ものづくり補助金平成28年度製造業福井県

超音波振動を用いた天然繊維の専用織機開発と高速製織技術の研究開発

小杉織物株式会社

この事例のポイント

  • ヒートカッターによる裁断は天然繊維が発火しやすく、裁断面に傷みが生じていた。
  • ZMEI社製ラベル織機R/S2300mmに、防振装置を備えた超音波振動機のウルトラソニック・カッティング装置を組み込んだ専用織機を開発した。
  • 熟練工による手動裁断に近い滑らかな裁断面を、超音波振動による自動裁断で実現した。

事業者のプロフィール

事業者名小杉織物株式会社
所在地福井県 坂井市
業種繊維工業
技術分野機械制御,材料製造プロセス,精密加工
従業員数115人
資本金1,000万円
設立1964年

事業の背景

主力は浴衣帯の製造である。浴衣帯は3色までの糸で織る単色帯と4色以上の多彩色帯に分けられ、市場の9割を単色帯が占めている。天然繊維を使う多彩色帯は、製織と裁断を同一工程で行わなければコストを抑えられなかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度ヒートカッターによる裁断は天然繊維が発火しやすく、裁断面に傷みが生じていた。
  • コスト・採算超音波振動機による裁断は外注しており、納期の問題とコスト高に悩んでいた。
  • 生産能力多彩色帯を高品質で安価に供給するには製織と裁断を同一工程で行う必要があった。

やったこと

ZMEI社製ラベル織機R/S2300mmに、防振装置を備えた超音波振動機のウルトラソニック・カッティング装置を組み込んだ専用織機を開発した。製織と裁断を同一機械・同一工程で行い、小幅の帯を一度に5本製織できる小幅織機とした。織機の横揺れ振動を抑える対策と、超音波振動子のホーン表面の摩耗を抑える対策を行った。各天然繊維とポリエステルを組み合わせて製織し裁断線を計測しながら超音波加工条件を調整し、いずれも滑らかな裁断面を得た。現在の同織機の稼働率は90%である。

  • 加工機ZMEI社製ラベル織機 R/S2300mmウルトラソニック・カッティング装置防振装置を装備した超音波振動機

新しい製品・サービス:天然繊維を用いた多彩色帯(レンタル・インバウンド用和装向けの、頻回使用に耐える強度とデザイン性の高いもの)

事業の効果

熟練工による手動裁断に近い滑らかな裁断面を、超音波振動による自動裁断で実現した。裁断工程を内製化したことで完全自社生産となり、多彩色帯のコストが下がって単色帯に近い価格帯と品質で提供できるようになった。生産性も向上し、浴衣帯市場での優位性を強めた。天然繊維を含む多彩色帯の供給が広がり、和装業界での可能性を拡げた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.4 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性浴衣帯市場の9割を単色帯が占める中、多彩色帯を自社一貫生産で単色帯と同等の価格帯で提供し、優位性を強固にしたと読み取れる。
  • 4
    課題の認識と解決外注裁断の納期・コスト高という課題を認識し、同一工程化で多彩色帯の高付加価値化と低コスト化を実現する具体的計画になっている。
  • 4
    事業を進める体制長く経験を積んだ社員がオペレートし、社員50人の企画・デザインから織り・納品まで全工程を自社で担う一貫体制が整っている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    成長分野への進出和装業界の可能性を広げるとあるが、市場成長や構造転換に資する分野への進出としての記述は薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    既存のヒートカッター・外注裁断の課題から出発し、超音波裁断機能を実装した専用織機を自社開発している点で、事業の延長線上に位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    浴衣帯市場の9割を単色帯が占める中、多彩色帯を自社一貫生産で単色帯と同等の価格帯で提供し、優位性を強固にしたと読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    外注裁断の納期・コスト高という課題を認識し、同一工程化で多彩色帯の高付加価値化と低コスト化を実現する具体的計画になっている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標3

    生産性向上と裁断工程内製化によるコスト削減が示され、現に稼働率90%で運用されている点から実現性は一定程度ある。

  • 事業を進める体制4

    長く経験を積んだ社員がオペレートし、社員50人の企画・デザインから織り・納品まで全工程を自社で担う一貫体制が整っている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    レンタル・インバウンド向けの頻回使用に耐える強度とデザイン性を訴求し、大手スーパーでのセット販売拡大というターゲットと選ばれる理由が明確。

  • 事業化までの道筋3

    天然繊維とポリエステルで製織し裁断線を計測・調整して滑らかな裁断面を実現した検証過程が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    超音波振動による自動裁断機能を実装した織機は世界初とされ、天然繊維の多彩色帯という高付加価値分野で差別化している。

公的補助の必要性3.3
  • 波及効果・雇用3

    地域の丸岡夏祭りや和装業界の可能性拡大に触れており、地域産業と業界への波及が読み取れる。

  • 費用対効果3

    多彩色帯の高価格要因だったコストを削減し、単色帯と同等の価格帯で提供できるようになった点は費用対効果の改善を示す。

  • イノベーションへの貢献4

    超音波振動による自動裁断を織機に組み込んだ世界初の技術で、天然繊維織物の製造プロセスにイノベーションをもたらしている。

政策面3.0
  • 成長分野への進出2

    和装業界の可能性を広げるとあるが、市場成長や構造転換に資する分野への進出としての記述は薄い。

  • 地域経済への波及4

    丸岡の地域特性を活かした夏祭り向け着物や浴衣帯を生産し、地域を盛り上げる事業として高い付加価値を生んでいる。

今後の展望

レンタル・インバウンド用和装向けの多彩色帯を提供し、大手スーパー等での浴衣等セット販売を拡大する。天然繊維織物生地の企画・販売も展開し、新商品開発につなげる。

事業者の声

「昨日より今日、今日より明日。日々新しいもの、よりよいものを生み出す」

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。