ものづくり補助金平成25年度製造業青森県

自然エネルギーを利用した省電力遠隔モニタリングシステムの試作開発

株式会社ジョイ・ワールド・パシフィック

この事例のポイント

  • 個人経営の農家まで広く普及させるには、遠隔モニタリングシステムのコスト低減が課題となっていた。
  • 各種センサデバイスの消費電力等を基礎測定し、省電力で高精度なセンサデバイスを選定して試作に使用する機器を決定した。
  • 小型化及び低価格化を実現した省電力遠隔モニタリングシステムを試作し、屋外の圃場で構造上の不備やデータ通信の欠損が無いことを確認した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ジョイ・ワールド・パシフィック
所在地青森県 平川市
業種電気機械器具製造業
技術分野情報処理,測定計測

事業の背景

弊社はこれまで気象観測における遠隔モニタリングシステムを開発し、圃場の気象観測やりんご果樹の土壌水分測定を行い、遅霜の発生予測等を実証してきた。本システムのデータ分析により人の勘に頼っていた農作物の管理を自動化・効率化することは可能であったが、技術的な開発段階であった。企業概要として、光学レンズの接合・黒塗り、ユニット組立・製造、半導体検査機器の製造、コンピュータのソフトウェア開発・販売、Web制作、インテグレーション事業を行っている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算個人経営の農家まで広く普及させるには、遠隔モニタリングシステムのコスト低減が課題となっていた。
  • 新製品・新技術遠隔モニタリングシステムは技術的な開発段階であり、実用化に向けた製品化が課題となっていた。

やったこと

各種センサデバイスの消費電力等を基礎測定し、省電力で高精度なセンサデバイスを選定して試作に使用する機器を決定した。屋内用センサボックスは温度・湿度・CO2濃度を正確に測定するため強制通風用ファンを設け、ビニールハウスの梁等に吊り下げられるよう樹脂製として軽量化した。カメラ筐体は耐水性・耐候性を検証して雨水や異物の侵入が無いことを確認し、ネットワークカメラに光学36倍ズームのカメラ、夜間撮影用に赤外線LED内蔵の静止画カメラを採用した。ソーラー電源による独立電源システムは、屋外で約3ヶ月間の運用評価を行い、冬期間の発電実験と降雪における発電実験により最適な発電容量を選定し、降雪の影響によるシステムダウンが無いことを実証した。組み込みソフトウェアは画像の取得・遠隔操作、各種センサからのデータ採取、通信部、クラウド部を確立し、総合実証試験でハードウェアとソフトウェアのマッチングを検証した。

検査測定省電力センサデバイス
その他ネットワークカメラ(光学36倍ズーム)
検査測定夜間撮影用静止画カメラ(赤外線LED内蔵)
その他屋内用センサボックス(強制通風用ファン付き樹脂製筐体)
その他ソーラー電源による独立電源システム
ソフト組込みソフトウェア(制御回路・組込みOS・クラウド部)

新しい製品・サービス:自然エネルギーを利用した省電力遠隔モニタリングシステム

事業の効果

小型化及び低価格化を実現した省電力遠隔モニタリングシステムを試作し、屋外の圃場で構造上の不備やデータ通信の欠損が無いことを確認した。筐体内への雨水や異物の侵入も無く、カメラ画像や気象データを正確に取得できた。降雪下でもシステムダウンが発生せず有効性を実証した。今後は農業共同組合やNPO法人、個人農業従事者を対象に市場獲得を目指す。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性2

    過去に遠隔モニタリングシステムを開発し圃場で実証してきた経緯が書かれ、一貫性はうかがえるが経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    個人農家までの普及に向けコスト低減が課題とされ、市場や競争優位の記述はあるが、強み・弱みの分析は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    普及の課題としてコスト低減を明確に挙げ、小型化・低価格化で解決する方針が示されている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    5年目で市場シェア5%、年商1億7500万円という目標値が示されているが、付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    農業共同組合やNPO、個人農業従事者をターゲットとし、小型・低価格で手軽に導入できる点が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    量産に向けてユーザー要望に対応する方針はあるが、スケジュールや課題解決の方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    農業向け遠隔気象監視は普及途上とうかがえるが、高付加価値化・高価格化を示す記述は薄い。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    遅霜予測などで農作物管理の自動化・効率化に寄与する点は書かれるが、経済波及や雇用創出の数字はない。

  • 費用対効果3

    小型・低価格化で導入ハードルを下げる点は示されるが、補助金額に対する効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献3

    遠隔気象監視やカメラモニタリングで農業のデジタル化に寄与しうるが、サプライチェーンへの言及は薄い。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    農業分野の市場拡大が予測されると記述されているが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    青森県の農家や果樹を対象とした記述があるが、地域経済や雇用への効果は書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

本事業の試作品は従来の大規模なセンシングシステムに比べ小型かつ低価格で手軽に導入でき、農業共同組合やNPO法人、個人農業従事者をターゲットに遠隔気象監視及びカメラモニタリングでの市場獲得を目指す。携帯電話やスマートフォン等から簡単に確認できるため市場は今後も拡大すると予測し、量産に向けユーザー要望に柔軟に対応して高品位な製品開発とバリエーション充実を図る。

  • 目標:2020年でのセンサネットワーク/環境制御装置部門で35億円規模を見込んでいる。
  • 目標:事業完了後5年目で市場シェア5%、年商1億7500万円の売上を目指す。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。