ものづくり補助金平成27年度運輸業、郵便業和歌山県

IT技術を活用した観光客の満足度向上のための仕組み作り

友ヶ島汽船 株式会社

この事例のポイント

  • 船の運航判断をするために小型船で島の船着き場まで行き波の高さを確認する必要があり、運行情報を観光客へタイムリーに提供できなかった。
  • まず、友ヶ島の桟橋(船着場)近くにWEBカメラを設置し、クラウドシステムを導入した。
  • WEBカメラの導入により運航の可否判断が迅速になり、観光客へスピーディに運行情報を提供できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名友ヶ島汽船 株式会社
所在地和歌山県 和歌山市
業種水運業
従業員数7人
資本金1,000万円
設立2006年

事業の背景

友ヶ島は戦後に南海電鉄グループが観光開発し、渡し船も同グループが運行していた。観光客の減少により2002年3月に航路を含む観光事業が全廃され、2007年からは同社が運行業務を行っている。通常時は1日4便(閑散期は往復2便)を運航し、加太港と友ヶ島を約20分で結んでいる。乗降客数は一旦低迷していたが、2012年度の2万1千人から2015年度には約6万人へ増加に転じた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力船の運航判断をするために小型船で島の船着き場まで行き波の高さを確認する必要があり、運行情報を観光客へタイムリーに提供できなかった。
  • その他島の紹介(位置、遺跡、歴史、地形、路面状況、季節別の楽しみ方)や島内設備(トイレの状況など)の情報提供が十分でなかった。
  • その他モラルやマナーの悪い観光客が多く、ルール順守の呼びかけも十分にできていなかった。

やったこと

まず、友ヶ島の桟橋(船着場)近くにWEBカメラを設置し、クラウドシステムを導入した。これにより動画で波の状況などを確認できるようになり、運航判断を迅速に行えるようになった。WEBカメラに内蔵されたスピーカーにより緊急連絡も可能となった。次に、スマートフォン用アプリでスタンプラリークイズ「友がQ」を制作し、クイズ形式で島の紹介と理解が深まる仕組みを作った。島の主な施設と自分の位置が分かる地図機能も備えている。さらに、友ヶ島と加太地区の観光案内DVD(4カ国語)を船内で上映できるようにし、観光客の回遊行動を促す仕組みを構築した。スタンプラリーの運用は2018年3月開始予定である。

その他WEBカメラ
ソフトWEBカメラのクラウドシステム
ソフトスタンプラリークイズアプリ「友がQ」

新しい製品・サービス:スタンプラリークイズ「友がQ」アプリ

事業の効果

WEBカメラの導入により運航の可否判断が迅速になり、観光客へスピーディに運行情報を提供できるようになった。スマートフォン用アプリや船内上映により、島の紹介や周辺観光への理解が深まり、観光客の回遊行動を促す仕組みができた。緊急連絡も可能になった。今後は観光客の満足度を高めて口コミによる来島者増加を狙う。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    2002年に観光事業が全廃後、2007年から同社が運行業務を担い、観光の仕組み作りを続けている流れは読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    口コミサイト200件の意見整理や、乗降客数が2012年度2万1千人から2015年度約6万人に増えた事実はあるが、競争優位性の記述は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    課題として運行判断の遅れ、島の情報不足、マナー違反を整理し、WEBカメラやアプリで解決を図るという具体的な対応が示されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    乗降客数が約6万人に達した実績は示されるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、目標値の設定は読み取れない。

  • 事業を進める体制2

    7人の従業員と2隻の船を運航していることはうかがえるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の記述はわずかである。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    観光客の口コミ意見を整理し、運行情報の迅速化やアプリによる島の紹介というターゲットと課題に対応した価値提案が示されている。

  • 事業化までの道筋4

    2018年3月運用開始予定、賞品の検討、島内施設の改装など、時期と取組内容が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    島の戦争遺跡をアニメ映画に重ねて人気を集めた点はうかがえるが、高付加価値化や高価格化の記述はほぼない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    観光客の回遊行動を促す仕組みや、島の観光振興という地域への効果はうかがえるが、経済波及や雇用創出の数字は示されていない。

  • 費用対効果2

    乗客数の増加は示されるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    WEBカメラのクラウドシステム、スマートフォンアプリ、スピーカーでの緊急連絡など、ITを活用した観光サービスの仕組みが具体的に書かれている。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    瀬戸内ならぬ紀淡海峡の友ヶ島という地域資源を活かし、乗客数の増加と島内環境整備で地域観光を牽引する事業である点が具体的に読み取れる。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

口コミによる観光客の増加を狙い、リピート客だけでなくまだ訪れたことのない人にも来島してもらいたいと考えている。安全航行が最も重要であるという認識に変わりはなく、今後も安全に観光客を送り届けることに注力する。

  • 目標:乗降客数 21,000人→60,000人

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。