ものづくり補助金平成28年度製造業千葉県

加速度計一体型インフラサウンドセンサーの面的多点配置による津波観測システムの構築

株式会社サヤ

成果検出可能な周波数 0.001Hz→0.1Hz

この事例のポイント

  • 海外製のインフラサウンドセンサーでは限界があり、津波の遠隔検出を実現するために国産化が必要だった。
  • 複数のインフラサウンドセンサーを分散配置し、波形を開口合成する信号処理によって特定方向に指向性を絞り、震源域のインフラサウンドを強調して捉えられるようにした。
  • 検出可能な周波数 0.001Hz→0.1Hz。実験用センサー5台のうち3台を茨城県鹿嶋市、千葉県館山市の千葉大学施設、自社の3拠点に設置して常時観測中である。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社サヤ
所在地千葉県 船橋市
業種電気機械器具製造業
技術分野測定計測
従業員数3人
資本金1,000万円
設立2000年

事業の背景

かねてより可聴帯域より低い周波数の音を捉えるインフラサウンドセンサーの国産化を考えていたが、時間と資金の問題で進んでいなかった。東日本大震災の巨大津波を機に、インフラサウンドによる津波の遠隔検出の実現を真剣に考えるようになった。海外製品しかなかったことから国産化に着手し、2014年に電磁誘導型・差圧式インフラサウンドセンサーの開発に成功した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術海外製のインフラサウンドセンサーでは限界があり、津波の遠隔検出を実現するために国産化が必要だった。
  • 生産能力単体のインフラサウンドセンサーでは津波の検出範囲が広すぎて震源方向を特定できず、津波検出性能が低かった。

やったこと

複数のインフラサウンドセンサーを分散配置し、波形を開口合成する信号処理によって特定方向に指向性を絞り、震源域のインフラサウンドを強調して捉えられるようにした。開口合成では各拠点の時刻同期が必要なため、センサーにGPS機能を搭載し、GPSの時刻データをインフラサウンドデータとパックして記録するようにした。複数拠点のデータを集約するためFTP転送機能を追加し、サーバーへ転送できるようにした。実験用に5台を製造し、分散配置してフィールドテストを行う機材を準備した。

検査測定加速度計一体型インフラサウンドセンサー
検査測定GPS機能付きインフラサウンドセンサー(実験用5台)

新しい製品・サービス:加速度計一体型インフラサウンドセンサー(ADXⅢ-INF01LE、INF04LE、INF03など)

事業の効果

  • 検出可能な周波数 0.001Hz→0.1Hz
  • 実験用にインフラサウンドセンサーを5台製造した。

実験用センサー5台のうち3台を茨城県鹿嶋市、千葉県館山市の千葉大学施設、自社の3拠点に設置して常時観測中である。高知工科大学との連携で高知県、三重県、静岡県などに数十器を配置しフィールドテストを継続している。開発したセンサーは火星探査、高高度の音の伝搬実験、落雷位置の特定など複数の用途に採用され、ロケットにも搭載された。2019年春に発売し、津波の震源付近のインフラサウンドを検出して規模を推定する技術の実現を目指している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去のセンサー開発やインフラサウンド国産化の構想が一貫して示されるが、経営戦略上の位置づけは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性2

    海外製品の限界に触れる程度で、市場動向や自社の強み・弱みの分析は読み取れない。

  • 課題の認識と解決3

    津波検出性能が低いという課題と、複数センサーの開口合成による解決策が示されている。製品化や事業化の効果は数値で示されていない。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれていないが、今後の展望としてソフトウェア開発の方向性はうかがえる。

  • 事業を進める体制2

    従業員数3名との記載はあるが、補助事業を遂行する体制の具体的な役割分担は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    津波検知の用途や、JAXA・フィールド実験など複数の引き合い先が具体的に示され、ニーズの裏付けがある。

  • 事業化までの道筋4

    GPS時刻記録やFTP転送などの実施内容が段階的に示され、設置拠点も記載されている。スケジュールは明示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    インフラサウンドセンサーは一般に普及していない分野で、海外製品しかなかったことと国産化の経緯が示されている。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用3

    津波の遠隔検出や防災という公共性が示されるが、雇用や波及効果の定量的な記載はない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献3

    複数センサーの連携や信号処理による津波検出は新技術の活用として読み取れるが、サプライチェーンへの波及は示されていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出2

    防災分野への関わりはうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

複数センサーの波形を開口合成し、進行方向にも指向性を絞る仕組みを組み合わせて、特定エリアのインフラサウンドを強調できるソフトウェアの開発を行う。これにより震源付近でインフラサウンドが生じているかを検出し、発生していれば津波の規模を推定できるようにする。

事業者の声

どんなに時間がかかっても実現に向けてひた走ります。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。