ものづくり補助金平成27年度製造業熊本県

新型レーザー溶接機導入による薄板ステンレス製品の高品質化

三晃精機株式会社

成果溶接工数(ステンレス・アルミニウム) 100%→50%

この事例のポイント

  • 溶接後の手直しや酸による洗浄の作業がリードタイムに影響している。
  • 新型のYAG溶接機(レーザー溶接機)を導入した。
  • 溶接工数(ステンレス・アルミニウム) 100%→50%。溶接工数が約半分になり、溶接工程全体の時間も約60%短縮された。

事業者のプロフィール

事業者名三晃精機株式会社
所在地熊本県 合志市
業種金属製品製造業
技術分野接合・実装
従業員数34人
資本金1,000万円
設立1988年

事業の背景

半導体製造装置などの精密板金溶接部品は、薄肉化と清浄度の品質要求が年々高まっている。主力の小ロット薄板ステンレス溶接を強みとしてきた。売上高の約80%を半導体関連の市場が占めており、今後も緩やかに伸びることが予想される。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力溶接後の手直しや酸による洗浄の作業がリードタイムに影響している。
  • 人手・技能作業者のスキルに大きく依存しており、対応できる熟練作業者の確保が困難である。
  • 新製品・新技術発注元からレーザー溶接加工の指定が増えているが、薄型素材に対応できる作業者が不足している。

やったこと

新型のYAG溶接機(レーザー溶接機)を導入した。約1ミリメートルのステンレス素材が多い中、従来の熱伝導溶接で起きていた極薄素材の歪みや「焼け」を抑えるため、小さなスポットに鋭角縦型でレーザーを集中照射する新工法を採用した。熱拡散が少なく高速溶接が可能で、仕上がりは歪みや焼けがほとんどなく、素材の矯正加工や酸を使った洗浄も不要になる。これにより薄型素材に対応できる作業者を増員し育成した。

加工機YAG溶接機(新型レーザー溶接機)

事業の効果

  • 溶接工数(ステンレス・アルミニウム) 100%→50%
  • 溶接工程の全体時間 100%→40%
  • 工場全体で10~15%の効率アップが実現した。

溶接工数が約半分になり、溶接工程全体の時間も約60%短縮された。工場全体では10~15%の効率アップが実現した。「焼け」の処理もほとんど不要になり、酸による洗浄の負担が減ったことで職場環境も改善し、働き方改革にも寄与している。熟練のTIG溶接作業員は指導的な立場に移り、新しい人材育成にも取り組んでいる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    強みである小ロット薄板ステンレス溶接の技術革新に取り組んだとあり、既存事業との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置づけは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    半導体製造装置の薄肉化・清浄度要求の高まりや、売上の約80%を占める半導体関連市場に触れており外部環境は読み取れるが、競争優位の根拠は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    手直しや溶接後洗浄による課題を示し、溶接工数を約1/2に短縮、工場全体で10~15%の効率アップという数字で解決効果が読み取れる。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    工程全体時間を約60%短縮、工場全体で10~15%の効率アップという実績はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    熟練作業員を指導的立場に転向し新しい人材育成に取り組んでいると書かれ、体制の一端はうかがえるが、事務処理能力等は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    軽量・精密・清浄度が高い製品を武器に営業拡大すると述べ、半導体関連や自動車・医療分野など顧客ターゲットが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    食品関連分野への進出計画や構成部品比率を高める計画が示されるが、スケジュールや課題解決の方法は詳しく書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    薄板ステンレスの高品質化で歪みや焼けをほぼなくす点は示されるが、分野の普及度や高価格化の具体的水準は書かれていない。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    レーザー指定部品への対応力強化や海外輸出される構成部品の比率向上が触れられ、波及効果は読み取れるが、雇用創出などは薄い。

  • 費用対効果4

    溶接工数約1/2、工場全体で10~15%の効率アップ、酸洗浄負担の軽減という具体的数字があり費用対効果の一端がうかがえる。

  • イノベーションへの貢献2

    最新レーザー溶接機の導入は示されるが、デジタル技術やビジネスモデル構築による地域・サプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    半導体関連に加え自動車・医療・食品分野への進出計画がわずかに示され、構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及2

    熊本県合志市の企業であることは示されるが、地域の特性を活かした付加価値創出や雇用拡大の記述はわずかである。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

半導体関連市場は今後も緩やかに伸びる見込みである。今後は半導体関連産業に加えて、自動車、医療関連、食品関連の分野を強化・進出する計画である。海外への輸出も行っており、新技術の導入によって取引先の構成部品の比率を高めていく計画である。

業種と困りごとが近い成果事例

大阪府製造業平成25年度

MRI用超電導マグネット監視装置の生産体制強化

制御基板の試験を自動化するため、基板検査装置を開発し、手作業で行っていた測定端子の接続や測定値の読み取りを自動化する。

効果:測定工数は予定通り約半分以下の時間となった

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。