ものづくり補助金平成28年度製造業群馬県

冷却性能向上による変形レス樹脂成形システムの開発

株式会社柴田合成

成果変形量 1.3mm→0.084mm

この事例のポイント

  • 樹脂化を進めるには樹脂の収縮による変形が障壁になっており、変形しない樹脂成形技術の確立が自動車部品メーカーから切望されている。
  • 金属光造形と切削加工を併せ持つハイブリッド金属3Dプリンターを導入し、三次元の複雑な冷却水管を設計した。
  • 変形量 1.3mm→0.084mm。3D積層冷却水管の設計により金型の冷却性能が改善し、成形品の変形量が大幅に減少した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社柴田合成
所在地群馬県 甘楽郡甘楽町
業種プラスチック製品製造業
技術分野立体造形
従業員数143人
資本金1,200万円
設立1968年

事業の背景

当社は最新プリウスのバックパネル薄肉化にも独自開発技術で貢献し、HV車を中心に樹脂部品を多く受注している。EVの軽量化案件も急増しており、これまでの外装部品に加えてボンネット内の樹脂化・軽量化案件が増えている。EVは2025年には200万台を超え、同年のEV関連市場は21兆円を超えると予測される。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力樹脂化を進めるには樹脂の収縮による変形が障壁になっており、変形しない樹脂成形技術の確立が自動車部品メーカーから切望されている。
  • 品質・精度金型のコア側とキャビ側で冷却性能に差が生じ、その不均一が原因で成形品が変形し、接合部に大きな隙間が生じる。
  • 納期・工程従来の穴加工冷却水管では冷却性能に限界があり、設計変更を繰り返す必要があった。

やったこと

金属光造形と切削加工を併せ持つハイブリッド金属3Dプリンターを導入し、三次元の複雑な冷却水管を設計した。設計した冷却水管をメーカーに試作してもらい、HOLDER金型に実装して成形した。従来の穴加工冷却水管では解析通りコア側に変形していたが、3D積層冷却水管設計では冷却性能が逆転した。コア側の水量を絞って冷却調整を行い、変形のない製品を実現した。

加工機ハイブリッド金属3Dプリンター

新しい製品・サービス:変形レス樹脂成形システム(3D積層冷却水管を用いた金型冷却技術)

事業の効果

  • 変形量 1.3mm→0.084mm
  • 設計変更回数 8回→0回
  • 金型設計期間 6カ月→2カ月
  • 金型製作コストは設計変更回数、製作期間が減少したことで33%の削減に成功した。

3D積層冷却水管の設計により金型の冷却性能が改善し、成形品の変形量が大幅に減少した。設計変更が不要となり、金型設計期間は半年から2カ月に短縮され、金型製作コストも33%削減された。試作した形状については最適解を導き出すことができた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    自動車部品の樹脂化・軽量化が当社の取組として挙げられ、プリウスのバックパネル薄肉化や過去の受注実績が記載されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    EV・HV市場の拡大予測(2025年EV関連市場21兆円超)と、変形課題への独自の3D積層冷却水管技術が強みとして示されている。

  • 課題の認識と解決5

    変形量1.3mmから0.084mmへの改善、設計変更回数8回から0回、金型設計期間半年から2カ月と、課題と解決策が数字で示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    金型製作コストを33%削減、変形量0.2mm以内を実現と数値目標に対する達成結果が具体的に示されている。

  • 事業を進める体制2

    開発体制や人材・事務処理能力について、事例紹介文からはわずかに技術者の関与がうかがえる程度である。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    EV・HV向け部品をターゲットに、2018年度金型10型・樹脂部品2万個の受注見込みなど顧客と需要が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    試作と成形による検証を経て最適解を得たとあるが、今後の遂行スケジュールや課題解決の方法は詳しく書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    3D積層冷却水管による冷却設計は従来の穴加工冷却水管から脱却した高付加価値な技術として位置づけられている。

公的補助の必要性80%
  • 波及効果・雇用4

    自動車の環境規制強化と樹脂化による軽量化の社会的要請が示され、EV・HV市場の規模拡大も記載されている。

  • 費用対効果4

    金型製作期間の短縮と製作コストの33%削減により、費用対効果の改善が数値で示されている。

  • イノベーションへの貢献4

    ハイブリッド金属3Dプリンターを用いた3次元冷却水管の設計という先端的な技術活用が具体的に記載されている。

政策面40%
  • 成長分野への進出3

    EV・HVの市場成長に対応する樹脂化・軽量化分野への進出が示されているが、構造転換への言及は限定的である。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

樹脂化・軽量化への動きが加速する中、本事業の成功によって金型の製作と、その金型を用いた樹脂部品の製造の両面で売上増加が見込まれる。2018年度には金型10型、樹脂部品2万個の受注を予測し、5年後にはHVが現在の約1.5倍、EVが約2倍に成長すると見込まれ、売上は金型が30型、成形品で140万個となり4億円を予測している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。