ものづくり補助金平成27年度製造業島根県

高精度樹脂成形技術を活用した視覚障害者向け携帯型凸面点字器の開発

有限会社出雲樹脂

この事例のポイント

  • 障害者向けの携帯型点字器として、表から点字を打てる製品を開発する必要があった。
  • NPO法人日本点字普及協会が開発に取り組んでいた表向きで書ける点字器の製造を受託し、ものづくり補助事業で凸面点字器のケースと本体、点筆用の成形金型を導入した。
  • 表から点字を書ける凸面点字器を世界でも例のない製品として完成させ、2017年11月に東京で開かれた視覚障害者向けイベントで披露した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社出雲樹脂
所在地島根県 出雲市
業種プラスチック製品製造業
技術分野デザイン,精密加工
従業員数20人
資本金1,000万円
設立1984年

事業の背景

有限会社出雲樹脂は1984年に設立され、プラスチック部品の成形と組み立てを行っている。主に産業機械向けのマイクロスイッチやリミットスイッチなどのスイッチ類を製造し、生産ラインの工作機械などで使われている。これまで製品は産業機器部品に集中しており、業界の動向に大きく左右されてきた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術障害者向けの携帯型点字器として、表から点字を打てる製品を開発する必要があった。
  • 人手・技能自社はまったく経験のなかった分野の商品開発に取り組む必要があった。
  • 生産能力産業機器部品に売上が集中しており、業界の動向に左右されやすい経営構造を改める必要があった。

やったこと

NPO法人日本点字普及協会が開発に取り組んでいた表向きで書ける点字器の製造を受託し、ものづくり補助事業で凸面点字器のケースと本体、点筆用の成形金型を導入した。何度も試作し、協会員らに使ってもらって意見を聞き、サイズや形などを改良した。日本の点字サイズより大きめのLサイズで書けるようにし、軽く小さく持ち運びやすい製品に仕上げた。

  • 金型凸面点字器ケース成形金型凸面点字器本体成形金型凸面点字器点筆成形金型

新しい製品・サービス:表から打てる携帯型の凸面点字器「トツテンくん」。でっぱりを上向きに作れるため、読む文字と同じ文字を同じ方向に書ける。五色展開で、名刺や点字用粘着テープにも書ける。

事業の効果

表から点字を書ける凸面点字器を世界でも例のない製品として完成させ、2017年11月に東京で開かれた視覚障害者向けイベントで披露した。同協会が窓口となって販売し、海外進出も視野に入れている。自社商品を持つことで経営の安定につながり、商品化に携わった社員の自信にもつながると期待されている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.9 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    新しさ・高付加価値表から打てる凸面点字器は世界でも例がないと書かれ、従来の点字器との違いや日本の点字サイズより大きいLサイズ対応など高付加価値が具体的に示されている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け表から打てる点字器で、文字を同じ方向に書けること、Lサイズで読みやすいこと、軽く持ち運びやすいことなど価値と選ばれる理由が具体的に書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    これまでの取組との一貫性産業機器部品に集中してきた事業の一方で、新たな柱として自社商品を検討中だったと書かれ、過去の取組との一貫性は読み取りにくい。
経営戦略との整合性2.7
  • これまでの取組との一貫性2

    産業機器部品に集中してきた事業の一方で、新たな柱として自社商品を検討中だったと書かれ、過去の取組との一貫性は読み取りにくい。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    産業機器部品が業界動向に大きく左右されてきたという弱みと、樹脂の強度向上による利用拡大に触れており、外部環境との関係はうかがえる。

  • 課題の認識と解決3

    業界動向に左右される課題を認識し安定経営のため新たな柱を作る方針が示されるが、事業計画の数値や具体的な高付加価値化の手順は書かれていない。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標ー

    公開情報では判断できません。

  • 事業を進める体制3

    試作を重ね協会員に使ってもらい改良したという開発の進め方は読めるが、補助事業の遂行体制や人材の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    表から打てる点字器で、文字を同じ方向に書けること、Lサイズで読みやすいこと、軽く持ち運びやすいことなど価値と選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋2

    試作と改良を繰り返し完成させたことはうかがえるが、中長期のスケジュールや課題解決方法の記述はほとんどない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性5.0
  • 新しさ・高付加価値5

    表から打てる凸面点字器は世界でも例がないと書かれ、従来の点字器との違いや日本の点字サイズより大きいLサイズ対応など高付加価値が具体的に示されている。

公的補助の必要性2.5
  • 波及効果・雇用3

    障害者向けの点字学習のハードルを下げ、フランスなどで主流のLサイズや海外進出も視野に入れる点は社会的意義をうかがわせるが、経済波及や雇用創出の数字はない。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献2

    樹脂化による新製品開発で金属しか使えなかった部分への利用が広がるとあるが、先端デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    樹脂が金属の代わりに使われる分野が広がるという業界動向に触れるが、日本経済の構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及3

    島根県出雲市の地域企業が障害者向け製品を開発したとの記述はあるが、地域の特性を活かした成長や雇用創出の具体性は薄い。

今後の展望

同協会が窓口となって販売するほか、海外進出も視野に入れている。今後も新しい製品を考えている。

事業者の声

商品として世に出れば、携わった社員の自信にもつながる

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。