ものづくり補助金平成28年度製造業石川県

超弾性複合糸の量産化により下請から複合加工糸メーカーへ転換する計画

浅野繊維工業株式会社

この事例のポイント

  • カバーリングの糸準備工程「ボビン巻」がボトルネックとなり、ボビン交換を人手に頼っていたため作業員を十分に割り当てられない場合は次工程が供給待ちになり、工場全体の生産高を制約していた。
  • 超弾性構造の複合加工糸BabyFit®を商品として品番化し、希望価格を付けたカタログから選んでもらうメーカーへ業態転換するため、量産化に向けて生産設備を整えた。
  • ワインダーのテンションや速度をレシピ化したことで、誰が作業しても同じ高品質を実現できるようになり、品質が安定した。

事業者のプロフィール

事業者名浅野繊維工業株式会社
所在地石川県 かほく市
業種繊維工業
技術分野複合・新機能材料
従業員数7人
資本金1,000万円
設立1984年

事業の背景

当社は石川県かほく市で昭和34年に撚糸業を始め、昭和42年にカバーリング業へ業態転換して、細い糸から太い糸まで複合したカバーリング糸を製造してきた。近年は大手ファストファッションの生産が中国や東南アジアへシフトする中、国内繊維加工事業者はより付加価値の高い製品へ移りつつある。従来は100%下請けで作業してきたが、欧米からのサンプル糸の引き合いが旺盛になり、減少していた生産量も回復しつつある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力カバーリングの糸準備工程「ボビン巻」がボトルネックとなり、ボビン交換を人手に頼っていたため作業員を十分に割り当てられない場合は次工程が供給待ちになり、工場全体の生産高を制約していた。
  • 人手・技能糸の種類や太さによってベテラン作業員がその都度重りの調整を行う必要があり、品質が作業者に依存していた。
  • コスト・採算生産後にボビンに残る残糸の廃棄量が増え、人件費や原材料費・染色加工費の負担が利益に影響を与えていた。
  • 品質・精度合成繊維は静電気を帯びやすく糸切れやフィラメント絡みが起きやすいが、自動化で目が届きにくくなると発見が遅れる懸念があった。

やったこと

超弾性構造の複合加工糸BabyFit®を商品として品番化し、希望価格を付けたカタログから選んでもらうメーカーへ業態転換するため、量産化に向けて生産設備を整えた。新開発の「自動交換式フランジボビンワインダー」を導入し、従来ベテランが重りで行っていた巻き取りのテンション、糸のピッチ、巻き取り速度などすべてをレシピ化して見える化した。ボビン交換を自動化し、定時後も翌朝まで糸準備ができるようにした。さらに最適な湿度環境を整え、静電気によるトラブルの発生リスクを軽減した。

加工機自動交換式フランジボビンワインダー

新しい製品・サービス:超弾性複合加工糸「BabyFit®」

事業の効果

ワインダーのテンションや速度をレシピ化したことで、誰が作業しても同じ高品質を実現できるようになり、品質が安定した。ボビン交換の自動化により定時後も糸準備ができ、翌日の生産が遅延なく効率的に行えるようになったため、休日出勤の必要がなくなり従業員の労働環境が改善した。残糸の廃棄量も抑えられ、排出ゴミの削減と利益率の改善につながった。デジタル化により技術の継承も進んだ。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去は100%下請けで、今回は自社商品「BabyFit」を持つメーカーへ転換する方針が示されている。ただ、長期の戦略上の位置づけまでは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    欧米からのサンプル引き合いが旺盛と述べられ、市場動向に触れている。一方で競争優位の根拠となる数値や比較は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    ボビン巻がボトルネックで納期対応のため休日出勤が必要だったという課題を認識し、ボビン交換の自動化で翌朝まで準備できるようになったと具体的に示されている。

事業の実現可能性40%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値の増加率や賃上げの目標値は書かれておらず、利益率改善という定性的な効果のみが記載されている。

  • 事業を進める体制2

    ベテラン作業員の技術継承やデジタル化に触れているが、従業員7名の体制や事務処理面の確保については書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    BabyFitの伸縮性や主要取引先(細幅ゴム入り織物業など)が示され、顧客ターゲットはある程度読み取れるが、選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    生産プロセス検証を行ったことは書かれているが、スケジュールや中長期の遂行方法は具体的に述べられていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    ストレッチ糸加工の分野で高付加価値製品への転換を図る点は読み取れるが、市場での希少性や高価格化の水準は具体的に示されていない。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    国内繊維加工事業者が高付加価値へシフトしている流れにわずかに触れているが、経済波及や雇用創出などの国が補助する理由は書かれていない。

  • 費用対効果2

    残糸廃棄や利益率改善の効果が述べられているが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    デジタル化によりレシピ化・見える化を行ったとあるが、サプライチェーンへの貢献や新ビジネスモデルへの言及は乏しい。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    石川県かほく市の繊維産業集積地で事業を営むことが書かれているが、地域経済の成長や雇用創出への効果は具体的ではない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

事業者の声

日々の暮らしの中で何気なく使用しているものの中には私どもの加工技術が生かされています。これからもお客様目線に沿ったより良い製品づくりに貢献していきます。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。