ものづくり補助金平成27年度サービス業(他に分類されないもの)兵庫県

中古住宅・造成地の品質評価サービス事業

有限会社太田ジオリサーチ

この事例のポイント

  • 日本では宅地取引の際に十分な調査や情報開示がなされておらず、購入者も地盤情報を重視しない傾向にある。
  • 神戸市北区の借用地に実験サイトを設け、鋼管・プラスチック管・土管・瓦礫・空洞の5種類の異物を異なる深度に埋設した。
  • レーダーの反射波形によって地中の空洞が可視化できるようになり、陥没の危険を予測できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社太田ジオリサーチ
所在地兵庫県 西宮市
業種その他のサービス業
従業員数4人
資本金1,000万円
設立1990年

事業の背景

当社は1990年に設立された建設コンサルタントで、地質・土質調査や測量などを行い、従業員は4人である。既存住宅(中古住宅)の取引では、購入者と販売者の間に情報量の格差があり、地盤の状態まで考慮する人は少ない。高度経済成長期に開発された大規模造成地(ニュータウン)は経済効率を重視して作られており、震度6以上の地震では地滑りの可能性が大きい箇所が多数存在する。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信日本では宅地取引の際に十分な調査や情報開示がなされておらず、購入者も地盤情報を重視しない傾向にある。
  • 品質・精度大規模造成地では水道管などの老朽化による漏水で地中に空洞ができ陥没につながるが、その危険を事前に検出する手段が十分になかった。
  • 品質・精度宅地造成から40〜50年が経過し、埋没管や地盤の老朽化が懸念されるなか、地盤や建物の状況に応じた検査と対策を行う必要がある。

やったこと

神戸市北区の借用地に実験サイトを設け、鋼管・プラスチック管・土管・瓦礫・空洞の5種類の異物を異なる深度に埋設した。埋設物ごとおよび設置深度ごとに反射波形を収集し、3次元解析ソフトで可視化した。その結果、埋没物の違いによる波形の見え方や、探査に最適な深度と範囲が明らかになった。低周波数域(深い深度)と高周波数域(浅い深度)のデータを同時に取得できる小回りの利く地下レーダー探査装置を導入した。安全対策として、必要に応じて自社開発した排水補強パイプを使用する体制を整えた。

検査測定地下レーダー探査装置
ソフト3次元解析ソフト
その他排水補強パイプ

新しい製品・サービス:地下レーダーによる地中空洞・埋設管の検出と、地盤や建物の状況に応じた検査・対策を組み合わせた中古住宅・造成地の品質評価サービス

事業の効果

レーダーの反射波形によって地中の空洞が可視化できるようになり、陥没の危険を予測できるようになった。埋設物ごとの波形や最適な探査深度・範囲のデータが得られ、実用化に向けた基礎が整った。個人からの依頼にも手軽に地盤調査で応じられる体制づくりを進めている。客観的な地盤評価により、流通市場の透明性と信頼性の向上が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    当社が蓄積した地盤調査のノウハウを基に、中古戸建ての地盤評価から民間宅地の安全性確保へ事業を展開する方針が示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    造成地40〜50年経過や取引時の情報格差という外部環境に対し、ノウハウと地下レーダーなどの設備投資を強みとして位置づけている。

  • 課題の認識と解決3

    陥没や地滑りのリスクという課題は具体的に示されているが、今後の展開は方向性の列挙にとどまり、成長や付加価値の見込みは書かれていない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。付加価値額や賃上げの目標値は示されていません。

  • 事業を進める体制3

    従業員は4人(令和元年6月現在)で、検査機器の運用や対策実施のノウハウ修練に取り組んだと書かれている。体制の具体性は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    客観的な地盤評価で取引の透明性と信頼性を高める価値を示し、個人からの依頼に応える体制という顧客ターゲットも明記している。

  • 事業化までの道筋3

    実験サイトでのデータ収集や地盤品質判定士会との連携など手順は示されるが、スケジュールや課題の解決方法の期限は書かれていない。

  • 財務と資金の調達2

    資本金1,000万円という情報のみがうかがえるが、資金調達の見込みや財務状況は公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    日本では地盤情報を重視しない傾向があり、宅地の地盤評価サービスは普及していない分野として位置づけられている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    陥没や地震など自然災害に強い住まいの実現を目的とし、社会的な安全性への寄与は示されているが、雇用や波及効果は書かれていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。補助金投入額に対する付加価値や費用対効果は示されていません。

  • イノベーションへの貢献4

    地下レーダーの反射波形を3次元解析ソフトで可視化し空洞を検出するなど、先端的な探査技術で流通市場の透明性向上に取り組んでいる。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    中古住宅市場の取引文化の変革が掲げられているが、市場成長分野への進出や構造転換の意義は明示されていない。

  • 地域経済への波及2

    兵庫県西宮市の事業者で、地域の造成地や住宅の課題を扱うが、地域経済の成長や雇用創出への言及は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

地盤品質判定士会等と連携して地盤から宅地を選ぶ考え方を普及させ、宅地の安全性確保を対象としたビジネスを展開する。次世代も安心して暮らせる住まいのため、今の土地取引の文化を変革することを目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。