ものづくり補助金平成27年度製造業大阪府

金型部品の高品位加工でアルミ鋳造部品製造を支える

水谷精工 株式会社

この事例のポイント

  • 生産工場の海外移転や製品モデルチェンジ周期の延長などから国内の仕事量が減少し、金型分野でも競争が激化していた。
  • 既存の加工機では難しかった三次元切削加工が可能な最新のマシニングセンター(MC)を導入した。
  • 新たに導入したMCにより、従来は熟練職人が古い切削機械で苦労して仕上げていた加工精度0.005mmを、若手技術者が安定して出せるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名水谷精工 株式会社
所在地大阪府 大阪府八尾市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工,立体造形
従業員数40人
資本金1.6億円
設立1925年

事業の背景

1925年にねじ切り用タップの製造会社として創業し、戦後はミツビシタップ製作所として再出発した。高度経済成長期以降は旋盤用親ねじやプラスチック製品の金型部品などで業容を拡大し、現在は年間10,000種、25,000件の特注部品を製作している。生産工場の海外移転や製品モデルチェンジ周期の延長などから国内の仕事量が減少し、金型分野でも競争が激化している。一方、軽量化を目的に自動車へのアルミ部品の採用が増え、ダイカスト金型部品の需要は堅調に推移すると見られている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑生産工場の海外移転や製品モデルチェンジ周期の延長などから国内の仕事量が減少し、金型分野でも競争が激化していた。
  • 生産能力単位時間当たりの生産量を増やすハイサイクル成形が進み、金型部品にも対応が求められていた。
  • 生産能力成形品1個当たりの加工時間を短くする必要があり、湯口スリーブや分流子を切削加工する工程の生産性向上が大きな課題だった。
  • 品質・精度従来の切削機械では部品表面の粗さが要求精度を満たさず、サンドペーパーで磨く作業が必要だった。

やったこと

既存の加工機では難しかった三次元切削加工が可能な最新のマシニングセンター(MC)を導入した。機種は、加工精度0.005mm、切削工具数20本以上、夜間に2個以上の製品加工に対応、4軸同時制御などの性能および機能を有することを条件に選定した。従来機種では部品表面の粗さが要求精度を満たさずサンドペーパーで磨いていたが、導入後はその必要がない加工精度が出ることを確認した。加工時間も従来機種に比べて25%削減でき、さらに工具の最適な選択などにより加工時間の短縮を進めている。

加工機マシニングセンター(MC)

事業の効果

新たに導入したMCにより、従来は熟練職人が古い切削機械で苦労して仕上げていた加工精度0.005mmを、若手技術者が安定して出せるようになった。表面の磨き作業が不要になり、工程の手間が減った。加工時間も従来機種より25%短縮され、生産性が向上した。若手スタッフの意識が変わったことも効果として挙げられている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    大正14年創業から金型部品の加工に注力してきた歴史があり、今回のMC導入もその延長として書かれているが、経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    海外移転や周期短縮で国内仕事量が減り競争が激化する中、加工精度0.005mmや加工時間25%削減という自社の強みを活かす投資として書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    ハイサイクル成形対応と切削工程の生産性向上という課題を挙げ、加工時間25%削減や表面磨き作業の不要化で解決する内容になっている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    加工時間25%削減と5年後に金型部品の売上を今の2倍にする目標が書かれているが、利益や賃上げの数値目標は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    入社3年目の若い技術者が運用を担当し、ベトナム人材や課長による製造現場の体制が書かれているが、事務処理能力への言及はない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    自動車のアルミ部品採用増加によりダイカスト金型部品の需要は堅調と書かれ、顧客は国内の主要自動車関連金型メーカーとされている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の目標や海外進出の検討は書かれているが、補助事業の遂行スケジュールや課題解決の方法は詳しく書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    同分野で精度0.005mmの加工を実現し、磨き作業を不要にした点は高水準の加工と読めるが、市場の認知度に関する記述は薄い。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    自動車のアルミ部品採用増加に伴う需要の堅調さはうかがえるが、経済波及や雇用創出など国が補助する理由は明示されていない。

  • 費用対効果3

    加工時間25%削減や磨き作業の省略という効果は書かれているが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    最新のMCや4軸同時制御の導入は書かれているが、デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は示されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    大阪府八尾市の地域企業で、ベトナム人材の受け入れや雇用を行っていることは読み取れるが、地域特性を活かした成長戦略の記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

アルミダイカスト金型部品事業は平成29年度に黒字化しており、5年後に同事業の売上高を今の2倍にすることを目指している。海外進出については、ベトナムに工場を出すことを希望しつつ、世界的な需要動向や業界の流れを見極め、自社の技術力や資本力も勘案して検討するとしている。

事業者の声

「加工時間をさらに短くしていきたい」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。