ものづくり補助金平成28年度製造業千葉県

金属加工のIoT化によるコスト削減と自動化、新加工分野進出

株式会社村上製作所

成果加工時間 1旧ロボット比の倍率→0.25旧ロボット比の倍率

この事例のポイント

  • 精密加工を支える50歳代・60歳代の熟練技術者の経験やノウハウを、若手技術者へ継承することが課題である。
  • 金属材料の成分分析を行う携帯型成分分析計と、硬度を測るポータブル硬度計を導入し、加工データを収集してビッグデータ化した。
  • 加工時間 1旧ロボット比の倍率→0.25旧ロボット比の倍率。設備稼働監視システムの導入により、熟練工が若手作業者に指示を出せるようになり、経験の浅い技術者のレベルアップと加工時間…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社村上製作所
所在地千葉県 佐倉市
業種金属製品製造業
技術分野機械制御,精密加工,測定計測
従業員数15人
資本金1,000万円
設立1972年

事業の背景

1972年設立の金属加工の製造販売会社で、大物の金属加工を得意としている。2008年のリーマンショック以前から10年計画で若手技術者の育成に取り組み、若手中心の体制になったが、技術力は熟練者に及ばない。一つの部材に100ヵ所以上の穴をあける加工を請け負うことが多く、海外製材料の品質のばらつきが加工の負担になっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能精密加工を支える50歳代・60歳代の熟練技術者の経験やノウハウを、若手技術者へ継承することが課題である。
  • 品質・精度海外製の金属原材料は成分や硬度が一定せず切削しにくいため、加工条件を作業中に変更する必要があり、支給材料の品質低下とばらつきへの対応力を高めることが課題である。
  • 生産能力熟練者が刃物の破損を防ぐために手動モードで切削しており、経験のない作業者でも安全に加工でき、夜間も無人運転できるようにすることが課題である。

やったこと

金属材料の成分分析を行う携帯型成分分析計と、硬度を測るポータブル硬度計を導入し、加工データを収集してビッグデータ化した。テーブル形横中ぐりフライス盤の加工ロボットをIoT化し、材料に応じた加工条件を見出すことで、職人が確認しながら行っていた作業の完全自動化を目指すシステムを構築した。設備稼働監視システムを導入し、熟練工がモニターを見ながら複数の若手作業者に加工指示を出せる体制を整えた。さらに最新型の加工ロボットを導入し、加工時間の短縮と刃物寿命の延長を図った。

加工機テーブル形横中ぐりフライス盤
ソフト設備稼働監視システム
検査測定携帯型成分分析計
検査測定ポータブル硬度計
ロボット最新型の加工ロボット

新しい製品・サービス:インコネル及びチタンといった難切削材の加工(新規金属材料加工分野への進出)

事業の効果

  • 加工時間 1旧ロボット比の倍率→0.25旧ロボット比の倍率

設備稼働監視システムの導入により、熟練工が若手作業者に指示を出せるようになり、経験の浅い技術者のレベルアップと加工時間の短縮が確認された。金属成分分析機と硬度計の導入により、材料の成分と硬さのばらつきを確認でき、硬さの差が加工に大きく影響していることがわかった。最新型の加工ロボットにより加工時間の短縮と刃物寿命の延長が確認された。加工時間の短縮によって作業枠が広がり、建機産業へ進出して新規案件の受注に成功した。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    10年計画で若手技術者を育成してきた経緯や技術伝承の課題が書かれ、過去の取組との連続性はうかがえるが、経営戦略上の位置付けまでは記述が薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    建機産業への進出や加工時間の短縮による受注増が書かれ、強みの活用はうかがえるが、市場動向や競争優位の根拠は具体的に示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    技術伝承と海外製材料の品質ばらつきという課題が明示され、IoT化と自動化で解決を図る実効性のある内容として具体的に読み取れる。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    加工時間が30年前の1/4になったとの記述はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、実現可能性の根拠は乏しい。

  • 事業を進める体制3

    若手中心の体制や熟練工が若手に指示する形が書かれ、体制はうかがえるが、事務処理能力や遂行体制の詳細は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    建機産業への進出と新規案件の受注成功が書かれ、顧客ニーズへの対応は見えるが、ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋4

    インコネル・チタンへの新分野進出、データ収集から無人化運転への道筋など、中長期の進め方と課題が段階的に示されている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    インコネル・チタンという難切削材への進出を明記し、高水準の加工分野へ挑戦する点が具体的に読み取れる。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用2

    研究機関との連携や技術発展への貢献が書かれるが、雇用創出や波及効果といった国が補助する理由は明確でない。

  • 費用対効果3

    加工時間が1/4になり新規受注に成功したとあるが、補助金額に対する付加価値増加の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献4

    IoT化による加工データのビッグデータ化と研究機関へのデータ提供など、デジタル技術の活用とイノベーションへの貢献が具体的に書かれている。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    新しい金属材料分野への進出は書かれるが、日本経済の構造転換への言及は乏しく、わずかにうかがえる程度。

  • 地域経済への波及2

    千葉県佐倉市の立地や地域への言及はあるが、地域の特性を活かした付加価値創出や雇用拡大の記述は少ない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

熟練工の属人的な経験や勘を数値化し、技術の伝承に役立てる。インコネルやチタンなどの新しい金属材料の加工に積極的に取り組む。蓄積したデータを研究機関に提供し、研究機関からの依頼で金属の切削やデータ収集を行うことも可能と考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。