ものづくり補助金平成27年度製造業熊本県

自社技術の高度化による医療用針等の製品開発

九州オルガン針株式会社

この事例のポイント

  • 工業用ミシン針の需要は、衣類の裁縫がアジアの大規模工場に集約されつつあるため、今後の増加が見込みにくい。
  • 精密部品部門の主力化に向けてCNC精密旋盤を導入した。
  • CNC精密旋盤の導入により、自動生産機の精度とスピードが向上し、生産コストの削減に成功した。

事業者のプロフィール

事業者名九州オルガン針株式会社
所在地熊本県 玉名郡玉東町
業種その他の製造業
技術分野精密加工
従業員数143人
資本金1.35億円
設立1970年

事業の背景

当社はオルガングループの一員として工業用ミシン針の製造を続けており、グループでは世界トップシェアを占めている。ただし、ミシン針の業界は衣類の裁縫がアジアの大規模工場に集約されつつあり、今後の需要増は見込みにくい。そこで約10年前から精密部品部門を立ち上げ、針製造と針製造用機械製造のノウハウを生かした新分野に挑戦している。現在の精密部品部門の売上は全体の約10分の1で、今後は主力事業として育てたい考えである。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 販路・情報発信工業用ミシン針の需要は、衣類の裁縫がアジアの大規模工場に集約されつつあるため、今後の増加が見込みにくい。
  • 生産能力精密部品は職人が手作業に近い形で加工しており、生産の効率と精度に限界があった。
  • 人手・技能長年社員が培ってきた生産機製造の技術が、継承やデータ化されていなかった。
  • 納期・工程精密部品の生産機開発をベトナムや長野県のグループ工場に委託しており、受注から生産開始まで時間がかかっていた。

やったこと

精密部品部門の主力化に向けてCNC精密旋盤を導入した。同旋盤を用いた自動生産機を開発し、精度とスピードを向上させるとともに生産コストの削減に成功した。同旋盤のシステムを使い、長年社員が培ってきた生産機製造技術の継承とデータ化を行った。これにより、当社の針製造ノウハウを集結した製造機械の製造体制が整った。自社で提案から生産機設計、製品加工までを一貫して行えるようになり、リアルタイムで設計を提案できる営業体制も整った。

新しい製品・サービス:CNC精密旋盤を用いて、針製造ノウハウを生かした生産機と、螺旋加工を施したオリジナル部品を製造する。

事業の効果

CNC精密旋盤の導入により、自動生産機の精度とスピードが向上し、生産コストの削減に成功した。生産機の試作等の時間が短縮され、受注から生産開始までの期間が短くなった。自社で提案から設計、加工までを一貫して対応できるため、顧客満足度の向上が期待される。また、新規受注の獲得と精密部品の市場開拓が見込まれ、医療関連機器の部品製造を今後の主力事業として確立させたいと考えている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性世界トップシェアの針製造技術と生産機製造ノウハウを強みとし、設計から加工まで一貫対応できる体制を整えた点で競争優位が具体的。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け透析用カテーテルのガイド針などこれまでの取引実績があり、医療関連市場の拡大と高品質製品の需要増が見込まれると整理されている。
  • 4
    新しさ・高付加価値医療関連機器の部品製造に力を入れ、高品質製品の需要拡大を見込む点で、高付加価値分野への進出が読み取れる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標増収や主力化への期待は述べられているが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値や数字は示されていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    精密部品部門を10年ほど前に立ち上げ、針製造や製造機械のノウハウを生かして医療関連へ展開する方針で、既存事業との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    世界トップシェアの針製造技術と生産機製造ノウハウを強みとし、設計から加工まで一貫対応できる体制を整えた点で競争優位が具体的。

  • 課題の認識と解決3

    ベトナム等への委託で生じた受注から生産開始までの時間の課題を、CNC精密旋盤導入で短縮し提案型営業へ転換した点が示されている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    増収や主力化への期待は述べられているが、付加価値額や賃上げの具体的な目標値や数字は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    長年培った社員の生産機製造技術をデータ化して継承する取組があり、製造体制を整えたことが事実として書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    透析用カテーテルのガイド針などこれまでの取引実績があり、医療関連市場の拡大と高品質製品の需要増が見込まれると整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    新規受注への注力や精密部品の市場開拓、医療分野への参入という今後の進め方が示されているが、スケジュールは明示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    医療関連機器の部品製造に力を入れ、高品質製品の需要拡大を見込む点で、高付加価値分野への進出が読み取れる。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    アジアへの縫製集約でミシン針需要が減る中、医療関連など新分野を開拓する点は地域の産業構造転換への意義がうかがえる。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献3

    CNC精密旋盤でデータ化し、自動生産機の開発に活用する取組があり、製造技術のデジタル化による高度化が示されている。

政策面3.0
  • 成長分野への進出3

    ミシン針需要が伸びにくい中、医療関連機器の部品製造へ進出する点は、成長分野への転換として読み取れる。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

CNC精密旋盤で、針製造ノウハウを生かした新たな精密部品を製造できるため、今後もさらなる活用を模索している。アパレル関連や医療関連機器など幅広い分野に参入できるが、特に医療関連機器の部品製造に力を入れる。透析用カテーテルのガイド用針などを含む医療用針の市場拡大が見込まれ、高品質製品の需要拡大を予想している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。