ものづくり補助金平成28年度医療、福祉新潟県

女性歯科技工士の活躍による短納期、高付加価値の提供

株式会社シンワ歯研

この事例のポイント

  • 義歯の製作には、歯型の取得から人工歯の製作まで最低でも1週間以上かかっていた。
  • ものづくり補助金を活用し、加工機、3Dプリンタ、スキャナーなどのデジタル機器を導入した。
  • デジタル機器の導入により「ママさんラボ」への外注が容易になり、納期が短縮された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社シンワ歯研
所在地新潟県 新潟市西区
業種医療業
設立1957年

事業の背景

1957年に石澤技工所として創業し、入れ歯や差し歯、インプラント義歯などを製作する歯科技工所である。個人で運営することが多い歯科技工業界の中で組織化を進め、金属アレルギーの可能性が低いジルコニアなど最先端の素材を取り入れてきた。県内外300以上の顧客から信頼を得ている。一方、女性の離職が多い業界であり、産休育休制度や時間短縮正社員制度にも力を入れている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程義歯の製作には、歯型の取得から人工歯の製作まで最低でも1週間以上かかっていた。
  • 人手・技能出産後に通勤が困難になった女性歯科技工士が働き続けられる環境が十分でなかった。

やったこと

ものづくり補助金を活用し、加工機、3Dプリンタ、スキャナーなどのデジタル機器を導入した。歯科医院から送られた歯型をデジタルスキャナーでデータ化し、3Dプリンタで歯型を製作する工程を取り入れた。各事業所で仕事を請け負う「ママさんラボ」を構想し、退職した女性歯科技工士に外注できる体制を作った。デジタル機器により「ママさんラボ」との共同作業を効率化した。

加工機加工機
加工機3Dプリンタ
検査測定デジタルスキャナー

事業の効果

デジタル機器の導入により「ママさんラボ」への外注が容易になり、納期が短縮された。歯科医院への義歯の完成納期は2日程度短縮し、患者の要望に応えられるようになった。「ママさんラボ」として働く女性歯科技工士からは、家事育児との両立が可能になりやりがいのある仕事ができると好評を得ている。他社の成功事例が少ない中で新たな技術を開発でき、大学や医療関係者とのつながりも生まれた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    ジルコニア導入など最先端技術を取り入れてきた経緯が書かれ、デジタル機器導入もその延長として読み取れるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    県内外300以上の顧客から信頼を得ていることや、丁寧で繊細な技術力が評価されていることは書かれているが、市場分析との対応は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    製作期間1週間以上という課題を認識し、デジタル機器導入で歯科医院への完成納期が2日程度短縮できたと具体的に書かれている。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    2日程度の納期短縮という実績はうかがえるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    各事業所で仕事を請け負う「ママさんラボ」との共同作業体制を構築したことは読み取れるが、人材や事務処理能力の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    歯科医院や患者からの「製作期間を短縮して欲しい」という具体的なニーズを起点に、納期短縮という選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    ワシントン大学での講演やアメリカ市場への販路拡大など中長期の方向性は示されているが、スケジュールや課題解決方法は具体的でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    他社の成功事例が少ない中で新たな技術を開発したと書かれているが、同分野での高価格化や高付加価値化の数値は示されていない。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用4

    出産後の女性歯科技工士が家事育児と両立できる働き先を生み出し、新たな雇用の受け皿を作った点が具体的に書かれている。

  • 費用対効果2

    納期短縮の効果はうかがえるが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    デジタルスキャナーと3Dプリンタを使い、外部の女性技工士と共同作業する仕組みを作り、業界の働き方改善に結びつけている。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    デジタル進化を取り入れた点はうかがえるが、日本経済の構造転換に資するという観点での記述は薄い。

  • 地域経済への波及2

    新潟市に拠点を置き県内の顧客を持つことは書かれているが、地域の経済成長や雇用への牽引効果は示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は海外へも販路を広げ、アメリカでの取引もできる体制を作りたいと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。