづくり補助金平成27年度製造業京都府

次世代型可変バルブの試作品製造体制の確立

株式会社フジタイト

成果ノックピン穴の位置精度 50ミクロン→20ミクロン

この事例のポイント

  • 回転基準となるノックピン穴の位置精度が20ミクロンを求められ、現行品の50ミクロンから高精度化する必要がある。
  • 最新の複合旋盤とマシニングセンターを導入し、加工機自体の加工精度を向上させた。
  • ノックピン穴の位置精度 50ミクロン→20ミクロン。試作品製作の要求品質を満たす加工・評価体制が整った。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社フジタイト
所在地京都府 宇治市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数20人
資本金2億円
設立1986年

事業の背景

当社は2012年より可変バルブ試作品を自動車メーカーに継続納入し、実績を積み重ねてきた。現在、顧客より次世代型可変バルブの試作品製作の要請を受けているが、求められる品質レベルは現行型以上の高精度で、現在の製作手法では実現不可能である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度回転基準となるノックピン穴の位置精度が20ミクロンを求められ、現行品の50ミクロンから高精度化する必要がある。
  • 品質・精度ハウジングとローター摺動部の面粗さがRa0.8を求められている。
  • 品質・精度製品の輪郭度を設計値と照合する評価を、現行品の3次元測定では行えない。
  • 納期・工程リードタイムが2週間かかっており、1.5週間への短縮が必要である。
  • コスト・採算コストを9万円で維持する必要がある。

やったこと

最新の複合旋盤とマシニングセンターを導入し、加工機自体の加工精度を向上させた。製作工程では、焼入れ鋼の採用により治具の材質をS45CからSKD61に変更し、焼入れをHRC45からHRC60に、仕上げをマシニング加工から研磨に変更した。治具の締め付けにはトルクレンチを採用し、常時10N・mで締め付けることで脱着精度を約±25ミクロンから±6ミクロン以下に改善した。ワイヤーカット加工では装置メーカーの助言を受けて電気抵抗値を調整し、仕上げ回数5回でRa0.5以下を実現、最終製品の実測値はRa0.184となったため外注の研磨工程を廃止した。導入した画像寸法測定器により輪郭度を非接触で高速かつ高精度に評価できるようにした。試作品5台を製作して社内評価を行い、顧客の無償サンプル評価でも全て要求公差内であった。

加工機複合旋盤
加工機マシニングセンター
加工機ワイヤーカット加工機
検査測定画像寸法測定器

新しい製品・サービス:次世代型可変バルブの試作品

事業の効果

  • ノックピン穴の位置精度 50ミクロン→20ミクロン
  • リードタイム 2週間→1.5週間
  • 脱着精度 25ミクロン→6ミクロン
  • ワイヤーカット後の面粗さ 1Ra→0.5Ra

試作品製作の要求品質を満たす加工・評価体制が整った。ワイヤーカットの条件見直しにより面粗さがRa0.5以下となり、最終製品の実測値はRa0.184に達したため、研磨の外注を廃止してワイヤーカット工法に切り替えられるようになった。治具の材質と締め付け方法の見直しにより脱着精度が大幅に改善した。顧客の無償サンプル評価で全て要求公差内と確認され、次世代型可変バルブ部品の顧客要求を満たすことが確認された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    2012年から可変バルブ試作品を自動車メーカーに継続納入した実績があり、次世代型可変バルブ対応は既存事業の延長と読めるが、経営戦略上の位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    自動車試作業界での優位性確立や他社との差別化を掲げているが、市場動向や自社の強み・弱みの分析は書かれておらず、具体性が薄い。

  • 課題の認識と解決4

    ノックピン穴の位置精度を50ミクロンから20ミクロンへ、リードタイムを2週間から1.5週間へと課題と数値目標を明示し、解決手法も示している。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    面粗さRa0.5以下、位置精度20ミクロン、リードタイム3日短縮など数値目標が示され、実測値Ra0.184や顧客評価での全数良品確認など実現性の根拠もある。

  • 事業を進める体制2

    公開されている事例からは体制や人材の具体的な記述は読み取れず、わずかに設備や測定器の保有状況がうかがえる程度である。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    次世代型可変バルブで求められる高精度レベルと顧客からの試作要請が明記され、顧客ターゲットと選ばれる理由の一部が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    冶具の材質変更、トルクレンチ導入、研磨工法の廃止など課題の解決方法は示されているが、中長期の検証やスケジュールの詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    試作から量産まで高付加価値技術を掲げ、次世代型可変バルブの高精度要求に応える点は読み取れるが、分野の普及度や高価格化の水準は具体的に示されていない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    国際競争が激化する自動車産業の開発を支え、日本の基幹産業の成長に寄与すると述べられているが、波及効果や雇用創出の数字は示されていない。

  • 費用対効果4

    精度改善や研磨工程の廃止、リードタイム3日短縮など効果は具体的だが、補助金額に対する付加価値増加額の記述がなく費用対効果は判断しきれない。

  • イノベーションへの貢献2

    ワイヤーカットや画像測定器など先端的な設備導入はうかがえるが、サプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は明記されていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    自動車産業の開発支援と基幹産業への寄与が述べられており、構造転換への言及はわずかにうかがえる程度である。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

顧客からの今後の本格受注に向けて試作品製造体制を確立した。国際競争が激化する自動車産業の開発を支え、日本の基幹産業の成長に寄与するとともに、自社の成長と社会的責任を果たしていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。