ものづくり補助金平成27年度製造業佐賀県

カット海苔1枚のピロー包装技術の確立とその商品開発

三福海苔株式会社

成果ロス率 18%→1.42%

この事例のポイント

  • 一般の包装機では、柔らかく軽い海苔を搬送してフィルムで包む際に浮き上がりを抑えられず、位置ずれ・噛み込み・搬送時の破れなどのロスが高い確率で発生していた。
  • カット海苔1枚のピロー包装技術を確立し、商品化を目指した。
  • ロス率 18%→1.42%。専用設備の導入によりロス率が大幅に下がり、必要人員も削減できた。

事業者のプロフィール

事業者名三福海苔株式会社
所在地佐賀県 佐賀市
業種食料品製造業
従業員数10人
資本金2,500万円
設立1971年

事業の背景

海苔のギフト需要や家庭消費量は、食文化の変化や贈答習慣の衰えから減少傾向にあった。一方で、手軽に食べやすいおにぎりが都市圏を中心に国内外で人気を高めており、海苔を別の形で食べる機会が増えていた。おにぎりを提供する飲食店などはコンビニおにぎりとの差別化を図るため、質の高い素材や美味しさを追求し、握りたてのおにぎりと海苔を分けて提供する手法が増えていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度一般の包装機では、柔らかく軽い海苔を搬送してフィルムで包む際に浮き上がりを抑えられず、位置ずれ・噛み込み・搬送時の破れなどのロスが高い確率で発生していた。
  • 人手・技能海苔の手作業での袋詰めは繊細な作業のため、時間あたりの生産性が悪かった。
  • 生産能力柔らかな海苔を確実に包める専用の包装ラインを設置し、ロスを減らして生産性を上げる体制を構築する必要があった。

やったこと

カット海苔1枚のピロー包装技術を確立し、商品化を目指した。導入した包装ライン連動丸刃裁断機は、丸刃切断機を搭載した切断機で柔らかい海苔を1枚ずつカットし、搬送ラインへスムーズに送り込む。乾燥剤封入機は、香りを保ち鮮度感を維持するための石灰乾燥剤を搬送ラインに投入し、海苔と一緒に封入する。ピロー包装機は、搬送フィンガーの上部に特殊な返しを付けて海苔の浮き上がりを抑え、製袋部へ正確に搬送する。さらに、固定式の専用製袋装置で袋を形成し、製袋部に静電気除去装置を取り付けて静電気の影響を回避し、押さえベルト装置で海苔を押さえながらフィルムで包み込んで一定の位置を保つ。

加工機包装ライン連動丸刃裁断機
加工機乾燥剤封入機
加工機ピロー包装機

新しい製品・サービス:カット海苔1枚のピロー包装商品

事業の効果

  • ロス率 18%→1.42%

専用設備の導入によりロス率が大幅に下がり、必要人員も削減できた。設置後の評価検証では、カット、ピロー包装、検品までの工程を2名体制で行えるようになった。包装スピードは目標の60回転/時を実現し、1時間当たりの製造は目標を上回る3,323袋/時(ロス整理時間含む)を達成した。時間あたり目標生産数も予定より約1.1%増となり、効果的な生産体制を構築できた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    海苔のギフト需要減少とおにぎり人気上昇を背景に、カット海苔ピロー包装の商品化を競争力強化と位置付けている。過去の取組との連続性は書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    コンビニおにぎりとの差別化や、柔らかい佐賀海苔という自社素材の強みを活かし、おにぎり専門店などへ販路を広げる狙いが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    手作業では生産性が悪く、ロス率約18%が課題と明示され、専用包装ラインでロスを減らす解決策と結びついている。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    ロス率を約18%から約1.42%、生産数を約1.1%増、包装スピード60回転/時、3,323袋/時など数値目標と実績が示されている。

  • 事業を進める体制3

    従業員10人の体制で、カット・包装・検品を2名で行えるようになったと書かれているが、補助事業の遂行体制の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    おにぎり専門店やカフェレストランへの販路、柔らかい佐賀海苔の品質という顧客ターゲットと選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    設置後の評価検証と目標達成状況は書かれているが、中長期の検証や遂行スケジュールの記述は限定的。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    カット海苔のピロー包装という新しい商品形態で、海苔の一般的な普及度が低い分野への挑戦と読める。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    地域産業の発展や佐賀海苔の普及に貢献すると述べられているが、雇用や波及効果の数値は示されていない。

  • 費用対効果4

    ロス率や生産性の改善、年間約300万円の売上上乗せが数字で示され、投資効果が読み取れる。

  • イノベーションへの貢献2

    特殊な搬送フィンガーや静電気除去装置など技術的工夫はあるが、デジタル技術や地域サプライチェーンへの波及は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    佐賀海苔の特徴を活かし、地域産業発展へ貢献すると述べられているが、雇用創出や地域成長の具体的記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

本事業の事業化により、おにぎり専門店・カフェレストラン5事業所と取引を行い、年間約300万円の売上を上乗せしている。今後は市場ニーズに応えることで新たな販路開拓が期待でき、現在取引実績がある高級料理店やセレクトショップ等への取引拡充も見込める。佐賀海苔の普及と地域産業発展への貢献につながり、他社より早く事業化することで業界での優位性を確保し、会社の付加価値向上を期待している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。