ものづくり補助金平成28年度製造業長野県

日本遺産「木曽路」の伝統技術を未来に繋げ世界に発信する

この事例のポイント

  • 組子細工の製作工程で熟練職人が不足しており、技術承継が課題となっている。
  • レーザー加工機を導入し、熟練工の技術・ノウハウをデジタルデータ化した。
  • 設計に係る熟練工の高度な技術・ノウハウがデジタルデータ化でき、レーザー加工により熟練工以外でも安定した精度で生産できることが確認できた。

事業者のプロフィール

所在地長野県 南木曽町
業種家具・装備品製造業
技術分野デザイン,精密加工
従業員数4人
設立1948年

事業の背景

楯木工製作所は木曽ヒノキにこだわり、曲げわっぱの器や組子細工の製品を手がけてきた。昭和40年代のエレキ・ブームではドラム、オーディオ・ブームではスピーカーグリルの受注を得るなど、時代のニーズに応じてものづくりを展開してきた。バブル期には和室の組子欄間を手がけた。現在は職人の高齢化で若手が不足している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能組子細工の製作工程で熟練職人が不足しており、技術承継が課題となっている。
  • 生産能力設備の老朽化により生産効率が低下している。

やったこと

レーザー加工機を導入し、熟練工の技術・ノウハウをデジタルデータ化した。レーザー加工により熟練工以外でも安定した精度で生産できることを確認した。レーザー加工機の出力は大きくないため板の薄さを追求し、鉋屑に組子細工の模様を彫ることに成功した。レーザーで組子細工の柄を一瞬でくり抜く加工や、繊細な透かし模様の加工を行い、新たな機能・デザインの新製品を試作開発した。

加工機レーザー加工機

新しい製品・サービス:レーザー加工を用いた組子細工の新製品(サッカーボール型ペンダントライトなど)

事業の効果

設計に係る熟練工の高度な技術・ノウハウがデジタルデータ化でき、レーザー加工により熟練工以外でも安定した精度で生産できることが確認できた。鉋屑に組子細工の模様を彫ることに成功し、今後の事業化に向けた大きな発見となった。熟練工の技の一部が代替されるとともに新たな可能性も確認された。製品の選択肢の幅をデザイン的にも価格的にも広げた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性4

    曲げわっぱから組子細工、スピーカーグリル、和室欄間へと続く事業の変遷が書かれ、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    木曽ヒノキへのこだわりや海外からの問合せが書かれるが、市場分析と経営資源の強み弱みの対比は具体的に述べられていない。

  • 課題の認識と解決4

    熟練工の承継課題と設備老朽化による生産効率低下が明示され、レーザー加工機導入で解決する流れが書かれている。

事業の実現可能性44%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は記載がなく、製品選択肢の拡大という定性的な効果のみがうかがえる。

  • 事業を進める体制3

    従業員数4名、後継者の楯敏彦氏が導入担当と書かれるが、補助事業の遂行体制の詳細は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    差別化が必要な施設関係者や個人客から求められているとあるが、ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    新製品の試作開発や今後の事業化は触れられるが、スケジュールや課題の解決方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    レーザー加工で組子細工の模様を鉋屑に彫るなど、伝統工芸の高付加価値化と独自性が具体的に書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    伝統工芸の継承や海外への発信が語られるが、経済波及や雇用創出といった国が補助する理由は明示されていない。

  • 費用対効果2

    熟練工の技の一部が代替され生産効率が上がったとあるが、補助金額と付加価値増加の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    レーザー加工と熟練技の融合が書かれるが、デジタル技術によるサプライチェーン全体への貢献は読み取れない。

政策面50%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及4

    木曽谷の木曽ヒノキを活かし、南木曽町で伝統工芸を展開し世界へ発信する地域特性を生かした事業が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

差別化が必要な施設関係者や個人客からの需要があり、海外からの問合せも多い。外国人旅行者向けのお土産を企画中で、オリジナル製品の種類を増やして世界に発信していく。

事業者の声

組子細工の柄を一瞬でくり抜いたり、繊細な透かし模様を入れたり、レーザーにしかできないデザイン加工があります。当社に本物の職人の技があるからこそ、機械の技との組み合わせが生きる、と思いました

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。