ものづくり補助金平成27年度サービス業(他に分類されないもの)兵庫県

天然乾燥に近い「木材超低温乾燥設備」の導入による伝統工法建築の受注拡大

太田工務店株式会社

この事例のポイント

  • 自然乾燥には2〜3年を要するため、必要量の木材を入手することが困難だった。
  • 自然乾燥に近い状態で木材を乾燥できる超低温乾燥設備を導入した。
  • 超低温乾燥設備の導入により、自然乾燥に近い木材を安定して調達できる体制が整い、伝統工法建築の受注拡大につながることが期待されている。

事業者のプロフィール

事業者名太田工務店株式会社
所在地兵庫県 多可町
業種その他のサービス業
技術分野材料製造プロセス
従業員数7人
資本金500万円
設立2015年

事業の背景

多可町では木造住宅に使われる桧の生産が盛んだが、外国材を使うことが多い大手住宅メーカーの台頭で、国産桧の需要は低迷していた。当社は木造伝統工法にこだわり、受注する工事に地元産桧を使いたいと以前から考えていた。自然乾燥に近い状態で、かつリーズナブルな価格の木材を安定して調達する必要があった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力自然乾燥には2〜3年を要するため、必要量の木材を入手することが困難だった。
  • コスト・採算自然乾燥の木材は期間がかかる分、価格も高くなっていた。
  • 納期・工程顧客の建築時期に合わせられず数年待ってもらうこともあり、引き合いは多いものの受注に至らないケースが多かった。

やったこと

自然乾燥に近い状態で木材を乾燥できる超低温乾燥設備を導入した。装置内の温度を45℃以下に設定し、木材の細胞を壊さずに水分を抜く方式で、従来の高温乾燥(100℃以上)とは方式が異なる。乾燥や設備管理のノウハウがなかったため、地元木材店や林業関係者に協力を仰ぎ、試行錯誤を繰り返して自然乾燥に近い状態を再現する最適な温度設定を見つけた。超低温乾燥設備とあわせて製材機も導入し、多可町産桧を直接仕入れて乾燥・製材し、自社で活用する体制を整えた。乾燥・製材の機能を生かし、「多可桧屋」の名称で構造材・化粧材などを建築事業者等に販売する事業を始めた。

その他超低温乾燥設備
加工機製材機

新しい製品・サービス:多可町産桧の構造材・化粧材などを「多可桧屋」の名称で建築事業者等に販売する事業

事業の効果

超低温乾燥設備の導入により、自然乾燥に近い木材を安定して調達できる体制が整い、伝統工法建築の受注拡大につながることが期待されている。工務店が乾燥設備を持つことは珍しく、その独自性が話題となって学生の会社見学や林業関係者のイベントでの来訪があり、マスコミにも取り上げられている。多可町産桧へのこだわりやブランディング活動が営業面でも効果を生んでいると推測される。また、取り組みに興味を持った学生が入社するなど、採用面にも好影響が出ている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    多可町産桧を使う取組として地元産材へのこだわりや過去の伝統工法への思いが書かれ、一貫性はうかがえるが経営戦略上の位置付けの記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    大手住宅メーカーの台頭で国産桧の需要が低迷との外部環境と、外国材に頼らない自社の製材・乾燥機能が書かれている。強みの定量的な裏付けは薄い。

  • 課題の認識と解決4

    自然乾燥は2〜3年かかり価格も高いという課題を、超低温乾燥で乾燥期間を4週間にする具体的な解決策として示している。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    工期短縮やコスト低減、外販事業の開始とあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    乾燥や設備管理のノウハウは地元木材店や林業関係者の協力で習得したとあるが、人材や事務体制の詳細は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    自然乾燥に近い状態とリーズナブルな価格を求める顧客ニーズや引き合いの多さが書かれ、製品の価値が整理されている。

  • 事業化までの道筋2

    今後の展開として拡販や海外販売が挙がるだけで、スケジュールや課題解決の方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    工務店が乾燥設備を保有すること自体が珍しく、独自性が話題になったと書かれ、同分野での差別化がうかがえる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用4

    国産桧の需要低迷と林業・地域産業の活性化が挙げられ、山の産業と自然の好循環を通じた地域への波及が示されている。

  • 費用対効果2

    乾燥期間が2〜3年から4週間になると書かれるが、補助金額に対する付加価値増加などの費用対効果の数字はない。

  • イノベーションへの貢献2

    超低温乾燥という設備導入は書かれるが、先端的なデジタル技術や新ビジネスモデルの記述はうかがえない。

政策面70%
  • 成長分野への進出2

    地域材の利活用や木材需要の掘り起こしが書かれるが、日本経済の構造転換に資するかは読み取れない。

  • 地域経済への波及5

    多可町産桧を活かし、構造材や化粧材を地域ブランドとして販売して地域を盛り上げるとの事業内容が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

多可桧屋の拡販を進めるとともに、多可町産桧と他の多可町の特産品とのコラボレーション商品を開発する。多可町産桧の海外販売にも取り組む。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。