ものづくり補助金平成29年度学術研究、専門・技術サービス業山口県

バラスト水処理装置搭載工事の工期短縮・経費削減を支援する事業

株式会社富士設計

成果計測日数 10日→1.5日

この事例のポイント

  • 船内の計測を専門家でない船員が実測しており、誤差が大きく、再測定などで工期が長期化していた。
  • 3Dレーザースキャナ「FARO FocusS70」を導入し、既存船の現状を短時間・少人数で計測できるようにした。
  • 計測日数 10日→1.5日。3Dレーザースキャナの導入で計測が1日〜2日で完了し、船の停泊期間を大幅に短縮できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社富士設計
所在地山口県 下関市
業種技術サービス業(他に分類されないもの)
従業員数12人
資本金800万円
設立2013年

事業の背景

2004年に発効されたバラスト水管理条約により、日本だけで約6万隻の船舶にバラスト水処理装置を搭載することが義務化された。改修は遅々として進まず、現在も早期の改修が求められている。会社は2013年に個人事業として始まり、船舶設計業務を通じて各所造船所の信頼を得て、船舶の配管設計まで行える体制を構築した。近年はレトロフィット業務を中心に、電気・配管設計の3次元化を行っている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力船内の計測を専門家でない船員が実測しており、誤差が大きく、再測定などで工期が長期化していた。
  • 人手・技能造船設計に携わる熟練技術者が減少し、設計士そのものが不足している。

やったこと

3Dレーザースキャナ「FARO FocusS70」を導入し、既存船の現状を短時間・少人数で計測できるようにした。計測データ合成ソフト「FARO SCENE」で、計測した複数のスキャンデータを合成して1つの点群データを作成した。3Dモデル化ソフト「ClassNK-PEERLESS」で点群データから既存船の現状モデルを作成し、改修設計に使用した。3D-CADソフト「Plant 3D」で、バラスト水装置工事に不可欠な設計図を製作した。

検査測定FARO FocusS70
ソフトFARO SCENE
ソフトClassNK-PEERLESS
ソフトPlant 3D

事業の効果

  • 計測日数 10日→1.5日
  • 既存配管の必要箇所のみをモデル化することで、3〜4日程度で行えるようになった。
  • 計測から設計前段階までの工数を3〜5日短縮することができるようになった。

3Dレーザースキャナの導入で計測が1日〜2日で完了し、船の停泊期間を大幅に短縮できるようになった。これにより船舶の稼働を下げず、当社の大きな強みとなった。3Dデータで既存配管の必要箇所のみをモデル化することで、構造設計のモデル化も3〜4日程度で行えるようになった。計測から設計前段階までの工数を3〜5日短縮でき、計測値の誤差が非常に少なく手直しの時間も大幅に減った。短期間で技術者を育てられる環境が整い、今後の業務拡大に大きなメリットとなる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業後に船舶設計業務を経て配管設計まで行える体制を構築したと書かれ、過去の取組との一貫性がうかがえる。経営戦略上の位置づけは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    造船所からの信頼や熟練技術者不足への言及はあるが、市場動向と自社強みを比較した記述は薄い。計測時間短縮が大きな強みとされている。

  • 課題の認識と解決4

    計測に10日前後かかっていた課題を1〜2日に短縮し、計測から設計前段階の工数を3〜5日短縮したと具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    工数短縮の数値はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    代表者が船舶設計に従事した経歴や、技術者を育てられる環境が整ったとの記述はあるが、人員体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    計測時間の短縮と誤差の少なさ、手直し時間の削減など、導入効果が具体的な数値で示されている。顧客ターゲットの明示は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    今後数年のバラスト水処理改修工事を見据えた展望は書かれているが、導入スケジュールや課題解決の方法は詳しくない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    既存船の改修設計に3Dスキャナと3D-CADを組み合わせる点は特徴的だが、普及度や高価格化の記述は薄い。

公的補助の必要性80%
  • 波及効果・雇用4

    約6万隻の既存船へのバラスト水処理装置搭載が義務化され、改修が遅れている社会課題への対応が具体的に書かれている。

  • 費用対効果4

    計測期間を10日前後から1〜2日に短縮し、停泊期間の大幅短縮を実現したと数字で示されている。投入額との比較はない。

  • イノベーションへの貢献4

    3Dレーザースキャナと3D-CADの活用により、既存船の改修設計を効率化した点が具体的に書かれている。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    造船界への貢献やレトロフィット業務への言及はあるが、構造転換との関係は示されていない。

  • 地域経済への波及2

    下関市彦島の所在は分かるが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述はない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

数年は続くバラスト水処理改修工事で修得した技術をベースに、新造船及びレトロフィット業務で技術・品質を高め、顧客の信頼を得て社会貢献していきたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。