ものづくり補助金平成27年度学術研究、専門・技術サービス業京都府

ICT技術を活用した災害時に即応できる現地調査手法開発と三次元測量技術サービス

株式会社京都イングス

この事例のポイント

  • 京都府や府下市町村との災害協定のもと、災害時に現地へ迅速に入って状況を把握することが求められていたが、想定外の事態が続くなかで資料整理と協議を繰り返すため対応に時間がかかっていた。
  • UAV(無人航空機)による航空写真測量と三次元点群測量の技術習得を進め、UAVで撮影した画像から三次元地形モデルを生成した。
  • 災害現場の画像を平地部では本社へ直接、山間部では中継機経由で配信し、現地の状況把握や具体的な協議、現地への指示・確認をリアルタイムで行えることを検証した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社京都イングス
所在地京都府 舞鶴市
業種技術サービス業
従業員数68人
資本金2億円
設立1958年

事業の背景

1958年に測量設計コンサルタントとして創業し、京都府及び府下市町村を中心に技術提供を行ってきた。京都府測量設計業協会の会長会社として京都府や府下市町村と災害協定を結び、地域の災害時には復旧への対応を担う立場にあった。国土交通省が「I-Construction」を推進し、2016年度には公共測量作業規程にUAVによる航空写真測量規程が追加された。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力京都府や府下市町村との災害協定のもと、災害時に現地へ迅速に入って状況を把握することが求められていたが、想定外の事態が続くなかで資料整理と協議を繰り返すため対応に時間がかかっていた。
  • 生産能力建設産業の人手不足に対応するため、測量から検査・維持管理までICTを導入して生産性と効率を高める必要があった。
  • その他山間部など電波の届かない地域では現場の画像を送る手段がなく、現場画像をどのように送るかという課題があった。

やったこと

UAV(無人航空機)による航空写真測量と三次元点群測量の技術習得を進め、UAVで撮影した画像から三次元地形モデルを生成した。生成したモデルの検証点の座標を現地実測値と比較したところ、水平位置(XY)と高さ(Z)の両方が国土交通省国土地理院の公共測量マニュアルの計測誤差制限内に収まった。平地部では撮影現場から本社へ直接画像を配信し、山間部では電波の届く範囲内に中継機を設置して中継経由で画像を配信した。両方式の画像の鮮明度に大きな差がないことを確認し、現地の状況把握や電話による指示・確認ができることを検証した。補助金でUAV、測量用カメラ、エンコードソフトウェア、配信用のストリーミングサーバー、中継機機材を導入した。

その他UAV
検査測定測量用カメラ
ソフトエンコードソフトウェア
その他配信用ストリーミングサーバー
その他中継機機材

新しい製品・サービス:UAV画像による災害時の現地調査手法と三次元測量サービス

事業の効果

災害現場の画像を平地部では本社へ直接、山間部では中継機経由で配信し、現地の状況把握や具体的な協議、現地への指示・確認をリアルタイムで行えることを検証した。三次元点群測量も公共測量の誤差制限内に収まり、実用的な精度があることが確認できた。災害現場からのリアルタイム画像配信は特殊な制約条件により実施には至っていないが、イベント等で配信を利用して自治体へ受注に向けたPR活動を行っている。UAVで撮影した画像と三次元データは活用範囲が広く、業務拡大と新製品化につながると期待されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    京都府や府下市町村との災害協定を背景に、災害時対応力という課題から取組が始まったと書かれており、過去の取組との関係はうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    平成28年度の公共測量作業規程へのUAV規程追加を外部環境として挙げ、強みとして測量設計からシステム開発までの一貫対応があるが、競争優位の説明は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    災害対応の課題を時間短縮と特定し、UAV撮影と画像配信の3課題を整理した上で検証に取り組んだと具体的に書かれている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    座標の計測結果が国土地理院の公共測量マニュアルの誤差制限内に収まったと書かれているが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    従業員68人、技術者の配置と処理スピードを課題に挙げ、測量設計会社としての事業実績があるが、体制の具体的な配置は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    災害時の現地確認に画像配信が使えることを実証し、自治体へのPR活動に使うと、顧客と選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    平地部と山間部の検証、公共測量での試験作業と自治体評価の反映という進め方は書かれているが、スケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    UAV測量は一般に普及した分野ではないと読めるが、高付加価値化や高価格化の数値根拠は示されていない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    災害復旧の迅速化や I-Construction による建設産業の生産性向上に言及しており、公的な必要性はうかがえる。

  • 費用対効果2

    費用対効果を示す数値は書かれておらず、安価なサービス提供という方針がわずかにうかがえるだけである。

  • イノベーションへの貢献4

    UAV撮影と高速通信によるリアルタイム画像配信、山間部での中継機経由の配信という先端的な技術活用が具体的に書かれている。

政策面60%
  • 成長分野への進出3

    I-Constructionによる建設分野のICT導入という政策の流れに沿う取組であり、構造転換への寄与はうかがえる。

  • 地域経済への波及3

    地域の災害時対応と京都府・府下市町村への地域貢献が書かれており、地域への貢献は読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

実際の公共測量や災害測量の現場で試験的に作業を繰り返し、自治体の評価を得ながら改善を続けて受注につなげる。道路の維持管理調査、河川現況台帳への活用、トンネル断面や海の離岸堤の変状調査など、ICT技術の応用範囲を広げて効率化と生産性向上を進め、顧客の問題解決を提案していく。

業種と困りごとが近い成果事例

茨城県学術研究、専門・技術サービス業平成25年度

つくば動物医療センター開設プロジェクト

2015年に「アイ動物医療センターつくば」を開院し、本補助事業で内視鏡システムと外科用X線TVシステム・Cアームを導入した。

高知県学術研究、専門・技術サービス業平成26年度

小型橋梁点検装置の開発

市販のバックホウ本体をベースマシンとして使い、車両通行を妨げない小型橋梁点検装置の開発に取り組んだ。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。