ものづくり補助金平成27年度製造業兵庫県

県内有数の観光客に対応するための「吟醸酒」の量産体制の確立

狩場一酒造株式会社

成果年間最大4,500Lの製造が可能となった

この事例のポイント

  • 県内有数の観光地を訪れる観光客の需要に応えるため、只醸酒の量産体制を確立する必要があった。
  • 只醸酒専用の麹室を新設した。
  • 年間最大4,500Lの製造が可能となった。只醸酒の量産体制が整い、年間最大4,500Lの製造が可能となった。

事業者のプロフィール

事業者名狩場一酒造株式会社
所在地兵庫県 篠山市
業種飲料・たばこ・飼料製造業
技術分野製造環境
従業員数8人
資本金500万円
設立1916年

事業の背景

当社は家庭消費向けの普通酒、本醸造酒、純米酒などリーズナブルな清酒を製造してきた。日本酒市場は高齢化や人口減少、嗜好の変化などで縮小傾向が続く一方、地酒や和食ブームを背景に只醸酒などの高付加価値品のシェアは拡大している。地元篠山は年間200万人の観光客が訪れる県内有数の観光地である。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力県内有数の観光地を訪れる観光客の需要に応えるため、只醸酒の量産体制を確立する必要があった。
  • 新製品・新技術高級・本物志向の顧客ニーズに応えるため、長年培った技術を生かした只醸酒を新たに製造する必要があった。
  • 生産能力既存の普通酒や本醸造酒などの生産量を維持しつつ、只醸酒を別工程で製造する設備が必要だった。

やったこと

只醸酒専用の麹室を新設した。面積は約3倍の広さを持ち3室に分かれ、機械による温度と湿度の正確な調整が可能になった。容量6,000Lの小型クーリングタンクを新たに導入し、約50日間5〜10℃の安定した温度管理の下で低温発酵を行えるようにした。平成28年冬季から吟醸酒の試作を開始し、当初の精米歩合60%から50%に下げて試作したところ理想の味わいと香りが得られ、今夏新製品として発売した。

  • 加工機只醸酒専用の麹室小型クーリングタンク容量6,000L

新しい製品・サービス:吟醸酒(今夏発売の新製品)

事業の効果

  • 年間最大4,500Lの製造が可能となった

只醸酒の量産体制が整い、年間最大4,500Lの製造が可能となった。既存の普通酒の生産量に影響を与えず只醸酒を生産できるようになり、吟醸酒造りに適した酵母や麹菌の特徴を引き出せるようになった。職人の意識が変わって凡事徹底が進み、若い人材の確保や若返りにもつながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性県内有数の観光地で地酒を求める顧客が多い点と、ベテラン職人の技術や丹波杜氏の技を強みとして高付加価値品へ進出する点が読み取れる。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け直販店で顧客の声を聞きニーズに合わせた開発を行い、華やかな香りとすっきりした味わいという特長で顧客ターゲットが明確である。
  • 4
    新しさ・高付加価値地酒市場で只醸酒等の高付加価値品シェアが拡大しているとし、精米歩合50%の吟醸酒という高水準の高付加価値化を図っている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    費用対効果投入額に対する付加価値額の増加や生産性向上の数値的な費用対効果の記載がなく、効果は定性的な言及にとどまる。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    普通酒・本醸造酒など既存の清酒製造の延長で、長年培った技術を活かし只醸酒の量産体制を確立する方針が示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    県内有数の観光地で地酒を求める顧客が多い点と、ベテラン職人の技術や丹波杜氏の技を強みとして高付加価値品へ進出する点が読み取れる。

  • 課題の認識と解決3

    普通酒中心で高級志向ニーズに応えられない課題を認識し、只醸酒専用麹室とクーリングタンクで高付加価値化を図る計画になっている。

事業の実現可能性3.2
  • 付加価値・賃上げの目標3

    年間最大4,500Lの吟醸酒製造が可能と示されているが、付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、実現可能性は読み取りにとどまる。

  • 事業を進める体制3

    既存の職人と丹波杜氏の技術を活かし、新設備導入を契機に若い人材の確保も進んでいると記載され、遂行体制がある。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    直販店で顧客の声を聞きニーズに合わせた開発を行い、華やかな香りとすっきりした味わいという特長で顧客ターゲットが明確である。

  • 事業化までの道筋3

    初年度の試作で精米歩合60%では理想に届かず、次年度に50%へ下げて商品化に至った課題解決の過程が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    地酒市場で只醸酒等の高付加価値品シェアが拡大しているとし、精米歩合50%の吟醸酒という高水準の高付加価値化を図っている。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    県内有数の観光地での観光客需要に対応し、若者の新規雇用や人材の若返りにつながる効果が示されている。

  • 費用対効果2

    投入額に対する付加価値額の増加や生産性向上の数値的な費用対効果の記載がなく、効果は定性的な言及にとどまる。

  • イノベーションへの貢献2

    先端的なデジタル技術や新ビジネスモデルの活用は見られず、機械による麹室の温湿度調整が中心で地域イノベーションへの貢献は弱い。

政策面3.0
  • 成長分野への進出2

    高付加価値品シェアの拡大という市場動向に触れているが、日本経済の構造転換に資する点は明示されていない。

  • 地域経済への波及4

    丹波篠山の観光地としての特性と地元の地酒需要を活かし、高付加価値の吟醸酒で地域の観光需要に応える事業になっている。

今後の展望

麹室の木材の吸湿性や保温性など移菌育成の環境が安定すれば、麹菌の発育がさらに促され、吟醸酒の品質も一層向上することが期待できる。

  • 目標:精米歩合 60%→50%

事業者の声

お客様が、飲んでおいしいと思うお酒をつくりたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。