ものづくり補助金平成28年度建設業岩手県

IoT化による、ヒトに依存しない型枠製造工程を再確立し、製造・施工の完全分離によるソリューションの実現

株式会社多田工務店

この事例のポイント

  • プレキャスト工法の普及やデザイン建築物の増加で型枠の形状が複雑になり、それまでの生産ラインでは対応が難しくなっていた。
  • 新型設備として自動型枠加工機と切断機を導入した。
  • 新型設備の導入により生産効率が大きく向上し、早期納品も実現できた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社多田工務店
所在地岩手県 花巻市
業種職別工事業
技術分野接合・実装,立体造形,機械制御
従業員数21人
資本金1,000万円
設立1993年

事業の背景

当社は創業以来、木製型枠の設計・製造から現地施工までを一貫して行っており、「型枠大工」と呼ばれる職人が、コンクリートを流し込むための型枠を組み立てている。昭和52年の創業で、腕のいい職人がそろい県内の型枠工事や土木工事を手掛けてきた。一方で、若い大工職人が不足し、東日本大震災以降のプレキャスト工法の普及により短納期要請も強まったため、社として機械化を模索していた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力プレキャスト工法の普及やデザイン建築物の増加で型枠の形状が複雑になり、それまでの生産ラインでは対応が難しくなっていた。
  • 人手・技能若い大工職人が不足しており、型枠の製造を職人の手作業に頼る体制を続けることが難しくなっていた。
  • 納期・工程東日本大震災以降にプレキャスト工法が普及して型枠工事の短納期要請が強まり、手作業では要望に応えにくくなっていた。
  • 品質・精度職人の手作業による仕上がりに個人差があった。

やったこと

新型設備として自動型枠加工機と切断機を導入した。自動型枠加工機には4台の自動釘打ち機が搭載され、幅900ミリの型枠には5本の桟木を取り付けられる。幅の狭い再利用材にも継ぎ目検出機能で正確に釘打ちでき、2個のドリルで4列まで穴あけが可能で、釘打ちとドリルによる穴あけを同時に行える。切断機は斜めカットに対応したことで階段枠の加工が可能になった。型枠設計ソフトで作成した設計図データをUSBに入れて自動型枠加工機に差し込むと、データが読み込まれてその通りの型枠が制作できる。

加工機自動型枠加工機
加工機切断機
ソフト型枠ソフト

事業の効果

新型設備の導入により生産効率が大きく向上し、早期納品も実現できた。釘打ちとドリルによる穴あけが同時に行えるため加工時間が大幅に短縮され、手作業よりも効率が上がって安全性も確保された。職人の仕上がりの個人差がなくなり、職人の生産効率を計算できるようになった。従来は受注機会を失っていたが、今後は公共施設の耐震化補修や建て替え工事の増加も見込まれ、受注機会のロス解消が期待される。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    創業以来の木製型枠の設計・製造・施工一貫体制を背景に、環境変化への対応として自動型枠加工機を導入する流れが具体的に書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    プレキャスト工法の普及や短納期要請といった外部環境と、熟練型枠大工の腕という強みが示されているが、競争優位の説明は薄い。

  • 課題の認識と解決4

    若手職人不足や短納期要請という課題を挙げ、自動型枠加工機と切断機の導入で手作業依存を下げる解決策が示されている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    加工時間の大幅短縮とあるが、付加価値額や賃上げにつながる数値目標は書かれておらず、実現可能性は判断できない。

  • 事業を進める体制3

    熟練職人によるOJTや工場長の存在が書かれているが、補助事業を遂行する人員や事務処理体制の具体は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    短納期と高品質で顧客ニーズに応えられる点や、受注機会のロス解消が書かれているが、ターゲットの整理は限定的。

  • 事業化までの道筋2

    試運転の結果や導入後の効果は書かれているが、今後の遂行スケジュールや課題の解決方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    複雑な型枠の加工を機械化した点は書かれているが、同分野での普及度や高付加価値化の水準は示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    若手育成が業界のメリットになる点や公共施設の耐震化工事の増加に触れているが、国が補助する理由を示す記述は弱い。

  • 費用対効果2

    生産効率や早期納品の効果が語られるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    型枠設計ソフトを無料配布し、USBデータで自動型枠機が読み込む仕組みを導入するなど、デジタル技術の活用が具体的に書かれている。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    IoT化による生産工程の刷新は書かれているが、日本経済の構造転換や成長分野への進出との関係は読み取れない。

  • 地域経済への波及2

    岩手県花巻市の県内型枠工事を手掛けてきた点はあるが、地域特性を活かした雇用創出や地域経済の牽引までは書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

公共施設の耐震化補修や建て替え工事が増えることが想定される。型枠設計ソフトを関係各社に無料で配布し、データ製作されたものを当社に入稿すると型枠を制作するサービスを行っており、その受注拡大も今後狙っていく。

事業者の声

機械を持っていない他の型枠づくりの企業の仕事も引き受けられるようになりたいですね

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。